「こんなの小学生でも覚えられるよ」職場で敵を作りやすい人の"残念な3つの口癖"
プレジデントオンライン / 2021年8月14日 11時15分
※本稿は、津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)の一部を再編集したものです。
■円満な人間関係に欠かせない言葉の使い方、選び方
「そんなつもりはなかったのに、相手を怒らせてしまった」
「周りの人となかなかうまく関係が築けない」
こんなコミュニケーションの悩みを抱えている人は、多いのではないでしょうか。
言葉は本当にこわいもので、一度発してしまったら取り消すことはできません。
ちょっとしたひと言で職場、家庭、友人などとの人間関係を壊してしまい、取り返しのつかないことになる場合もあります。職場などでは、不用意な発言がハラスメントになってしまう可能性もあります。
自分の話し方や言い方を客観的に見ることはあまりないので、無意識に人を傷つける口癖が習慣になってしまっていて、なんで自分は周りの人とうまく関係が築けないんだろうとひとりで悩んでしまうケースも多いです。
そんなつもりじゃなかったのに、誰かから嫌われたり恨まれたりしてしまうのは本当に損ですし、もったいないことです。
言葉で人を傷つけ、嫌な思いをさせてしまう人と、言葉で人を明るい気持ちにさせたり、好感を持ってもらえる人の違いは「言葉の使い方・選び方」にあります。
相手に嫌な思いをさせてしまうような会話には、人を傷つける「言葉のトゲ」がたくさん含まれていることが多いです。そのトゲをなくし、言葉を柔らかくすることができれば、同じことを伝えるのでも、相手の受け取り方はまったく違うものになります。
今回は拙著『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)より、言葉のトゲを抜き、「損する会話」を「好かれる会話」に変えるコツをいくつかご紹介します。
■相手を注意するときは「極端語」を使わない
◯ どうして、遅刻するの?
最初に抜くべき言葉のトゲは、≪極端語≫です。
たとえば、相手が2、3回くらい同じミスをしたとき、「いつも同じミスばかりして!」と注意することがありますよね。この「いつも」が極端語です。「2、3回」を「いつも」というように極端に表現してしまっているわけです。
![悩んでいる人](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/8/670/img_686e639082bc65b8b9806e4056b1e062329500.jpg)
極端語には、「まったく」「絶対」「ちっとも」「なんにも」「全然」などたくさんの言い方があり、会話の中に頻繁に登場しがちです。「自分の気持ちをもっと相手に伝えたい!」という思いが強くなるほど、極端語は増えていく傾向にあります。
良いことを伝えるときに使うならよいのですが、人を叱ったり注意したりするときに使うと、必要以上に相手を責め立てることになり、傷つけたり反発を生んだりしてしまうのです。
会話例のように「どうして、いつも遅刻するの?」と言われると、相手は「今回は遅刻したけれど、前回は間に合うように来たのに」と反論したくなってしまいます。大抵の場合、事実はそこまで極端ではないため、極端語で叱られると相手はその極端語に対して「そんなことないのに」と反論・反発してしまうわけです。
例の他にも、「ちっともわかってない」「全然できてない」「◯◯ばっかり」などの言い回しは、職場の部下や同僚、恋人やパートナー、子どもを叱るときなどに、つい使ってしまいがちですが、それでは相手の反省を促すこともできず、逆効果になってしまいます。
人を叱るときや注意するときは、極端語を使わないことを心がけると、相手も素直に反省することができ、関係を拗らせずに済むでしょう。
■負の感情を強める≪悪意の比喩≫に要注意
◯ 一度聞いたらちゃんと覚えて
≪極端語≫の次に気を付けた方が良い言葉のトゲが、≪悪意の比喩≫です。比喩を使うと、表現が強く鮮やかになり、面白みを出すこともできます。それだけに、相手を注意するときなどに使うと、相手の感情を余計に逆撫ですることになります。
たとえば、あまり働かない人に対して「給料泥棒」という表現を使ったりしますが、「もっと仕事に身を入れてください」などと言うのに比べて、何十倍もの破壊力を持っています。
しかし、「給料泥棒」と言われて、反省して「そう言われないように働こう」などと思う人は、まずいないでしょう。そんなことを言ってきた相手を嫌いになったり、悪意を持ってしまう場合の方が多いと思います。ですから、絶妙に相手に合う例えを思いついたとしても、グッとこらえて使わないようにしましょう。
■ネガティブな言葉は相手に届きやすい
人を叱ったり怒ったりしているときに、相手があまりにも平気な顔をしていたり、こちらの言葉が響いていないようだと、「この人には普通に言っても効き目がないな」と思い、つい≪悪意の比喩≫というトゲを混ぜてしまいがちです。
![相手を指差す人](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/2/670/img_32d1425d3fa9c9839d08f14593c1ca2e248003.jpg)
でも、相手は本当は最初からすごく傷ついていて、必死でそれを表情に出さないようにしていたのかもしれません。そこにさらにひどい比喩で追い打ちをかけられては、深刻なダメージを与えてしまうこともあり得ます。
実際、なかなかパソコンの操作を覚えられなかった中年男性が、同年代の親戚から「パソコンくらい小学生でも覚えられる」と言われ、それがきっかけでアルコール依存症になってしまったという例もあります。
言葉で思いを伝えようとしても、思っていることの半分も伝えられないものです。しかし、人はネガティブな情報に注意が向きやすいという性質を持っているため、ネガティブなインパクトだけは、10が20になって相手に伝わってしまいます。
相手を注意したり文句を言ったりするときには、そのつもりで言葉の配慮や加減をすることが大切だと思います。
■AをほめるためにBを否定しない
◯ Aはとてもいいね
![津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/1/200/img_f1cc655c679c80bb69ccacf3d2bba383227660.jpg)
「Aをほめたい、良さを伝えたい」と思うときに、ついやってしまいがちなのが、別のものBと比較し、Bをけなしてしまう言い方です。
考え方や好みは人それぞれであり、当然Bが好きな人もいます。なので、こういう言い方をしてしまうとBが好きな人を傷つけてしまったり、「この人とは話が合わないな」と思われてしまう可能性もあります。
一番の目的はAをほめることであり、Bをけなすのはそのための補強に過ぎません。それなのに、Bのことで誰かを不快にさせたり、人間関係に問題が起きてしまっては、こんなにもったいないことはありません。
何かをほめるときには単体でほめるだけにして、「Bとは比べ物にならない」というような、ほかを否定する余計なトゲは付け足さないようにしましょう。
「A店のランチは微妙だけど、B店はすごくおいしい」「ドラマAは面白いけど、ドラマBはつまらない」など、ちょっとした雑談のときなどについ使ってしまいがちな言い回しなので、注意が必要です。
■言葉のトゲを抜けば、誰も傷つかない
このように、「損する言葉のトゲ」を抜き、「好かれる言葉」に言いかえる「言いかえ力」を身につけることができれば、ちょっとした雑談や初対面の人との会話など、あらゆる場面で信頼や好感を持ってもらえる話し方ができるようになります。
言葉のトゲがなくなれば、相手も自分も傷つかない&傷つけない、あたたかい会話を楽しめるようになれるでしょう。
会話やコミュニケーションに悩みやストレスを感じている人は、言葉の使い方を意識してみることをおすすめします。
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心理研究家
筑波大学卒。『anan』や『non-no』などの雑誌の心理テスト作成、携帯公式心理サイトの主宰、心理学的映画紹介、心理マンガ(原作)、就職適性検査の対策本の執筆、ニンテンドーDSのソフトのディレクションなど多方面で活躍。著書に『迷いがなくなる心理学 人生のサンタク』(PHP研究所)、『ジーパンをはく中年は幸せになれない』(アスキー新書)など。
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精神科医
精神保健指定医、精神科専門医。東京大学中退、国立大学医学部卒業。現在は理論的心理学と、科学としての精神医学を統合させ、悩みに潜む心理学的背景を解析するとともに、それを病院での臨床の場に実際に応用。「心理学」と「精神医学」の二方向からのアプローチで、人の悩みの真の解決を目指し、日々活動中。携帯公式心理サイトで、「ココロコラム」と「お悩み相談」のコーナーを長年担当。
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(心理研究家 津田 秀樹、精神科医 西村 鋭介)
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