「他人にバカだと思われても全然気にしない」破壊的な成功を収められる人の考え方
プレジデントオンライン / 2021年8月13日 15時15分
※本稿は、茂木健一郎『脳科学者が教える最高の選択』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■スムーズな選択のために必要なこと
選択をする前に各自が絶対に持っていたほうがいいことの一つが、「軸」です。軸に基づいて、「やる/やらない」あるいは「AかBか」を決めていきます。軸があると、スムーズに選択できるようになります。
選択できる人は、自分の中に判断基準となる確固たる軸を持っている人。選択できない人は、自分の中にこれといった軸がない人。そう言い切っても、間違いではありません。
![脳科学者の茂木健一郎さん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/250/img_4482d0601fdde32694136c6666458c57261123.jpg)
軸とするものは、いろいろなものが考えられます。多くの人が採用しているものは、「儲かる/儲からない」「得する/損する」「できる/できない」「得意/不得意」「カンタン/難しい」「知っている/知らない」など。相反する事項を並べてどちらにするか決める二者択一のカタチで決めることが多いようです。
この場合、2つのうちどちらか1つにするだけですから、少なくとも選ぶのはラクです。もっとも、さまざまな事情が絡んできて、むしろ「どちらか1つに絞れない」という悩ましい事態のほうが多く、それが選択できない人、選択したくない人を大量生産しているのでしょう。
決められないのであれば、軸としてふさわしいものとは言えません。それでは、ほかにどんな軸があるのでしょうか。まずは1人の起業家の軸を見ていくことにしましょう。
■イーロン・マスクが実践している選択軸
電気自動車を開発する「テスラ」や宇宙ロケットを製造開発する「スペースX」を創業したのが、イーロン・マスクです。彼が実践している選択軸は、一風変わったものです。
それは、「クレバー/フーリッシュ・マトリクス」という軸です。イーロン・マスクは、事業を始めるときにこのクレバー/フーリッシュの軸に照らし合わせて、「やる/やらない」を決めています。
直訳すると、クレバーとは、賢い。フーリッシュとは愚か。イーロン・マスクが軸としているものは、クレバーが挑戦に値すること、フーリッシュが挑戦する価値がないことと、とらえてもいいでしょう。
![脳科学者の茂木健一郎さん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/670/img_abe382267fce426b425c75f4479a6995314361.jpg)
自分から見てクレバーかフーリッシュかを横軸に、他人から見てフーリッシュかクレバーかを縦軸にしていくと、マトリクスが完成します。そこには、次の4つのゾーンが出現します。
①自分から見て賢いと思う&他人から見て愚かだと思う
②自分から見て賢いと思う&他人から見て賢いと思う
③自分から見て愚かだと思う&他人から見て愚かだと思う
④自分から見て愚かだと思う&他人から見て賢いと思う
この4つのゾーンのうち、イーロン・マスクが重視するのは①です。他人から見ると愚かに見えても、自分にすれば賢いと思えるものこそ事業として取り組むべきというのが、彼の考え方です。
ついでに言えば、他人が愚かだと思っているにもかかわらず、自分1人だけが賢いと思っているとしたら、事業の成功率は高くなります。なぜなら誰もやろうとしないから。
![イーロン・マスク(テスラ)の事業選択軸](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/1/2/640/img_12c88ecc6938899417cd1dca421c3de0230324.jpg)
■他人にどう思われるかは関係ない
愚かだと思うことは、人はやらないものです。多くの人がそう思えば、なおさら。とは言え、自分自身がやることに関して、他人がどう思うかは本来、関係のないことです。
やりたければやればいいし、それを他人が「愚かだ」と思ったとしても、やらない理由にはなりません。「『愚かだ』と思う人が多いから、やらない」という選択を下したとしたら、世間体をあまりにも気にしすぎています。
![脳科学者の茂木健一郎さん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/670/img_222a8ced45c9b46527cb0355b01cc764367212.jpg)
イーロン・マスクのような起業家は、自分がやりたいことをトコトンやって、それを成功させることに生きがいを感じる人たちです。世間の人が「愚かだ」と思うことをするのを気にしていないし、そう思われることをやっているとしたら、逆に参入する人がいなくなって「シメシメ」と、ほくそ笑むことでしょう。
■「ブルー・オーシャン」を目指す
マーケティング的に言うと、①はブルー・オーシャン。マーケットの独占状態で、参入する人も少なく、青いキレイな海を1人でゆったりと泳ぐイメージです。ここにいる人は、快適で心地よさを満喫していると言ってもいいでしょう。
![脳科学者の茂木健一郎さん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/670/img_f2e1b2cc6082f00120e18f07a1c0baab332661.jpg)
これと正反対なのが②で、こちらはレッド・オーシャン。マーケットの競争状態で、血で血を洗うような闘いが起こって、海が赤く染まってしまうようなイメージです。ここにとどまっている限り、誰もハッピーにはなれません。
![茂木健一郎『脳科学者が教える最高の選択』(徳間書店)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/200/img_38d28de33012e8d39551dbf261f63f0c149971.jpg)
他人から見たら愚かでも自分自身が賢いと思ったことはやる――。そういう軸が自分の中にあれば、どんなこともすぐに選択できるし、行動できるようになります。たとえ周りが反対したとしても、気にせずに前に進むことができます。
ちなみに、スティーブ・ジョブズもスタンフォード大学でのスピーチで「ステイ・ハングリー。ステイ・フーリッシュ」と述べたことがあります。これも「ハングリーかつフーリッシュであることを目指せ!」と言っているので、おそらくイーロン・マスクと同じようなことを訴えているのかもしれません。ハングリーでフーリッシュであれば、どんなマーケットでも成功を収めそうです。
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脳科学者
1962年東京都生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学理学部、法学部を卒業後、同大学院理学系研究科物理学専攻課程を修了。博士(理学)。「クオリア(意識における主観的な質感)」をキーワードとして、脳と心の関係を探求し続けている。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞受賞、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞受賞。
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(脳科学者 茂木 健一郎)
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