「パパの仲良しはママじゃないの?」愛人との"リモート会議"に夢中になった夫の末路
プレジデントオンライン / 2021年7月24日 11時15分
■「さすがにもう限界」「これ以上、無理」
長引く新型コロナウイルスの感染拡大で、夫婦生活にもさまざまな新たなトラブルが生じている。最近目立つのは、長期化するステイホームにより蓄積された夫婦間のストレスが、今ごろになって爆発するケースだ。
ステイホーム生活がスタートした当初は、慣れない新生活のスタイルに夫婦がお互いに気を遣い合うことで、「コロナ離婚」という選択をせずに済んだ夫婦も多いはず。ところが、コロナ禍という長いトンネルの出口が見えそうにない今、「さすがにもう限界」「これ以上、無理」などと夫婦関係に危機を感じる相談もジワジワと増加している。
たとえば、長期化するコロナ禍で、現在の夫婦生活に区切りをつけるべきかどうか、今まさに迷っている妻たちの言い分を見てみよう。
※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
■「人生の再スタートを切るなら、今がチャンスかもしれない」
【CASE1】家庭でも職場でも主従関係を強いるモラハラ夫
Rさん(29歳)は、25歳の時に11歳年上の今の夫と出会い、結婚。年齢が離れていたことに加え、経営者という立場もあったせいか「同世代の男性に比べ、頼もしく思えた」と話す。
結婚後、2人の生活の主導権を握っていたのは、完全に夫だった。「家事は一切やらないくせに、うるさいくらい口は出す」という夫は、ことあるごとにRさんの言動にダメ出しをし、「お前は社会のことを何も知らない」「オレが教育してやっているようなものだな」と得意になっていたとのこと。Rさんは夫に叱責されるたびに傷つき、夫と会話をするのが怖くなるほど萎縮していった。
子供ができないまま3年たった頃、Rさんは「このままずっと主人に仕え、自分らしく暮らすことのできない人生でいいのだろうか?」と考えるようになったという。
コロナの影響で夫が自宅で仕事をするようになると、Rさんの夫に対する愛情は急激に冷めていった。「リモートワークで夫の仕事ぶりを間近で見るようになり、愕然としました。スタッフには人としての尊厳を奪う言葉で常に怒鳴り散らし、イジメに近いほど理不尽な要求をつきつけるのも日常茶飯事。思い通りにならない会社の経営で生じるストレスを、私だけでなく従業員にまでぶつけていたと知り、夫の器の小ささが情けなくなった」。
Rさんは近々、将来のことについて夫婦間での話し合いを持つという。「将来子どもがほしいこともあり、人生の再スタートを切るなら、今がチャンスかもしれないと考えている。離婚も覚悟のうえで話し合いを進めたい」
■リモートワーク生活で夫婦関係が一気に悪化
【CASE2】夫といる時間が長くなり体調不良になった妻
「コロナ禍で体調不良が続いていたが、最近になってようやくその原因がわかった」と語るJさん(39歳)は、同じ年齢の夫と3歳の長女がいる。コロナ以前はそこそこ円満な夫婦関係だったものの、ステイホームの影響で夫婦ともにリモートワーク生活に入ったことがきっかけで2人の関係が悪化した。
「ウチは典型的な『コロナ離婚』寸前のパターンだったと思います。夫は、家事もしなければ育児にも非協力的。狭い家なのに、自分だけリビングにスペースを陣取り“仕事をしているアピール”をされ続けること1年以上。コロナ禍になって、イライラしっぱなしの毎日でした」。
Jさんはたまった不満を何度か夫に打ち明け、生活態度の改善をうながすも、結局は元通り。脱ぎっぱなしの服や食べっぱなしの食器を片付けるのは、いつのまにかJさんの役割になっていたという。
![食器を洗う女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/670/img_4cba66721132aa4774a02981fdc351da597676.jpg)
■帰省して気づいた「体調不良の原因は夫」
「このままでは自分がダメになる」とJさんが危機を感じたのは、仲のいいママ友がうつ病を患ったことがきっかけだった。「コロナ禍でさまざまな心労が重なったせいか、誰よりも明るい性格だった友人がうつになったことがショックだった。ちょうどその頃、私もなぜか頭痛や倦怠感がひどくなる一方だったので、自分の体調も心配になった」というJさんは仕事を休み、子供をつれて数日実家に帰省したのだった。
久しぶりに両親のいる実家で数日過ごしたJさんは、「まるで生き返ったようだった。子育ては両親のサポートがあり、家事も自分だけが頑張る必要もない。家のなかも広く、心身ともに伸び伸びとリラックスできた」。1年以上苦しんでいた頭痛や倦怠感も嘘のようになくなっていた。
「元気になって初めて、体調不良の原因は紛れもなく夫だったと気がついた」と快活に笑うJさんは、夫との別居を決めたという。「幸い、リモートワークは実家でもできるし、近くに条件の合う保育園も見つかった。自分の体と心を守るためにも、コロナが収束するまで別々に暮らすことにしました」。
■夫のリモート会議には2つのパターンがあった
【CASE3】コロナ禍で浮気相手との関係をこじらせた夫
Kさん(39歳)が3歳年下の夫の浮気に気づいたのは、子供のなにげないひと言だった。コロナ禍で自宅にいる時間が多くなった夫が、4歳になる娘をあやすためになにげなく自分の携帯電話を手渡したところ、偶然にもロックが解除され、アルバムに収められている夫と浮気相手の親しげな写真を目撃。その晩、娘を寝かしつけようとしたところ「パパの仲良しはママじゃないの?」と尋ねられたKさんが不審に思って事情を探ったところ、コロナ前から続いていた夫の浮気が発覚したのだった。
以降、Kさんが注意して見ていると、夫のリモート会議には2パターン存在していることに気がついたという。「リビングにいて普通に仕事の話をするパターンのほかに、急にはじまる会議もある。後者の時は必ずパソコンを持って寝室に向かうので、浮気相手との『リモート会議』だということがすぐにわかる」。
![オンライン会議](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/d/670/img_8d6a4304cdb5118afb7bc70eaab0b3e1602151.jpg)
■「離婚の際はせいぜいお金で誠意を見せてもらいたい」
これまでも散々夫の浮気に悩まされてきたKさんは、「子供が小学校に上がる前に離婚したほうがいい」と判断。今後の生活費や教育費のことも考え、いい条件で離婚をするために、夫の浮気の証拠を集めることにしたとのこと。浮気相手とのリモート会議を録音するために寝室のドアの向こうで耳をそばだてていると、聞こえてきたのは困り果てた様子の夫の声だった。どうやら、長期化するコロナ禍により2人が会えない時間も長くなり、「なぜもっと会おうとしないのか?」と詰め寄る女性を夫がなだめていることがわかった。
「自分に愛情がなくなった妻の心にも気づくことができず、長引くコロナ禍で愛人からも見放されそうになっている夫は本当に気の毒。でも自業自得なので、離婚の際はせいぜいお金で誠意を見せてもらいたい」。
■誰と、どんな生き方をしたいか?
コロナ禍でこれまでの生活とは変わったことをきっかけに、私たちは一度立ち止まり、人生を見直す機会を得た。限りがある人生ということを実感した時、夫婦関係においても「誰と、どんな生き方をしたいか?」という問題にあらためて向き合う必要が出てきたともいえる。
それをチャンスととらえて新しい生き方を選ぶのか、その機会を見送って今あるもので満足する生き方を選ぶのかは自分次第。やがて来る「アフターコロナ」の時代に向け、どちらにしても後悔しない人生を選ぶ準備を進めておきたい。
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夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)
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