あ、やっちゃった…「沸騰させた味噌汁」がコロナ予防になる理由
プレジデントオンライン / 2021年7月22日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2021年夏号』の一部を再編集したものです。
■発酵食品を食べて夏バテ防止&コロナ予防すべし
暑さが厳しくなっていくこの時季、子供も大人も体調を崩しがち。そんなときにこそ、積極的に食べたいのが発酵食品です。キムチ、ぬか漬け、納豆、みそ、ヨーグルトといった発酵食品は腸内環境を整えるので、夏バテ予防にも、新型コロナウイルス感染症予防にも効果があります。
では、なぜ発酵食品で腸内環境が整うのでしょうか? 理科の授業のようですがメカニズムを紹介しましょう。
そもそも発酵とは微生物(菌)の働きによって食物中の栄養分が分解された状態を指します。たとえば、キムチは白菜の成分が乳酸菌によって分解されることで、独特のうま味や酸味を醸し出します。発酵食品をつくる微生物にはさまざまな種類があり、それによって生まれる味わいが変化するわけです。
一方、人間の腸内にもさまざまな細菌がすみついています。その数はなんと約100兆個! 食べたものをその無数の細菌が分解し、栄養として吸収しているのです。ただし、腸内菌のすべてがよい菌とは限りません。体に有益な菌を善玉菌と呼ぶのに対し、有害な作用を及ぼすのは悪玉菌、そしてどっちつかずで優勢なほうと同じ働きをする日和見(ひよりみ)菌と3タイプに大別できます。
これらのなかで最も割合が多いのが、実は日和見菌。7割も占めています。つまり、大多数の菌は善玉菌が増えれば善玉菌に加勢して、悪玉菌が多くなればそれに倣(なら)って悪さを働く。強いものに巻かれるところは、どこか人間社会とも似ていますね。
そこで発酵食品の出番です。これらに含まれる乳酸菌などの細菌は腸のなかで善玉菌として活躍します。善玉菌が増えれば日和見菌もそれに加わり、腸内環境を良好に保てるというわけです。特に夏は、夏バテにより食欲が落ちることで疲労もたまり、免疫力も低下します。だから、夏こそ発酵食品なのです。
■みそ汁の乳酸菌は熱に弱いが、死んでも腸内で大活躍できるワケ
実は乳酸菌は熱に弱く、調理で炒めたり煮たりすると死んでしまいます。たとえばみそ汁の場合、加熱により、みそに含まれる乳酸菌は死んでしまうのです。これは死菌と呼ばれ、善玉菌にはなれません。しかし、死菌は腸内で善玉菌のエサになり、善玉菌が増えるのを助けます。死んでしまっても活躍するんですね。
死菌以外のエサとしては水溶性の食物繊維もあります。ゴボウなどの根菜やキノコ類などに含まれているので、発酵食品と一緒に食べると、より効果的といえるでしょう。
善玉菌を増やして腸内環境を整えればいいことずくめです。まず期待できるのは免疫力の向上。免疫細胞の7割が腸にあるといわれ、腸が元気なら免疫力がUPし風邪などの感染症予防になり、体調もよくなります。対新型コロナという点でも免疫力を高めておくのは有効でしょう。
もちろん、便通もよくなります。子供の場合、学校のトイレではうんちをしにくいなどとは言わずに、理想的には毎日、せめて2日に1回は排便してほしいと思います。
ほかにも腸が元気だとニキビや吹き出物を防げますし、代謝が上がるので太りにくくなります。
もっとも、悩むのは子供にどうやって発酵食品を食べさせるかですよね。簡単おすすめレシピをご紹介します。
みそは発酵食品なので食事に必ずみそ汁を添えるのも有効です。暑さでどうしても食欲がわかないときには乳酸菌飲料で補っても構いません。
ただ、発酵食品は薬ではないので、即効性はありません。腸内環境が入れ替わるには2~3週間かかるといわれていますから、本格的な夏が始まる前から取り始めて、地道に続けるといいですよ。
■子供が喜ぶ、夏の発酵食品レシピ3
1:豚キムチ
キムチを、豚肉とニラや小松菜などの野菜と炒める。卵を加えるとキムチの風味がまろやかになるし、栄養価もアップ。キノコを入れると食物繊維が取れる。
2:納豆キムチ
納豆と刻んだキムチのダブル発酵食品に、エゴマ油少々を混ぜる。のりで巻いて食べても絶品。
3:グラノーラヨーグルト
無糖ヨーグルトにグラノーラをたっぷりとかける。ヨーグルトの乳酸菌と、グラノーラの食物繊維が同時に取れる一皿。
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東京慈恵会医科大学附属病院栄養部、管理栄養士
『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』などの本やテレビで、食事で健康になる情報を発信している。
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(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部、管理栄養士 赤石 定典 構成=上島寿子)
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