論破王ひろゆき「アタマの悪い人ほど、すぐに結論を知りたがる」
プレジデントオンライン / 2021年8月6日 9時15分
※本稿は、ひろゆき『無敵の独学術』(宝島社)の一部を再編集したものです。
■僕の「切り抜き」動画の尺が長いワケ
成功者から学ぶべきことは、結論ではなく思考のプロセスです。それなのに、アタマの悪い人は前提の情報をきちんと理解しないで、短絡的に結論だけを聞こうとします。
僕のユーチューブ動画の「切り抜き」も、長すぎるから短くして要点だけ知りたいというニーズがあるみたいなのですが、それは短絡的に答えが欲しい、短い時間で答えが知りたいということなのだと思います。
でも、多くの場合、重要なのは単純に答えや結論を知ることではなく、どうしてその結論に至ったのかという理由の部分を理解することだと思います。
たとえばですが、「家庭用蓄電池って流行ると思いますか?」という質問に対して、僕の結論から言えば、「うん、流行ると思います」。
でも、その前提には、中国、インド、アメリカの火力発電とか原発を推進する流れが勝つのか、あるいは、グレタ・トゥーンベリさんみたいなエコの主張が勝つのか、という話があります。
僕が「なぜ」、流行ると思うと判断したのか。その理由のほうがずっと大事ですよね。こういう材料・情報があります、だからこういう結論に至ります、ということが大事なのであって、結論自体がそれほど大事だとは思いません。
むしろプロセスを知っていれば、結論なんて自然と出てくるものです。
■結論だけ知りたがる人はアタマが悪い
ところが、アタマの悪い人は理由を理解せずに、短絡的に結論だけ聞こうとしてきます。
「家庭用スーパーコンピュータは流行ると思いますか?」「量子コンピュータは流行ると思いますか?」というような質問に「はい/いいえ」でどんどん答えることもできますが、それを聞いて覚えて、何かいいことがあるとはとても思えません。
むしろ、「量子コンピュータが流行ると思いますってひろゆきさんが言ってました」と誰かに言ったところで、そこに説得力はいっさいありませんし、「ひろゆきさんがユーチューブの動画で言ってたんですよ」と説明したら、「こいつ、アホだな」と思われるだけです。
結論なんて、時代や前提によってズレていくものなのです。
■優秀な人の説明は長くなりがち
優秀な専門家の先生にありがちなのが、学術的な正しさを追求しすぎたせいで説明が長くなりすぎてしまうパターンです。これだと聞いている側の理解が追いつかず、結果、置いてけぼりの状態になってしまう。きちんとした先生ほどちゃんと説明しようとするので、そうなりがちです。
以前、専門家の先生とテレビ番組で共演する機会がありまして、「性格というのは遺伝によってどれくらい影響を受けるのか」と僕が質問したことがありました。
その際に、「それって、ある程度遺伝で決まるって言っちゃっていいんでしょうか?」と聞いたところ、先生曰く、「僕の教え子が『決まる』とテストの答案に書いたら、バツをつけます」と言うのです。
理由は、「決まる」というと、日本語としてはだいたい100パーセントくらい確定しているという話になってしまうからです。
■厳密さを追求するほど説明は長くなる
遺伝というのは、「傾向としてある」というだけのことなので、それで「決まる」とは言えない。なので、おおよそ80パーセントくらい遺伝する傾向があるということなのですが、それはあくまで「傾向がある」というだけで「決まる」ではありません。当然のことながら、こうやって厳密さを追求しようとすればするほど、説明がどんどん長くなっていきます。
その専門家の先生は立派な方でしたし、大学で生物学をやるような人であれば当然わかる話なんでしょうけど、そうではない一般の人がそういう込み入った説明を理解できるかというと、ちょっと難しい気がしているのです。
優秀な人が、必ずしもわかりやすく説明できるわけではない。むしろ、優秀だからこそわかりにくい説明になってしまうということもあるのですね。
■僕は説明がめちゃくちゃ下手だった
ちなみに僕は、もともと説明がめちゃくちゃ下手でした。あまりに下手すぎて、相手を泣かしてしまったことさえあります。
昔、「麻雀を覚えたい」という人に麻雀を教えてあげたときのこと。
僕は「麻雀がうまくなりたいのであれば、チーとかポンとか鳴くことをやってはいけません」と言いました。
理由は、安易にチーとかポンとか鳴いて手牌(てはい)をそろえていくと、簡単な役をつくることはそれなりにできるようになるのですが、そういった安易な手ばかりを狙っていると麻雀は上達しないと思ったからなのですね。
でも、教えてあげていた人が鳴いたので、「なぜ鳴いたの?」と問い詰めたら、リアルに泣いてしまったのです。
きちんと説明もしてもらえずに「これをやれ」と言われて、詰められたりすれば、泣きたくもなりますよね。
■ボキャブラリーを減らせばわかりやすくなる
そんな僕がテレビの番組に呼ばれて、最近では「ひろゆきの説明はわかりやすい」と言ってもらえることさえあるわけですが、それは単にボキャブラリーが減ったからだと思います。
僕は今、フランスに住んでいて、仕事上、英語を使ったりもしますから、英語とフランス語を覚えないとならなくて、日本語のボキャブラリーがだんだん減ってしまっています。結果、僕が今使っている言葉というのは、小・中学生くらいまでのボキャブラリーで組み立てられています。
![パリのレストランのテラス席](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/b/670/img_5bb5a7b6f37a122b809e71288d7e4c5d299865.jpg)
それでなんとか意思を伝えようとしていたら、自然とわかりやすい説明になってきた、という感じなのです。
実は、外国語も同じです。英語ネイティブの人は、おそらく2万語くらいの英単語を使いこなしますが、僕はおそらく5000語くらい。中学生の授業で覚えるような単語を組み合わせてなんとか意思を7割伝える、みたいな喋り方です。フランス語も同様です。
自分の思ったことが100パーセント伝わるなんて思っていないし、そもそも100パーセント伝えようとも思っていません。
自分が知っている単語をなんとか組み合わせてある程度伝えようとした結果、わかりやすい説明になるということが、逆説的に起きたわけです。
思考がまとまらない、まわりの人に上手に説明できないという人は、難しい言葉を使いすぎていないかどうか、立ち止まって考えてみるといいです。
日本語の会話なのに、「アサイン」だとか「コミットメント」だとか、やたらと横文字を使いたがる人は多くいますけど、あまりアタマがよくない人ほど、よくわからない熟語や単語を使いがちだと思います。
■文章で伝えるのが苦手…そんな人は
相手に何かを伝えたいと思ったら、箇条書きにすることをオススメします。僕自身、指示書や企画書を書くときは基本、箇条書きです。
![ひろゆき『無敵の独学術』(宝島社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/200/img_f9d88d7d58698eeb597cab705e6f3f3e299687.jpg)
箇条書きというのは、主語・述語で「私はこれをする」「会社はこれをする」「あなたはこれをする」「いつまでにこれをする」といった形になるので、シンプルで理解しやすいのです。
もっとわかりやすくすると、たとえば料理をつくるとして、そのレシピが文章で書かれていたらわかりにくいですけど、それぞれの手順に最初から最後まで番号が振られていて、箇条書きになっていると理解しやすい、ということと似ています。
ところが、文章が下手だといわれる人ほど、箇条書き以外の文体で書こうとする傾向があります。相手に伝わる文章を的確に書ける人であればいいですが、それができないなら箇条書きにしたほうがいい。
こういう話をすると、「アマゾンの会議では箇条書きの資料は禁止です」と反論してくる人もいますが、アマゾンで働けるほど優秀ではない人が大半なので、もっと現実をみましょう。
僕が最近上梓した『無敵の独学術』(宝島社)では、このような「アタマの悪い人の残念な特徴」のほか、「絶対にマネしたほうがおトクな、優秀な人の思考パターン」などを紹介しています。
その第3章でもまとめていますが、思考は整理してシンプルな表現に落とし込む。伝える言葉もポイントを整理して簡潔に。
これが基本です。
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2ちゃんねる創設者
本名は西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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