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「おれはカッコイイ」という恥知らずの男性ほど年収も高いし、結婚もできる

プレジデントオンライン / 2021年7月23日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AJ_Watt

■「年収が高ければ結婚できる」わけではない?

婚活男女のみなさんは、結婚する相手に「これだけは譲れない」という条件はあるでしょうか?

国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査では、18~34歳までの独身者に対して「結婚相手の条件として重視・考慮するポイント」を聞いています。男女ともに共通するのは、「人柄」「家事・育児の能力」「共通の趣味」などですが、男女で傾向が正反対となる条件があります。

女性側が男性に求める条件として多いのは「経済力」ですが、男性側が女性に求める条件として多いのは「容姿」です。つまり、結婚相手に女性は男性の経済力を求め、男性は女性の容姿を求めるわけです。

そんなことは当たり前の話だと思うことでしょう。以前、<「年収500万円の星野源似」を“普通の男”と考える婚活女性の悩ましさ>という記事で書いたように、婚活の現場では、女性が男性の年収条件にこだわるあまり、結果的に誰ともマッチングできない事態が発生しています。

そういう傾向は、当然、婚活男性にも大きく影響し、「金がなければ結婚できない」という言説もまことしやかに流布されています。だからといって、経済力さえあれば男性は結婚できるのか、といえばそうとも限りません。

■「共通の趣味」以上に「男性の容姿」を求める割合は高い

出生動向基本調査の経年推移をみると、この「結婚相手の条件」について、おもしろい傾向が読み取れます。近年、女性が男性に求める条件の中で「男性の容姿」を重視・考慮する割合が急速に伸びているのです。1992年時点、男性の容姿を重視・考慮する割合は67.7%でしたが、それが2015年には77.7%と10ポイントも増加しました。

従来、約8割という高い数字だった「共通の趣味を持つ」という条件が2015年では74.9%ですから、「共通の趣味」より「男性の容姿」の重要度が逆転したということを意味します。ちなみに、「男性の経済力」の重要度は2015年も93.3%と相変わらず高いままです。

男性は、経済力はもちろんのこと、それに加えて「容姿」まで気を遣わないといけない時代になってしまったのでしょうか。いいえ、そうではなく、もともと男性の経済力と容姿は密接に関係しているのです。

■「容姿が良い」人の年収は「劣る」人より17%高い

アメリカのテキサス大学オースティン校のダニエル・S・ハマーメッシュ教授の著書『美貌格差 生まれつき不平等の経済学』(東洋経済新報社)によれば、容姿を5段階評価で区分した場合に(5が最高、3が平均)に、男性の場合、「5と4」の「容姿が良い」人の年収は「2と1」の「容姿が劣る」人と比べ、17%高いことが判明したそうです。

女性でも同様に12%高いのですが、男性の方がより容姿の影響が大きい。17%というとたいした違いはないような気もしますが、生涯賃金で比較すると大きな差になります。

厚労省の賃金構造基本統計調査の「退職金を含めない学歴別生涯賃金比較」によれば、大企業に就職した大卒男性の生涯賃金は約3億1000万円。これより17%低い生涯賃金は約2億6500万円になります。生涯で4500万円も違うとなるとこれは大きいのではないでしょうか。しかも、偶然にも、高卒大企業組の生涯賃金が2億6000万円なので、容姿の良しあしで大卒と高卒ほどの差が生まれるということになります。

仕事のテーブルで互いに挨拶する若者たち
写真=iStock.com/YurolaitsAlbert
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/YurolaitsAlbert

ハマーメッシュ教授の調査は、アメリカ以外でも、オーストラリア、カナダ、イギリス、中国(上海)などでも実施され、すべて同様の結果が出たそうです。しかし、日本での調査はされていない。というわけで、一都三県の20代から50代の未婚男女(n=10595)に対して行った私の調査結果をご報告しましょう。

■「容姿に自信がない日本人男性」の実態

「自分の容姿に自信がある」かを、5段階評価(5がとても自信あり、1が自信なし)にて自己採点をしてもらいましたが、結果は、見事なまでに、容姿に自信のある男性ほど年収が高いという結果になりました。具体的には、容姿4~5評価の20~50代未婚男性の平均年収は約503万円、容姿1~2評価の場合は約430万円。その違いは16.8%で、ハマーメッシュ教授の調査結果と完全に一致しました。

このように、男性の容姿と経済力は海外でも日本でも密接な関係があります。とはいえ、恋愛や結婚という分野における容姿の重要性は、男性より女性の方が高いのではないか? というご指摘もあるでしょう。容姿と経済力の両方を併せ持っている男性がモテるのは当たり前で、「容姿抜群で経済力皆無の貧乏男」と「容姿には難ありだが稼いでいる男」となら後者の方がモテるだろう。そんな印象もあるかと思います。

未婚男女とで、容姿に自信が有る・無し別に、いままで一度も付き合った相手がいない(恋愛経験のない)割合を調べてみました。容姿に自信があるほうが男女とも恋愛未経験率が低くなるのは当然なのですが、注目していただきたいのは、この男女の差分です。

容姿評価1(自信が全くない)女性の恋愛未経験率が各年代とも20%程度であるにもかかわらず、男性のほうは20~30代では40%を超えます。同じ容姿に自信がないグループでも女性より男性の方が恋愛できないのです。つまり、恋愛において容姿が重視されていたのは、女性ではなく、むしろ男性の方だったともいえます。

容姿自信の有無別恋愛経験なしの割合 男女比較

■容姿に自信がなくても8割が結婚している

「蓼食う虫も好き好き」とはいいますが、それはあくまで特殊事例であり、男女関係なく美しいと感じるもの、愛でたいと感じるものは変わりません。傷口に塩を塗りつけるようで申し訳ないのですが、「容姿に自信あり」という男性は、経済力や恋愛力が高いだけではなく、幸福度も圧倒的に高いようです。

だからといって、「男も見た目がすべて」などというつもりはありません。容姿に自信のある割合は、20~50代未婚男性でわずか13%、既婚男性でも22%にすぎません。イケメンの比率などその程度です。裏返せば、容姿に自信がなくても8割の男性は結婚をしているということになります。

<独身が増え続ける原因を「若者の恋愛離れ」にしたがるメディアの大ウソ>という記事で、男女とも恋愛強者は3割しかいないという話をしました。容姿に自信のある割合は、恋愛強者よりも少ないということです。それどころか、先のグラフでも提示したように、「容姿に自信のある」男性でさえ10%は50代まで一度も恋愛経験がなかったりします。容姿と恋愛とは直接結びつく場合もあればない場合もあります。

圧倒的多数である容姿に自信のない男性諸君が参考にすべきは、容姿に自信がないのに結婚できた8割の既婚男性のほうでしょう。どちらも容姿に自信がないのに、未既婚を分けた要因とは何でしょうか?

■アプローチを妨げる「恥をかきたくない」という恐怖

結論からいうと、その有意な要因のひとつに「恥の概念」が見いだせました。未既婚ともに、容姿に自信がないほど恥を恐れがちなのですが、容姿に自信のないグループで未既婚を比較すると、特に30~40代にかけて大きな乖離(かいり)が見られます。容姿に自信のない未婚男性は30~40代で6割以上が恥を恐れますが、既婚男性は逆に30代がもっとも低い値となっています。むしろ30代既婚男性は容姿に自信のある男性より恥を恐れません。

容姿に自信のない男性ほど恥の概念意識が強い

ここでいう「恥」とは恋愛に限定した話ではないですが、恋愛で説明すると分かりやすいと思います。

容姿に自信がないと、告白してもフラれるんじゃないかと恐れます。そこにはフラれる恐怖とともに、恥をかくことへの恐怖も含まれます。そうした恐怖は、人の行動力を抑制します。「どうせ無理なんだから告白なんてやめておこう」と。この行動抑制を招く「恥の概念」こそが、容姿に自信のない男性の「結婚できる/できない」を分ける重要なポイントなのではと考えます。

恋愛強者の男性=イケメンではありません。実は「マメで恥知らずな男」がモテるのです。「恥知らず」とは断られようが、気持ち悪いと思われようが、めげずに行動をし続けるという意味です。もちろん、1人の相手に固執してストーカーになってしまうのは論外ですが、この「恥知らず力」とは決してネガティブな意味ではありません。恥への鈍感力であり、行動のエンジンになります。反対に、恥に敏感すぎる男性は行動力を失うがゆえに、結果としてモテない、になるのです。

■渾身の一打席を待つ前に恥を捨てよ

「どうせ失敗するから行動しない」ではなく「失敗して当然なのだからチャレンジしてやろう」。そう思えるのが「恥知らず力」です。容姿に自信がなくても結婚した既婚者は、そこに至るまでに数えきれない数の相手からフラれていたことでしょう。野球の打率にしたら1割打者かもしれません。それでも打席数が多いので結果を得ています。渾身の一打席を目指して、生涯一度も打席に立たないよりは意味があります。

冬のビーチで顔を寄せ合うカップル
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

容姿でも仕事でも自信のある人間には結果が伴います。しかし、先に自信ありきではなく、その結果はまず行動あってこその話です。経済力も容姿力も元は行動力なのではないでしょうか。

最後に、「恥を捨てるなら若いうちに」。2019年の人口動態調査によれば、初婚同士の結婚において男性は39歳までで全婚姻数の91%を占めます。40歳を超えて恥知らずな男になってももう遅いのです。あくまで、結婚を希望しているならばの話ですが。

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荒川 和久(あらかわ・かずひさ)
コラムニスト・独身研究家
ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。著書に『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)、『結婚しない男たち―増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)など。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されている。新著に荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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(コラムニスト・独身研究家 荒川 和久)

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