年収400万円の会社員が「40代でセミリタイア」を成功させる"たったひとつのコツ"
プレジデントオンライン / 2021年7月16日 15時15分
※本稿は、たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「仕事を完全に辞める」はかなりハードルが高いが…
セミリタイア。その言葉から、あなたはどんなことをイメージしますか?
「ぜひ実現させたい!」「憧れる」でしょうか。それとも、「夢のまた夢」「お金持ちが考えそうなこと」でしょうか。
仕事を引退して資産や年金で暮らす「リタイア」や、少し早めに引退する「アーリーリタイア」。それらは現役を退いて悠々自適な生活を楽しむものですが、「セミリタイア」は少し違います。セミリタイアは、仕事を完全に辞めるのではなく、ある程度仕事をしながら、資産を運用してゆったり暮らす、というものです。
現在は、60歳で定年を迎え、その後、雇用延長などで65歳まで働くのが当たり前になっています。最近では65歳以降も働こうという気運もあります。それは、人生100年時代と言われる現代、年金と資産の取り崩しでは食べていけない可能性がある、という背景があるからです。そのような状況下でアーリーリタイアするというのはかなり特別なことです。
しかし、「セミリタイア」であれば、かなりハードルが下がります。必要なお金の一部は働いて稼ぎ、一部を資産運用で稼ぐ。そうすることで、必要な資産の額は1億円程度、あるいは数千万円程度でも可能となってくるのです。
また運用のスキルが高ければより運用で稼げる額も多くなるため元手となる資産は小さくて済みますし、セミリタイア後に豪勢にお金を使って遊ぶつもりがなければ、支出も抑えることができます。
■投資開始後19年でセミリタイアを実現
セミリタイアは夢のまた夢、というほど非現実的なことではありませんし、莫大な資産がなくても、ほどほどのお金で暮らす習慣と、ある程度の運用スキルを身に付ければ、普通の人でも意外と実現できることなのです。
多くの資産を持っていればセミリタイアしやすいのはたしかですが、運用のスキル、お金の使い方、価値観などが、セミリタイアの実現性を大きく左右する要素であり、莫大な資産がなくても大丈夫です。
![米ドル紙幣と電卓](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/670/img_a60a332b2beb2652ef756a8c79c1fe27438895.jpg)
私は2000年に投資を始めました。2010年以降、米国株中心の運用に切り替えてからは順調に資産が増え、米国株の魅力を職場の後輩たちに伝えることを目的に、2016年に「たぱぞうの米国株投資」というブログを開設しました。2019年に勤務先を退職し、現在は資産を運用しながら暮らしています。「セミリタイア」した、というわけです。
私は資産家の子どもではありませんし、大学卒業後は、ごく普通の組織人として働いていました。人と少し違っていたのは、社会人になってすぐ、初めての給料で株式投資を始めたことです。詳細は前著『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』(KADOKAWA)で述べましたが、それはかなり積極的でハードな投資でした。以前はお金を使うことにあまり興味がなく、収入の多くを投資に回していた時期もありました。
■経済的自由を得ることの意義
当時からセミリタイアを目指していたわけではありません。思っていたのは、「ある程度のお金があり、それを運用で増やしていくことができれば、仕事に縛られることなく、経済的自由を手に入れられる」、ということでした。
そして、資産が約1億円に達した40代前半でセミリタイアし、組織に属してフルタイムで働かなくてもいい経済的自由と、時間的自由を手にしたのです。
ここ数年、投資への関心が高まっています。資産運用の主な目的は、老後資金の確保と、より豊かな生活を実現することだと思います。いずれも重要ですが、私自身はそれに加えて思っていることがあります。それは、「投資とは人生の選択肢を増やすこと」、というものです。
人生の選択肢には、仕事をセーブして家族と過ごす時間を増やす、しばらく仕事を休んで独立起業のために勉強する、あるいは、独立起業する、などが考えられます。投資によって経済的な余裕を得られれば、今とは違う生き方を選ぶことも可能となるのです。ある程度の資産ができれば「セミリタイア」も夢ではありません。
セミリタイアを視野に入れることで、投資は前向きで、楽しいものになるはずです。
■「高収入」「もともと資産家」でなくても大丈夫
セミリタイアができるのはどんな人か。肝心のお金の面から見ていきましょう。強調したいのは、莫大な資産がなくても、高収入の人でなくても、セミリタイアは不可能ではない、ということです。
セミリタイアができるのは、1億円の資産を持っている人でも、年収が1000万円以上の人でもありません。セミリタイアできるのは、「資産額」「セミリタイアしてからの定期的な収入」「セミリタイア後の支出」という3つのバランスが取れる人です。
例えば1億円の資産があり、それを3%で運用すれば、年間約240万円(税引き後、以下同)を得ることができます。ほかに個人事業などで年間260万円を得れば、年収は500万円で、ここから税や社会保険料を引いた額で暮らすことができれば、「セミリタイアはできる」ということになります。生活水準をかなり高いものに設定しなければ、1億円の金融資産があればセミリタイアはかなり現実的と言えるのです。
■金融資産5000万円でもセミリタイアできる条件
1億円なければだめ、というわけではありません。
金融資産が5000万円、運用利回り3%では、運用益は年間150万円、税引き後約120万円です。年間の生活費として500万円必要なら、別途、400万円弱の収入が必要であり、それだと普通に働かなければならないでしょう。しかし年間支出が400万円であれば、働いて300万円弱の収入を得ればセミリタイアは可能、ということになります。
300万円の収入というのは、月額では25万円で、ご夫婦なら各自が13万円程度の収入を得ればいい計算です。それくらいならあまり無理せずに稼げる人も多いと考えられ、かなりリアリティがあると思いませんか。
では金融資産2000万円ではどうでしょうか。運用利回りが3%では運用益が60万円・手取りで約48万円です。月額にすると4万円強であり、月20万円で暮らせるなら、月16万円稼げばセミリタイアは可能です。仮に運用利回りを5%と想定すると、運用益は100万円・手取りで約80万円(月額約6万6000円)に増え、月約13万円稼げばいい、という計算になります。
これらは一定の資産を運用した場合の運用益を想定したものであり、投資元本を取り崩していく想定であれば、さらにハードルは低くなります。莫大な資産がなくても、的確な運用をし、それなりに働く、あるいは支出を抑えられれば、セミリタイアは全く夢ではないのです。
■効果的な運用と支出のコントロールが重要
言い方を換えれば、莫大な資産があればセミリタイアできる、という論理は成り立ちません。1億円あっても、運用のスキルがなく、せいぜい個人向け国債を買う程度、というなら、年間のインカムは5万円(税引き前、0.05%の場合)。おまけに贅沢して年間1000万円使ってしまうような人なら、1000万円近くの年収を得なければならず、セミリタイアは難しいでしょう。
![たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/200/img_7ffa92a663b57d3ca6f0d792bb95b77f347710.jpg)
一方で、家賃3万円の家に住み、年間支出のトータルが200万円なら、2000万円を5%で運用して100万円のインカム(税引き後80万円)を得れば、あとは120万円を稼げばセミリタイアが可能です。月額10万円ですから、アルバイトでもやっていけるでしょう。
どちらが豊かで、どちらが自由で、どちらが幸せかは、価値観次第ですが、資産が多ければセミリタイアできる、資産がなければセミリタイアできない、というわけではないのです。20代半ばで年収400万円、という人でも、場合によっては年収300万円という人でも、セミリタイアという未来を拓くことはできるのです。
たしかに多くの運用益を見込むにはそれなりの資産が必要です。しかし、莫大な資産がなくても、効果的に運用して、支出をコントロールすることで、セミリタイアは可能になります。
「資産額」「セミリタイアしてからの定期的な収入」「セミリタイア後の支出」の3つの要素を考えて、セミリタイアへの道をイメージしてみてください。
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米国株ブロガー
2000年より投資を始め、2010年以降、米国株投資を中心に行う。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。2017年より、某投資顧問業にてアドバイザーを務める。2019年より、すでに設立していた資産管理法人の運営に専念。セミリタイアを果たす。同年刊行の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』(KADOKAWA)が6万部超のベストセラーに。
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(米国株ブロガー たぱぞう)
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