「日本株で儲けたいならマスト」素人が爆上げ銘柄を見抜く4つのポイント
プレジデントオンライン / 2021年8月6日 11時15分
※本稿は、市川 雄一郎『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
■トヨタですら時価総額で世界50位圏内
日本にも「誰もが知っている大企業」はたくさんあります。日本企業の4番打者は、時価総額日本一を誇るトヨタ自動車でしょう。世界の自動車市場で常にトップシェアを争っている同社は、日本を代表するグローバルカンパニーと言えます。
ところが、そんなトヨタ自動車ですら、世界企業の時価総額ランキングではやっと50位以内に入るくらい。いろいろなところで発表されるトップ50社を見ても、トヨタ以外の日本の大企業は影も形もありません。
日本企業の時価総額が小さい理由は、ひと言で言えば、グローバル化とデジタル化に大きく出遅れたからです。多くの日本の大企業は国内マーケットで大きなシェアを獲得しても、それを世界のマーケットに広げることができていません。
例えば、NTTドコモは世界で初めて携帯電話用のインターネット接続サービス「iモード」を実用化しながら、うまくグローバルスタンダード(国際標準)にすることができず、スマートフォン(スマホ)の登場で“ガラパゴス化”してしまいました。ソニーも世界初の携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」を大ヒットさせたものの、デジタル音楽配信サービスを武器に売り出したアップルの「iPod」にあっさり王座を明け渡しました。
最近では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で同様の現象が起きています。日本国内ではLINEが1億人に迫るユーザー数を誇っていますが、全世界で見ると、フェイスブック(Facebook)の25分の1程度に過ぎず、SNSのトップ7にも入っていません。日本国内は支配できても、世界を取れるところまでは成長できていない。それが日本の大企業の現実なのです。
■日本の大企業の課題は「株価の成長力」
もちろん、日本企業の中にも、世界のマーケットを相手に頑張っている企業はあります。
「UNIQLO(ユニクロ)」を展開するファーストリテイリングは日本国内に留まらず、中国、韓国などのアジアや欧米各国で積極的に店舗展開し、ファストファッション業界を代表する国際ブランドになっています。家庭用ゲーム機・ソフトの任天堂(Nintendo)は全世界で数億人のユーザーを獲得し、最近ではコロナ禍の巣ごもり需要をつかんでゲームソフトの「あつまれどうぶつの森」(あつ森)を大ヒットさせました。
また、一般の消費者の目には止まりにくいのですが、電子部品や半導体製造装置、炭素繊維などのハイテク素材といった、いわゆるBtoB型の製品・サービス分野には、世界市場で圧倒的なシェアを持つ日本企業が少なくありません。スマホも、航空機も、それら「メイド・イン・ジャパン」の部品・素材がなければ作れないと言われているのは事実です。
とはいえ、そんな優良企業も含めて、日本の大企業が果たしてGAFAやダウ30銘柄に代表される米国の超巨大企業のレベルまで成長できるでしょうか?
投資という視点で考えた時、日本の大企業の最大の課題は「株価の成長力」です。これから先、今の株価が5倍、10倍になるかと言われれば、残念ながら、それはほとんど期待できないと思います。株価が一時的に急騰する場面はあるかもしれませんし、日本企業が世界中をアッと言わせるような画期的なブレイクスルー商品を開発して、一大飛躍を遂げる可能性もないわけではありませんが……。
![経済](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/670/img_4adb893c33c6415c883411cbf5b04883623738.jpg)
日本の大企業に投資をしても、見返りとして期待できるのは配当金というインカムゲインだけで、株の醍醐味である株価の値上がりというキャピタルゲインはあまり期待できません。これでは、投資戦略としては得策とは言えません。
■新興ベンチャー株なら株価10倍の銘柄もある
であれば、ここは発想転換!
日本株投資は、上場して間もない新興ベンチャーへの投資を中心に考えてみる方法もありそうです。投資の世界で言う「小型株」です。ベンチャー企業の登竜門と言われる東証マザーズやJASDAQ(ジャスダック)市場には、まだ小粒ながら、伸びしろの大きい中堅企業、ベンチャー企業がたくさん上場しています。日本にはユニコーン企業(創業10年以内で10億ドル以上の市場価値のある未上場のスタートアップ企業)は10社もないとされていますが、その半分の時価総額500億円以内で、上場後10年以内に株価を10倍にまで上げた企業が、実は多数あるのです。
2020年はコロナ禍にもかかわらず、日本の新規株式公開数は久々に過去最高水準になりました。日本政府は2021年を「イノベーション元年」と位置付け、米国や中国を追撃しようと、「日本版SBIR(Small Business Innovation Research)制度」と呼ばれる技術革新支援制度を再構築し、その担い手であるベンチャー企業の育成支援に本腰を入れ始めています。
そんな流れも見据えて、将来性が期待できそうな新興企業に投資をして、長期的な視点でその企業と自分の資産の成長を見守っていく。リスクもありますが、楽しみも多い投資戦略と言えるのではないでしょうか。
■上がる株の4つの条件
では、新興ベンチャー株は、具体的にどのように銘柄を選ぶといいのでしょうか。
過去の株価の膨大なデータを分析すると、「上がる株」にはいくつかの条件があることがわかっています。その条件に当てはまる企業(銘柄)の方が、当てはまらない企業よりも株価が大きく上昇しているケースが多く見られるのです。その差は、統計学的にも有意な差であることが数多くの実証研究によって明らかになっています。
いくつかある条件の中で、私が特に株式投資の初心者にお勧めしているのは、次の4つの条件から投資先候補を見つける方法です。それは、
①IPO(新規株式公開)をしてから10年以内の企業であること
②社長または最高経営責任者(CEO)が創業者であること
③その社長・CEOが一定割合以上の自社株を所有していること、つまり、オーナー経営者であること
④時価総額が500億円未満であること
です。
これらは、株価が上がる企業に共通する“素質”のようなものと考えてもいいでしょう。
①と④は、企業の成長力に関わる条件です。まだ若くて、伸びしろが大きいかどうかを判断する材料になります。②と③は、意思決定(decision making)のスピードに関わる成長条件です。創業者が経営実権を握っているオーナー経営の企業は、大企業よりも意思決定が速い傾向があります。何事もトップダウンで即断即決できるからです。変化が激しい今のような時代には、これは大きな武器と言えます。
■最大のリスクはオーナー社長の経営判断ミス
![市川雄一郎『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/a/200/img_9a93983d5c600331ab2edb0f23f1764e170986.jpg)
その半面、これは両刃の剣でもあります。オーナー社長が判断を誤れば、規模がまだ小粒なだけにアッという間に傾いてしまう場合もあります。この点は小型株の最大のリスク要因と言えます。
いずれにせよ、どれも大変シンプルで、初心者にもわかりやすい条件だと思います。この4条件でスクリーニングするだけで、投資先候補はかなり絞られます。そのうえで、時代のトレンドを自分なりに分析し、応援したい企業や事業内容が良く理解できる企業などを選ぶと良いでしょう。
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Global Financial School校長
Global Financial School校長。CFPR。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産運用設計業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。著書に『はじめての資産運用(日経文庫Personal)』[武田米生氏との共著]、『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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(Global Financial School校長 市川 雄一郎)
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