1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

100万円を30年間運用すると「日本株は104万円、米国株は2100万円」という現実

プレジデントオンライン / 2021年7月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/CherylCasey

資産を築くためにはどんな投資をすればいいのか。人気投資ブロガーのたぱぞうさんは「成長が期待できるものに投資するのが原則。日本株ではなく、米国株が候補になるのは、この30年の実績をみれば明らか」という――。

※本稿は、たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■預金だけでは資産を築けない理由

セミリタイアのためには、ある程度の資産を築き、そこから運用益を得る必要があります。資産が多く準備できれば働いて得る収入は少なくて済みますし、資産を早く準備できればセミリタイアの実現時期を早めることができます。どうすれば効率的に資産が築けるか。ここからは具体的な資産形成についてお話ししましょう。

株が上がった。金が、ビットコインが上がった。都心部の不動産価格も上昇した。という場合、通貨の価値は弱まった、という見方もできます。それに気付かずに預金だけを続けていては、いつまで経っても相対的に資産が増えることはありません。

通貨の価値は下落している傾向があり、その他のさまざまな資産の価値が上がっているのは事実です。そうしたことからもセミリタイアのために、株などの資産に投資する必要があることがわかります。

投資対象には、「ぺーパーアセット」と、「ハードアセット」があります。ペーパーアセットとは、株式や債券など、手軽に投資できる資産です。現在は電子化されていますが、もともとは株券、債券、という紙ベースで発行されていたこともあり、ペーパーアセットと呼ばれます。

一方、ハードアセットとは、不動産などの実物資産を指します。ペーパーアセットとは、値動きの要因や特性が異なります。例えば不動産投資で得られる家賃収入は、株ほど上下動は激しくない傾向にあるため、インカムは安定しやすくなります。

■30年間ほぼ横ばいの日本株、21倍になった米国株

ペーパーアセットでセミリタイアするための資産を築き、ある程度の資産ができたら、ハードアセットを加えて資産に安定性を持たせ、セミリタイアに適した運用体制にする。それが、私が実践した運用スタイルです。まずはペーパーアセットでの資産形成について述べていきます。

では、株式と言っても、どの国の株がいいのでしょうか。私は米国株がいいと思っています。その理由をお話ししましょう。

米国株式と日本株式のパフォーマンス比較 ※1989年の年初の株価を100としたときの総収益指数
出所: 『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』P91。Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1989年初~2020年6月末)

図表1のグラフは日本株と米国株の長期総収益(ドルベースの配当込みリターン)と円換算パフォーマンスを比較したものです。1989年初を100とした場合の国内株(TOPIX)は2020年でも104とほぼ成長していませんが、同じ期間で米国株は約21倍に成長しています。米国株は、短期的な変動はあるものの、長期ではしっかりとリターンが得られていることが見て取れます。

言うまでもありませんが、成長が期待できるものに投資するのが原則であり、日本株ではなく、米国株が候補になるのは明らかです。

■米国の強さは人口増加と株主重視

これまでのデータを見ても米国株の強さがわかりますが、私が、米国株がこれほど強く、そして、今後も期待できると考えている理由は、2点あります。

一つは、米国では人口が増加しており、消費成長国であることです。そしてもう一つは、投資に見合った法整備がなされていることです。この2点は経済成長、および、投資家がリターンを享受するための重要な要素ですが、それを満たしている国は限られています。

米国では人口が増え続けており、2030年には3億5000万人、2050年には3億8000万人を超えると見込まれています。人口が増えれば消費活動が盛んになり、労働生産力が維持されます。社会保障を担う層が多く存在するため社会保障負担が過度にならず、税金が適切に再投資されるなど、経済成長に繫がりやすくなります。

日本はいわゆる老舗企業が多く存在し、廃業率は低い水準です。いいこともありますが、一方で、企業の新陳代謝が進んでいないということでもあります。実際、日本ではよほどの不祥事でもなければ株式市場から退場させられたりはしません。業績がふるわない非効率な企業群が東証一部に存在し続けるため、TOPIXが上昇しにくい、ということもあるのです。

■一番のおすすめは「米国市場ほぼ全部」ETF

では、具体的な銘柄について見ていきましょう。米国株市場を反映する代表的なETF(上場投資信託)の銘柄は複数ありますが、私が自身の投資において選択し、今も変わらず支持しているのは、「VTI」(ヴァンガード・トータル・ストック・マーケット)です。「VTI」は米国市場に上場する銘柄の99%以上にあたる約4000銘柄で構成されたドル建てのETFです。成熟した大企業の株から、成長が期待される小型株まで含まれ、米国市場をほぼ網羅しています。

もちろん、巨大IT企業群のGAFAMも含まれますし、話題のテスラも含まれます。リターンは2010年からの10年間で約4倍になっています。

私は米国の個別株にも投資していたのでストレスに感じませんでしたが、配当課税のこともあり、円建ての投資を好むならば、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(楽天投信)という投資信託もおすすめです。

インデックス投資では、指数と投資信託(あるいはETF)の値動きが連動することが重要ですが、楽天・全米株式インデックス・ファンドは若干の乖離(かいり)があるので、注視していきたいところです。つみたてNISAの対象となっていますので、運用益非課税で積み立てていくことができます。

■成長性の高いセクターをまとめたETFも

海外ETFには、さまざまなセクターに特化したETFがあります。近年、とくにリターンが大きいのは、情報技術セクターETFの「VGT」です。アップルやマイクロソフトが筆頭銘柄で、アマゾンやグーグル、フェイスブックは含まれません。2010年からの10年で6.3倍のリターンです。

「VHT」はヘルスケアのセクターETFです。ヘルスケアは高齢化、総中流社会の恩恵を受ける守りのセクターとして注目されます。研究開発費が重く、それを回収する以上の利益を生む新薬が開発できるかどうかが鍵です。個別銘柄に投資するより、セクター全体に投資する方がリスクが分散されます。10年で4.4倍のリターンですから、かなりの高水準です。

守りのセクターとしては、生活必需品も同様です。P&Gなどの銘柄を含み、2015年頃までは最もリターンの高いセクターでした。「VDC」は10年で3倍のリターンです。

「VCR」は、一般消費財・サービスのセクターETFです。もともとはホームデポやスターバックスなどの、小売のイメージが強かったのですが、テスラ、アマゾンなどがフェーズを変えた印象です。10年で5倍となっており、S&P500を上回っています。

■より高いリターンを狙う個別銘柄投資

米国には世界的な優良企業も多いため、個別銘柄に投資したいと思う人も少なくありません。

インデックス投資で満足せず、企業の情報を自分で確認してより高いリターンを追求するには、ある程度の時間や手間がかかります。ですから、楽ちんなインデックス投資と合わせるのを基本として、個別銘柄への投資を検討するといいでしょう。

2016年以降のリターンを銘柄別に見ると、上昇率が高い上位銘柄のほとんどをテクノロジーとヘルスケアが占めています。GAFAM、クラウド、サブスクリプションなどがテーマとなっています。

一方、最も下げた銘柄群には、エネルギー関連が並んでいるほか、航空機のエンジンを供給するGEや、アメリカン・エアラインといった大手企業が入っています。商品市況に左右される銘柄や設備投資など固定費が多い企業、航空業など競争が激しい業界は、株価上昇という意味ではぜい弱な一面があることがわかります。

■銘柄選びの決め手はビジネスモデル

個別株を見る際に最も重要なのは、企業のビジネスモデルです。現在はインターネットを中心とした産業革命のまっただ中であり、それに関連する銘柄は強いということになります。GAFAMはそのど真ん中です。

また、「持続可能なビジネスモデル」かどうかも重要です。例えば中小の自動車メーカーなど、世界中に数多く存在しているビジネスモデルでは利益率は上昇しにくいと言えます。その一方、唯一無二のビジネスモデルの企業は強いと言えます。ただし、参入障壁が高い事業を行っている企業は成長性や持続性への期待も高く、株価が割高になっていることもあります。

■重点チェックすべき3つの指標

そのほかにも、次の3つの指標を重点的にチェックすると良いでしょう。

まずは「売り上げ」です。売り上げがきちんと伸びているかを確認しましょう。成長性ではなく配当目的の投資であっても、少なくとも横ばいであることが重要です。

たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)
たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)

次に大事なのが、「営業利益率」です。営業利益率とは、一定期間における売上高に占める営業利益(売上総利益から販売費および管理費を引いた額)の割合です。販売費や管理費がどの程度、収益力に影響したかを示します。

営業利益率は、企業本来の実力を測る指標と言えます。いかに効率的に売上高から営業利益を生んでいるかを表し、営業利益率が高いほど、本業で利益を稼ぐ力があるということです。営業利益率20%前後であれば優良企業、40%を超えていればかなり優良な水準と言えます。ただしセクターによっても水準が異なりますので、同じセクターの中で比較することが大切です。

3つ目は「営業キャッシュフロー」が伸びているかどうかです。営業キャッシュフローとは、本業による収入と支出の差額で、本業の利益、つまり、本業で稼げているかどうかを示す指標です。土地売買で儲かったなどでなく、本業がきちんと伸びているかが重要ですから、これもしっかりチェックします。

----------

たぱぞう(たぱぞう)
米国株ブロガー
2000年より投資を始め、2010年以降、米国株投資を中心に行う。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。2017年より、某投資顧問業にてアドバイザーを務める。2019年より、すでに設立していた資産管理法人の運営に専念。セミリタイアを果たす。同年刊行の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』(KADOKAWA)が6万部超のベストセラーに。

----------

(米国株ブロガー たぱぞう)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください