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いま手元に1億円があるなら「不動産」「太陽光発電」にも分散投資すべき理由

プレジデントオンライン / 2021年7月21日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/enviromantic

いま手元に1億円があったら、どんな資産に投資するべきか。人気投資ブロガーのたぱぞうさんは「すべて株式というのはちょっと怖い。私なら不動産や太陽光発電といったハードアセットに分散投資する」という――。

※本稿は、たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■変動リスクもストレスも大きい株投資

1億円の資産があり、それを年利3%で運用すれば税引き前で年間300万円、2億円あれば600万円のリターンが得られます。年間300万円得られるなら、独身ならば数字上ではセミリタイアは不可能ではありません。

しかし株式1億円だけでセミリタイアするのは怖いと思う人は少なくないと思います。なぜなら、株式は変動が大きいためです。私も、株だけに集中投資するのは市場変動のリスクが大きいと感じます。ストレスも強いです。

基本的なロジックから言えば株式に債券を組み合わせるところですが、低金利の状況下で債券では旨みがなく、運用効率が落ちてしまいます。そこで私が選んだのが、不動産や太陽光発電といったハードアセットへの分散です。

運用効率を考えると、資産管理法人を作り、株で積み上げた資産を元手に不動産や太陽光発電などのハードアセットに投資するのは理にかなっていると考えられます。というのも、家賃収入や太陽光の売電収入は株式相場ほど変動しないからです。ボラティリティが大きいのは株式の宿命です。それが株式の魅力でもあり、弱点でもあります。そこで資産の一部を分散し、安定運用のために不動産や太陽光で運用する、ということです。

■不動産投資の利回り計算の基礎

不動産投資の収益は、一般的に表面利回りや実質利回りで示されます。

表面利回りとは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかを表すもので、表面的な収益性を示します。例えば1億円の物件で年間の家賃収入が750万円なら、750万円÷1億円で、表面利回りは7.5%です。

湖のウッドデッキにデッキチェアが2脚、左手に舟
写真=iStock.com/flyzone
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/flyzone

データを見ると、全国の一棟アパートの表面利回りは、2020年以降、8%台で推移しています(不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家(や)の「収益物件市場動向マンスリーレポート」より)。

しかし、不動産投資には諸経費がかかります。入居者募集のための賃貸管理費や、建物管理費、固定資産税などで、物件価格の8~10%程度が目安と考えられます。さらに年数が経ってくれば修繕費も必要になります。

さらに考えておくべきなのが、空室率です。いくら立地が良くても空室のリスクはゼロではありません。想定空室率は立地などによって異なり、東京都心部であれば10%程度が目安になるかと思います。

これらの経費や空室率も考慮したのが、実質利回りです。実質利回りの計算式は【(年間家賃収入-年間経費-想定空室率に基づく家賃収入減分)÷物件価格×100】です。先ほどの例で、年間の経費が15%(113万円)、想定空室率が10%(75万円)とすると、実質利回りは5.7%(小数点第二位以下切り上げ)となります。想定空室率は、10%、20%などさまざまな数値で試算してみるといいでしょう。

■東京の物件なら「キャッシュフロー2~3%」が目安

気になるのは、キャッシュフローです。キャッシュフローとは実際に得られた収入から、外部への支出を引いて手元に残る資金のことです。

例えば、物件価格1億円、自己資金2000万円、借入8000万円(金利2%・30年)のケースで、年間の家賃収入が750万円、ローン返済額が年間355万円、固定資産税や客付けのための賃貸管理費、メンテナンス等にかかる建物管理費などの諸経費が年間家賃の15%、想定空室率が10%の場合、キャッシュフローは約208万円です。

この208万円を物件価格の1億円で割った実質利回りは2.1%になります。東京都内の不動産は高いので、キャッシュフローベースで2~3%出れば十分な投資といったところでしょう。私は、イメージとして、債券に近いようなリターンだと考えています。目安としては、東京都内だと家賃の下落率が年0.5~1%程度、大きくても2%を見込んで投資していくということになります。

■株式投資のメリット

ここで、不動産投資と株式投資との違いをおさらいしておきましょう。前述のとおり、不動産投資は株式投資で得られるほどのリターンは期待しにくい一方で、株式投資よりも安定性があるのが魅力です。株式と不動産を比較してみます。

株式での資産運用のメリットは、

1 とりかかりやすい
2 資産が長期にわたって成長し、資産性がある(米国株の場合)
3 右肩上がりの安心感
4 手間が「全く」かからない
5 資産管理法人の場合、日本株ならば配当金の益金不算入適用
6 利益確定のタイミングをコントロールできる

株式は証券会社に口座を開けばすぐに始められます。米国株ならインデックス投資で十分なリターンが期待でき、銘柄を研究するような手間もいりません。個別銘柄に投資するにしても、手間は不動産の比ではありません。経済成長とともに資産の価値が高まることが期待でき、資産が古くならないのも魅力です。

配当金の益金不算入とは、法人が国内の法人から配当等を受けた場合、その受取配当等の額の全部または一部は、課税所得の計算上益金に算入しないこととされているものです。これは、資産管理法人などの法人で株式投資をする場合のメリットです。

■株式投資のデメリット

一方で、株式投資には次のようなデメリットがあります。

1 インデックス投資だと資産形成のスピードが遅い
2 レバレッジを効かせにくい    
3 日々変動する資産額が可視化される
4 語弊があるが、利回りが低い
5 セミリタイアのためには、1億円、2億円程度のまとまった資産が必要になる

私は40代でセミリタイアしましたが、インデックス投資だけを行っていたら、もう少し時間がかかったと思います。個別株への投資などでリターンを高めたことで、資産形成のスピードが上がりました。

また株式投資だけではなく、太陽光発電や不動産への投資でレバレッジを効かせたことも、早期のセミリタイアに繫がっています。

株式だけでなく、不動産投資などに分散したことは、私にとっては精神的な安定も生んでいます。株式は値動きが大きいですし、ネットで証券会社のサイトにアクセスすれば、随時、資産額が可視化され、株価が気になってしまいます。資産額が大きくなるほど変動は大きいので、リスク分散が課題になります。

■不動産投資のメリットとデメリット

不動産投資のメリットとデメリットを見ていきましょう。不動産投資には次のようなメリットがあります。

1 都内の良い立地の新築だと手間がかからない
2 4年償却の築古、戸建てなど、状況によって選択肢が豊富
3 良い土地は価格が下落しにくい。家賃がそのまま投資されていく感覚
4 銀行からの融資を受ける場合は、おおよそ頭金2割で投資が可能。つまりレバレッジが効く。
5 キャピタル・ゲインやインカム・ゲインがいいと、持って良し、売って良しになる

不動産には、建物の減価償却をすることで利益が圧縮され、税負担が軽減されるという効果があります。築年数が古く、耐用年数を経過している物件では、償却期間が4年と短いため1年あたりの償却額が大きくなります。ほかの資産運用で利益が多く出ている場合は、築古の物件で償却額を多くするなど、状況によって選択肢が豊富です。

デメリットも見ていきましょう。

1 物件の維持管理、客付けなどの手間がかかる
2 目論見が外れた時のダメージが甚大
3 マイナスのレバレッジ効果が生じることがある
4 自己資金が必要。具体的には2000万円以上
5 ペーパーアセットと異なり事業性が高いので、人によって合う、合わないがある

不動産投資で資産形成、資産運用ができるかどうかは、物件の良し悪しによるところが大きいと言えます。いい物件に出合うための手間、人脈も重要でしょう。さらに、融資を受ける場合でも自己資金が必要ですし、キャッシュで買う場合もまとまった資金を投じることになります。空室が続いたり、なおかつ売却もままならないといったケースでは、大きなダメージを負うことになりかねません。

そうしたデメリットを考えれば、やはりエリアが重要です。地方を中心に人口減少が始まっている中、例えば東京都では2040年前後まで現在の人口が保たれると考えられています。不動産投資をするエリアとしてハードルが低いのは、人口が減らない、賃貸需要があるエリアです。あえて、厳しいエリアで高い利回りを追求する、という手もありますが、難易度は高いです。

■ワンルームマンションは儲からない

今盛んなワンルームマンション投資はどうでしょう。

たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)
たぱぞう『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(KADOKAWA)

新築物件では価格に不動産会社の利益が乗りすぎており、買った瞬間に相場の2~3割負けている物件が少なくありません。売却しようにも、ローンの残りを完済するだけの売却代金が得られず、最悪のケースでは、ローンの残りが手持ち資金さえも上回り、売るに売れないという状態になることもあります。これは新築ワンルームマンション投資では珍しくないことです。そうなると資産形成のスピードが落ち、セミリタイアへは大きく回り道をすることになります。

また、築古のワンルームを現金で買って拡大し、上手に資産形成されている投資家もいます。現金購入のため、返済に苦慮するなどのリスクはありません。その反面、レバレッジが効かないこともあり、資産形成には時間がかかることが多いです。

■太陽光発電は「建売」が主流に

ハードアセットへの投資として、私が不動産より早く始めたのが、太陽光発電への投資です。私が太陽光発電への投資を始めた頃と比べて物件はかなり少なくなっていますが、全く出払ったわけではありません。

今は、かつてのように新規に土地を仕入れて設備を設置する形ではなく、セットされた建売を買う形が主流です。また何年か前に設置され、すでに発電実績のある中古のシステムも販売されています。太陽光発電の業者さんは、新築、中古とも扱っていることが多いので、同時並行で探すことができます。

太陽光発電の利回りは以前と比べて下がっており、新築の場合、業者さんの目線では表面利回り9.5%前後が目安と考えられています。自身が保有する土地に設備だけ入れるといった投資ができれば、利回りは15%前後になることも考えられます。不動産は都市部であれば土地の価格が下がりにくく、資産性がありますが、太陽光発電は設備が主体であり、設備が古くなれば価値が減少していきます。

ハードアセットへの投資として、不動産がいいのか、太陽光発電がいいのかを検討する際には、キャッシュフローだけでなく、資産性や減価償却を含めて考えるといいでしょう。

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たぱぞう(たぱぞう)
米国株ブロガー
2000年より投資を始め、2010年以降、米国株投資を中心に行う。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。2017年より、某投資顧問業にてアドバイザーを務める。2019年より、すでに設立していた資産管理法人の運営に専念。セミリタイアを果たす。同年刊行の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』(KADOKAWA)が6万部超のベストセラーに。

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(米国株ブロガー たぱぞう)

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