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「糖質オフなら大丈夫」と考える人が絶対ダイエットに成功しないワケ

プレジデントオンライン / 2021年8月29日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RossHelen

新型コロナウイルスの爆発的な感染増加が続き、新たにラムダ株の国内侵入が確認されるなど予断を許さない状況だ。そんな中、水面下で別の“大きな健康リスク”が現実のものとなりつつある、と警鐘を鳴らすのが、『糖尿病の真実』などの著作で知られる水野雅登医師だ。最前線で患者の治療に当たる水野氏が、コロナ自粛生活の中で生活習慣病から体を守る秘訣を教示する──。(第3回/全3回)

■体重増加、生活習慣病を防ぐ手立て

コロナ禍の自粛生活が1年以上続き、体重がどんどん増えている人が大勢います。その影響で、血糖値や血圧、コレステロール等の数値が悪化し、「生活習慣病予備軍」になっているのですが、そのことに気づいていません。

健康診断で体重増加の指摘を受けても、多くの人は「近々、運動しようと思っています」「再開しようと思っています」と言うだけで、何もしないまま終わります。そして、翌年の健康診断でも増えた体重はそのまま、もしくはさらに増量をしているのに、同じことを口にするのです。

今ならまだ間に合うのに……と医師としていつも考えてしまいます。

行動を変えなければ、健康状態は変わらないか、坂道を転がり落ちるように悪化していきます。自粛や各種制限で失った健康を取り戻す行動をとるため、ぜひ次の2つを指標にしてください。

①血糖値を上げない。血糖値を下げる
②体重(内臓脂肪)を増やさない。体重(内臓脂肪)を減らす

この実践によって、ダイエットはもちろん、糖尿病や高血圧など、各種疾患の発症リスクを抑え込むことが可能です。

■「低インスリン状態をキープ」で勝手に痩せる

そのために具体的に行うべきことを、詳しく見ていきましょう。

まず、「①血糖値を上げない。血糖値を下げる」です。これを実現する最大の一手は、「低インスリンを保つ」ことです。これは、糖尿病だけでなく、血管を守ることで高血圧や心臓・血管系の疾患の予防にもつながる「基本」です。

私たち人間の体は、肥満ホルモンである「インスリン」の分泌を必要最小限にしておくのが、最も健康的な状態といえます。体に脂肪をため込む働きを持つインスリンがなければ、身体は脂肪をつけることができません。

逆に、過剰にインスリンが分泌されると、体には実にたやすく内臓脂肪がついていきます。そして、さまざまな生活習慣病を引き起こしたり、悪化させたりします。

■インスリンの「追加分泌」を抑えよう

また、自ら分泌したインスリン自体が細胞内で活性酸素を発生させ、細胞に酸化ダメージを与えてしまうことはあまり知られていません。

体内の酸化が進むことで、血管も臓器もボロボロに傷めつけられることになります。糖尿病を発症すると血管がボロボロになって、高血圧も併発する人が多いのは、このためです。

つまり、体内を低インスリン状態に保つことは、体重(内臓脂肪)を減らし、血糖値を下げ、血管や内臓を守ることにつながる、ということです。

インスリンは、24時間、持続的に私たちの膵臓(すいぞう)から分泌されていて、体内のインスリン量が完全にゼロになることはありません。持続的に分泌されるインスリンを「基礎分泌」といいます。そして、食後に追加で分泌されるインスリンを「追加分泌」といいます。

私たちの体に脂肪をつけるのは、この追加分泌が出ている間だけです。そして、食事のコントロールによって、この追加分泌をできる限り抑えることで、身体は勝手に痩せていきます。もっといえば、インスリンの追加分泌が出ない時間が長いほど、痩せる効果が高いということです。

■健康な人は糖質1食40g以下に

インスリンの追加分泌量を最小限にするためのポイントは、次の2つです。

1つ目は、糖質を摂る量を控えめにすること。最もインスリンの追加分泌を引き起こすのが、糖質だからです。

なお、「炭水化物」は、「糖質」と「食物繊維」を併せて表現する単語です。食物繊維は、腸から体内には吸収されないため、インスリンの追加分泌もゼロです。

現在、健康に問題がなく、肥満もない人なら、1食あたりの糖質量を40g以下にするのが目安です。糖質40gは、ごはんでいえば茶碗に軽く1杯というところです。

すでに体重が増えていてダイエットが必要な場合には、1食あたりの糖質は20g以下を目安にしてください。野菜や肉、調味料に含まれる糖質は気にせずに、主食を抜く、といったイメージです。このレベルの糖質オフで、はじめて内臓脂肪減少効果が得られます。

■「クッキー1枚くらいなら大丈夫」は勘違い

インスリンの追加分泌を抑える2つ目のポイントは、インスリンの追加分泌を起こす機会を減らすこと。つまり、食べ物を口にする回数をなるべく減らすということです。

先に、低インスリン状態が長いほど、身体は勝手に痩せていくと書きました。つまり、空腹の時間が長いほど、痩せる時間が増えるということです。

逆に、休みなく口に何かを入れてインスリンの追加分泌を頻繁に起こしてしまうと、身体が痩せる時間が短くなってしまいます。

よく、「クッキー1枚くらいなら大丈夫」「ミニサイズのアイスなら太らないよね」と考える人がいますが、残念ながらそれは間違いです。量よりも、その食品がインスリンを分泌させるものかどうか、身体に脂肪をつける反応を起こすものかどうかが、重要です。

糖質は、たった5gでインスリンの追加分泌を起こしますから、食間にどうしても何か食べたいときにも、糖質は避けることをおすすめします。

また、「糖質オフのものなら大丈夫」と思う方もいるかもしれません。しかし、これも間違いです。「糖質○%オフ」とうたってはいても、糖質を一定量含む製品がほとんどで、現実は「多少はマシ」という程度でしかありません。

食器を持つ手と3種のパスタ麺
写真=iStock.com/Georgii Boronin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Georgii Boronin

100g中の糖質が20gを軽く超えている食品もよく見かけます。もともとの糖質量が多い食べ物は、たとえ「糖質オフ」にするような加工をしたところで限度があるのです。

■低インスリン状態をキープする方法

「太る」というと「アブラ!」と反射的に思う方が、まだまだ多くいます。しかし、これは事実ではありません。脂質だけを摂った場合、インスリンの追加分泌は起きないため、太ることはないのです。

一方で、タンパク質を摂取した場合には、インスリンの追加分泌が起きます。糖質ほど多くはありませんが、肥満のある方の場合は、タンパク質だけでもかなりの追加分泌が起こることが知られています。

このため、タンパク質も体重(kg)の4~5倍のグラム数など、超大量に摂取するのを毎日毎日続けた場合には、太る可能性があります。

とはいえ、そこまで大量にタンパク質だけを食べ続けることは、よほど大食の人でなければ難しいでしょう。また、現代日本人の多くはタンパク質不足で、体重(kg)の1倍どころか、半分以下というケースもまれではありません。タンパク質に関しては、さほど摂り過ぎを心配することはないといえます。

■主食を肉や卵、魚などのタンパク質にする

逆に、日本人はタンパク質不足を心配する必要があるといえます。

タンパク質は、筋肉以外にも、全身の細胞を作る材料になり、消化酵素や代謝酵素の材料にもなります。私たちが健康的に生きていくには、タンパク質が必要不可欠なのです。

タンパク質の1日の摂取目安は、体重(kg)×1g(体重50kgの場合は50g)です。しかし、私たち現代日本人のほとんどは、この量さえも摂れていないことがほとんどです。

これまでの糖質過多な食事で、内臓脂肪がたっぷりつき、インスリンの作用で血管も内臓もボロボロの人の場合は、その修復のためにタンパク質がたくさん必要になります。たとえば、私は糖尿病や高血圧、動脈硬化がある患者さんには、「体重(kg)×2gのタンパク質を摂ってください」とお伝えしています。

健康な方の場合も、コロナ禍での体重増加、生活習慣病の罹患リスクを抑えるためには、できるかぎり糖質を控え、不足しているタンパク質をしっかりと摂る意識をもってください。

今日から主食は肉や卵、魚などのタンパク質──と考えを新たにするとよいでしょう。逆に、ごはんやパンなどの糖質は「デザート」と位置づけして、食事の最後に少量食べるぐらいが健康的です。もちろん、食べないで済むならそのほうがベストです。

■自制心を当てにせず「環境」を整える

テレワークになってから、手を伸ばせば食べ物がいつでも食べられる環境になったことで、体重が増えてしまった方が大勢います。この環境にいる限り、体重はどんどん増え続ける可能性は高いといえます。

「甘いものを見ただけでもインスリンが出る」という報告があります。また、見ただけで脳内にドーパミンが出て、欲しくなってしまいます。こうなると、自分の意志で食べないでいることは難しくなりますし、我慢できたとしてもストレスになってしまうでしょう。見る度に我慢を強いられ、その反動でドカ食いをしてしまうこともよくあります。

糖質には中毒性があるため、「自分の自制心を当てにはできない」と割り切りましょう。タバコやお酒を止めるのと同じように、そもそも家の中には糖質を持ち込まない、というところから始めてみてください。買ってこない、置かないことです。

家族がいると難しい場合には、なるべく視界に入れないように工夫をしたり、家族にも協力をしてもらったりするとよいでしょう。

それでも甘いものやラーメン、丼物が食べたくなってしまうときはあります。そんなときには、「食べていい食べ物」のことを思い浮かべてください。つまり、肉、卵、ホエイプロテインのことを考えましょう。

■一人でできる運動を実践

攻めの戦略としては、運動量を増やして体重(内臓脂肪)を減らすことを目指します。ここで重要なのは、やみくもに運動するのではなく、確実に効果が得られる、科学的かつ効率的な運動をすることです。

とはいえ、コロナ以前のように、ジムやプール通いをしたり、大勢で集まってサッカーや野球ができるようになるのは、まだしばらくは難しそうです。かといって、社会が元に戻るのを待っていては、あとどれくらいかかるかわかりません。いろいろな制限がある中で「今、できることをする」のが、現実的です。

国や自治体から不要不急の自粛要請が続いてはいますが、運動に関してはスポーツ庁が「屋外での運動や散歩等まで控える必要はない」としています(2021年8月執筆時)。当然ながら「感染対策をしたうえで」との但し書きが付きますが、一人でウォーキングやジョギングをしたりする分には問題ないと考えてよいでしょう。

また、ステイホームが広がると同時に、たくさんのジムやスポーツ系のスクールがオンライン配信を始めたり、個人のインストラクターがYouTubeで配信をしたりと、自宅で運動をするためのコンテンツも充実してきました。自分の好みのコンテンツを探して、日替わりでやってみるのも、飽きがこないよい方法でしょう。

私自身は、腹筋ローラーでトレーニングしたり、仕事の移動も自転車や一部を徒歩でするなどの対策をしています。

■効率よく脂肪を燃焼させるには

効率よく脂肪を燃焼させる運動のポイントは、2つあります。

1つは、脂肪燃焼に必要な栄養を十分に摂ること。足りない栄養があると、運動をしても脂肪が燃えにくくなってしまうからです。脂肪燃焼に絶対に欠かせないのが、タンパク質、鉄、ビタミンB、C、カルニチンです。

水野雅登『糖尿病の真実』(光文社新書)
水野雅登『糖尿病の真実』(光文社新書)

タンパク質が足りないままに運動すると、身体は足りないエネルギーを埋めるものとして筋肉を削って糖に変換しようとしてしまいます。これを「糖新生」といいます。

とくに運動前後にはしっかりとタンパク質を摂ることを忘れないようにしてください。スピーディに確実に摂取するためには、プロテインやアミノ酸製品がおすすめです。

鉄、ビタミンB、ビタミンCは、体の脂肪燃焼の反応に必要な栄養素です。カルニチンも体脂肪燃焼をサポートする働きを持つため、不足すると体脂肪が燃えなくなります。

鉄やビタミンB、カルニチンはタンパク質が豊富な食品から摂取ができますが、これまでにタンパク質不足が長期間続いていた場合には、かなりの不足があると考えてください。その場合は、食品から摂る量ではとても補えないため、ビタミンCも合わせて、サプリメントから摂取するのが現実的です。

今現在、肥満がある人は、全員不足していると考えてください。もしも健康診断や人間ドックで数値に“危険フラグ”が立った場合には、今すぐ「考え方」「食事」「運動」を変えましょう。

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水野 雅登(みずの・まさと)
医師
1977年、愛知県生まれ。2003年に医師免許取得(医籍登録)。日本糖質制限医療推進協会提携医。著書に『薬に頼らず血糖値を下げる方法』(アチーブメント出版)、『医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)、『糖質オフ大全科』(主婦の友社)など多数。

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(医師 水野 雅登)

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