娘を難関私立中に合格させたクックパッド女性本部長が「受験期にあえて仕事を増やした」ワケ
プレジデントオンライン / 2021年8月8日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2021年夏号』の一部を再編集したものです。
■◎クックパッド小竹貴子さんの場合
「一人では無理!」と判断。人を頼って乗り切った
2児の母である、クックパッドの小竹貴子さんが長女の中学受験のサポートを本格的に始めたのは、5年生の2学期の時点だった。
「娘から突然、『塾を辞めたい』と打ち明けられたんです。辞めたい原因がわからなくて、子供の中学受験を経験している先輩ママに『どうしたらいいの?』と慌てて相談しました」
長女は4年生から中学受験塾に通っていたが、それまでは子供の受験に関してはノータッチ。中学受験の経験がなかった小竹さんとしては「塾に任せておけばいいだろう」と思っていたという。
「子供の辞めたい原因の一つは算数のつまずきにあることがわかりましたが、そのほかもスケジュール管理、志望校選びとやるべきことが山積みだとわかりました。相談した方に『今からでも大丈夫』と励まされ、遅まきながら受験の戦略を考え始めました」
■コツ1:たくさんの人を巻き込んでチームを結成
小竹さんがまず始めたのは、協力者探しだった。
「とてもじゃないけど私一人で娘をサポートするのは無理だなと。だから娘の受験を応援するには、仕事と同様、チームを組んで挑むしかないと思ったんです」
小竹さんも夫も仕事が多忙なため勉強を見る余裕はない。そこでチームの要ともいえる学習のサポートとスケジュール管理は、家庭教師に託すことにした。
「家庭教師は大手の中学受験塾で教えた経験のある先生に依頼しました。さすがプロ講師だけあって、娘の算数のノートを見てすぐ『授業が理解できていない状態。これでは辞めたくなるのも無理はない』と見抜かれました。どこでつまずいているのかを分析してもらい、既習のテキストに戻って基本からやり直す一方で、『この宿題はやらなくていいよ』と娘には不要なものを教えてくれるなどした結果、娘の成績は徐々に上がっていきました」
家庭教師の先生の存在は、小竹さんの精神的支えにもなったという。
「親に勉強の心配をされることを娘は嫌がったので、娘の様子は家庭教師の先生に聞いていました。先生を車で駅まで送る車中で学習状況を聞いたり、受験の相談をしたりしていました」
相談した先輩ママは、引き続きメンターとして、愚痴を聞いてもらったり相談したり、役割を担ってもらった。
また小学校のママ友も強い味方になったという。塾の保護者会に出られないときには必要な情報を教えてもらった。塾への送りが必要なときは自宅勤務のママ友にお願いする代わり、帰宅の遅い小竹さんがお迎えを担当することもあった。もちろん塾の先生にも受験の仕組みを聞いたり、子供のサポートの仕方を相談したりするなど味方になってもらった。
「中学受験はタスクが多岐にわたります。親が一人で抱え込むのは大変なので、信頼できる人やプロの力を借りるのがおすすめです」
■コツ2:学校選びと、得意な料理は親が担当
小竹さん自身が担当したことといえば、受験校選びだ。首都圏で200校以上ある中から受験する学校を選ぶのは気が遠くなりそうだったが、子供の性格や学力、家庭の価値観などから選ぶ必要があるため、他人には任せにくいと思ったそうだ。
「塾や家庭教師、先輩ママ、知り合いに聞いたり、オンライン説明会を受けたり、情報を集めました。学校見学に娘を連れて行ったりして、第1志望校は決まったものの、前受け校は6年生の夏まで時間がかかりましたね」
また「自分が得意なことで娘をサポートしよう」と考え、健康管理には気を配った。
「私の場合、食事作りは本業でもあり、子供たちが小さな時から、腹八分目で野菜の多い献立を実践してきました。受験期には疲労回復効果のある、酢や塩こうじなどを使った料理を作りました。娘の好きな唐揚げは、塩こうじで下味をつけました。あとお酢の利いたコールスローサラダもよく作りましたね。それに、あれだけ朝から晩まで学校に塾にと忙しい生活を送っていたら、子供の体はすごく疲れているはず。睡眠時間にも気をつけました。『勉強しなさい』より『早く寝なさい』のほうが100倍くらいしつこく言ってきたかも(笑)」
勉強が得意な親なら子供の勉強をじっくり見て、その分食事作りや家事はフードデリバリーや家事代行サービスを頼るという方法もある。
「子供の受験期はなんでも自分でやろうとせず、得意なこと以外は“時間を買う”という感覚に切り替えて、頼るのをおすすめします」
■コツ3:仕事のペースを落とさない
子供の受験のために仕事を辞めたり、減らしたりする人がいる。小竹さんはそのことを知っていたが、「あえて仕事のペースは落とさず、6年生の時はむしろ増やすくらいの気持ちでいた」という。
「私は一つのことに集中しちゃうと熱量がバーッと上がるタイプ。だから私が仕事を減らしても、その分の熱量が娘に向かい、期待ばかりが膨らむ気がしたんです。『もっと勉強しなさい』とか『そんな成績で大丈夫なの?』とか、娘に不安をぶつけてしまうだろうな、と」
だからこそ、「仕事に打ち込むことで、できるだけ熱量を分散した」と小竹さんは言う。
「特に6年生の後半は、模試の成績ひとつで家庭の雰囲気が変わってしまうくらいナーバスな時期。私までそっちに流されないように、むしろ自分の世界をちゃんと持っておくことを強く意識していました」
花まる学習会・高濱正伸先生の「“ニコニコ母さん”のもとで芽は伸びる」という言葉も常に心に留めていたそうだ。
「ニコニコ母さんでいるためには、自分にとってベストな熱量の分け方を知っておく必要があると思います」
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クックパッド株式会社コーポレートブランディング担当本部長
長女は中1で、難関私立女子校に通っている。次女は小3。『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)などの著書がある。
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(クックパッド株式会社コーポレートブランディング担当本部長 小竹 貴子 文=加藤紀子 撮影=市来朋久)
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