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「富裕層の一般常識」お金持ちが"現金一括払い"にこだわる本当の理由

プレジデントオンライン / 2021年8月19日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tongpatong

お金に困らない生活をするにはどうすればいいのか。経営・資産形成コンサルタントのボード・シェーファーさんは「愚かな借金をしないことが大切だ。分割払いやリボ払いでの買い物にメリットは一つもない」という――。

※本稿は、ボード・シェーファー(著)、小林節(訳)『Financial Freedom 経済的自由と人生の幸せを同時に手に入れる!』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■「賢い借金」と「愚かな借金」の決定的な違い

もちろん借金にも種類があります。住宅ローンは代償価値があり、法律で決まりがあります。それ以外に、自分の会社に対してや、個人的なローンもあります。

私は、消費者信用は非常に危険だと考えています。

家具、車、旅行、楽器、テレビ、洗濯機などは、典型的な消費者分割払いの対象です。アパートに引っ越したら、それに合った家具が必要だと思っている人はたくさんいます。こういう人は、消費者ローンを組まないようにおすすめします。「自分が欲しいものと必要なものは違う」のですから。

会社を設立する際の負債はまた別物です。今日では、O.P.(他の人)とO.P.M.(他の人の資金)という2つの大黒柱なしには速やかな成長は望めません。

消費者信用の長所と短所を見てみましょう。まずは長所です。

……。何もありません! 消費者信用は愚か。破壊的、意欲のエネルギーを消費し、大概は悪循環にハマって終わります。

私たちはお金の問題解決のために、長期的か、短期的な間に合わせか、のどちらかにエネルギーを注ぐことができます。しかし、短期的解決では、実は長期的な目的は達成されません。

私たちの目的は裕福になることです。今お金を借りて裕福であるかのような生活を送っていては、いつかモチベーションは下がります。

なぜなら、しばらく経つと、事態が良くなっていないことに気づくからです。お金は数えられます。もし、資産を数えてゼロより少なければ「なぜ自分は働いているんだろう?」と考えてしまうでしょう。

■「将来の収入」を当てにしてはいけないワケ

借金をして、仕事が与えてくれるはずの未来のご褒美を今もらってしまっては、モチベーションが下がるのは当然です。

クレジットカード
写真=iStock.com/bernie_photo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bernie_photo

モチベーションが下がる最後の理由は、自分で消費者信用は「良くないこと」と感じているからです。自分の良心に反して行動すれば自尊心を弱めます。自尊心が弱まれば、モチベーションも下がってしまうのです。

モチベーションは、将来良くなるだろうという期待に応じて上がります。理想の状態に到達するには、長期的なプランを立ててエキスパートとならなければなりません。

個人的に借金を抱える人には、プランを立てる時間もモチベーションもありません。その代わり、「重要でないが対応しなければならないこと」に追われます。

個人的な借金をした場合に予期できることがあるとすれば、逆説的ですが、予期できないことが起きるということです。ローンを組む人は、将来の収入で欲しいものを今日購入しています。

でも、将来収入がなくなる可能性はあり、予期しない状況が発生する可能性もあります。もし、予期できない理由で収入が下がり、分割払いの返済ができなくなれば、モチベーションと人生の喜びをなくしてしまいます。

■「今を楽しみ、痛みを避ける」分割払い、リポ払いの罠

経済的な自由をつかみたいのなら、自分が間違った信念を持っていた、もしくは持っている、と認識することです。

脳の仕組みを思い出してみましょう。私たちは痛みを避けて、喜びを求めるために色々なことをします。負債を抱えるのは、今痛みを避けたいと考えるからです。欲しいものが手に入らない、ことは痛みになります。気に入った服を買ったり、旅行の予約をしたりすれば喜びを感じます。

買い過ぎが長期的に困った状況につながるということは、脳にはそれほど重要ではありません。短期的に痛みを避けて、楽しみたいと思うからです。

人間は戦略的に計画して、分析する能力を進化させてきました。しかし、「今の痛みを避け、喜びを感じたいというプログラム」は、「計画・分析するプログラム」より強力です。

長期的に大きな負債を抱える苦しみが、今何かを我慢する短期的な痛みより、ずっと大きいことは誰もが知っています。でも、過去4000年にわたり、個人負債は減る方向に進んでいません。

「今を楽しみ、痛みを避ける」プログラムがいかに強く私たちの行動を左右するか、バビロニア人の例を見てみたいと思います。

■自分を担保に金を借りた古代バビロニア人の末路

古代バビロニアには、すでに消費者信用がありました。バビロニア人は今の銀行の前身となる金貸しの所に行き、「お金を貸してほしい。保証は○○(担保は○○)」と話をしました。

バベルの塔
※イラストはイメージです(イラスト=iStock.com/ZU_09)

現在ある担保以外に、バビロニアで担保にできたのは自分自身でした。誰もが自分を担保にできたため、ローン業は非常に繁盛しました。返金ができない人は奴隷として売られたのです。住宅が売りにかけられるように、人間が売りにかけられたのです。

10人中9人の奴隷が「壁で亡くなり」ました。

ギリシャの歴史家ヘロドトスの記述によると、バビロニアの壁は古代世界7不思議のひとつです。新バビロニアの創設者ナボポラッサルの下で増設された壁は50メートルの高さがあり、長さ18キロで幅は6頭の馬が並んで走れるほどでした。

壁を立てたのは奴隷です。陽が容赦なく照る下でレンガを積み上げる奴隷たちの仕事は、とても辛いものでした。奴隷の平均寿命は3年です。疲れて倒れたら見張りがムチ打ち、それでも立ち上がれなければ、壁の上から落とされて下の岩に当たって一生を終えました。死体は夜のうちに片づけられます。

■目先の楽しみのためにお金を借りては裕福になれない

バビロニアの住民は、これを毎日見ていましたので、奴隷の仕事を誰もが知っていました。興味深いのは、奴隷の3分の2は戦争の捕虜ではなく、バビロニア人だったことです。

こんなリスクを負うことがわかっているのに、何を考えて自分を担保にこんなローンに応じるのだろう……。しかも、何が起きるか知っているのに……。あなたはこう考えたでしょう。

その答えは、人間の脳が、今を楽しみたい、今の痛みを避けたい、と思うからです。将来、自由がなくなり、痛みを感じ、奴隷として人生を終えるのは、今より遠い先の苦しみです。

目先の喜びのためにお金を借りてしまえば、いくら自分の経済状態を分析しても、裕福にはなれません。

■借金を防止するアメとムチの定義

お金を借りたバビロニア人の多くが奴隷になりました。でも、金貸しからお金を借りずに、お金をうまく扱えたバビロニア人も当然います。この人たちは自分の財産を築き上げ、バビロニアを裕福な都市にすることに貢献しました。この違いは、どこにあったのでしょう?

才能があるのに破産した人もいれば、ゼロから始めて資産を稼ぎ上げた人もいます。両者の頭の中には「ムチを避けてアメを手に入れる」プログラムが入っています。

違いは、何をムチ、何をアメ、と定義しているか、という信念です。何を痛みと感じ、楽しいと思うかは自分で決めることができます。

絹のデザイナーブランド品で、高いネクタイしかしない人を知っています。この人は、ノーブランドのポリエステルのネクタイはしません。風でネクタイがはためいて、低レベルのブランドロゴが見えてしまった場合、心身に痛みを感じるからです。

逆に、高いネクタイを買うことに痛みを感じ、安くネクタイを手にできたら喜びを感じる人もいます。これが、信念が、痛みと喜びを決める証です。

■借金を抱える前に自分に問うべき7つの質問

私たちは、論理的洞察や抱負に基づいて行動するのではなく、信念に基づいて行動します。信念を変えることで、経済的状態が変わります。

「なぜ、自分はたくさんお金を得る価値があるのか?」を考えてみてください。

あなたが負債を抱える原因となった信念はなんですか? それを考える助けになる質問をいくつか挙げます。

・負債があるとどのようなメリットがあるでしょう?
・逆説的ですが、たとえば、自由ではなくなる、限界、イメージが悪くなる、気楽などです。
・負債をなくすとどのようなメリットがあるでしょう?
・負債なしのメリットを享受すると、さらにどのようなメリットが生まれるでしょう?
・どんな信念が負債の原因なのでしょう?
・このまま負債を持ち続けるくらいなら、何を我慢しようと思いますか?
・今後どうしようと決めましたか?

本書『Financial Freedom 経済的自由と人生の幸せを同時に手に入れる!』の第5章で紹介している方法で、信念を変えてください。自分をプログラムし直して、人生をマスターしてください。偶然持ってしまった信念によって、自分を奴隷にしてはいけません。

■借金を減らすための12の実用的ヒント

ここで、借金を減らすための12の実用的なヒントをご紹介します。

ボード・シェーファー『Financial Freedom 経済的自由と人生の幸せを同時に手に入れる!』(青春出版社)
ボード・シェーファー『Financial Freedom 経済的自由と人生の幸せを同時に手に入れる!』(青春出版社)

1 長期的な目的に意識を向けましょう。考えも、発言も、行動も、この目的に合わせてください。
2 信念を変えましょう。信念を変えずに、ここでご紹介するヒントを応用しようとしてもムダです。
3 「これくらいなら、いいかな」とは考えず、1円もムダにしないこと。
4 支出を書き出しましょう。面倒だと思いますが、やる価値があると保証します。予算プランを立ててください。
5 借金があるなら今すぐクレジットカードを捨ててください。口座に500万円保持するようになったら新しくカードをつくりましょう。
6 誰かにお金の貸しがないか、すべてリストアップしましょう。貸した相手の所に行って、返済してもらいましょう。分割払いを提供してもいいでしょう。少しでも返ってくれば家計の助けになると考えてください。
7 債権者とはオープンに話しましょう。何かを隠しても、問題を大きくするだけです。オープンに話せば、理想的な返済計画を受け入れてもらえることも多々あります。
8 返済額は、毎月支払おうと思っていた額の半分以下を提案しましょう。その理由は、すぐに倹約を始めるため、必ず返して債権者を安心させるためです。
9 支出のたびに、これは本当に必要か? と自問しましょう。
10 さらなる収入源を探しましょう。
11 毎月の最大支出額と最低収入額を決めましょう。
12 切迫感を演出しましょう。絶対的な緊急事態をシミュレートして、できるだけ早く行動してください。

もう信念を変えて、クレジットカードを捨てましたね!?

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ボード・シェーファー(ぼーど・しぇーふぁー)
経営・資産形成コンサルタント
16歳でアメリカに渡り、20歳で最初の会社を設立するが、26歳のとき大きな借金を抱え倒産。その後30歳で借金を完済。経営コンサルタントとして成功を収める。お金と資産形成にかんする本の著者としても著名で、代表作『Der Weg Zur Finanziellen Freiheit』(The Road to Financial Freedom)は世界1000万部以上のベストセラーで30か国語以上に翻訳されている。

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(経営・資産形成コンサルタント ボード・シェーファー)

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