軽症コロナ患者を意図的に入院させて「補助金特需」に沸く悪徳病院の高笑い
プレジデントオンライン / 2021年8月25日 11時15分
■「これ以上の病床数確保はムリ」現場の悲鳴
新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染拡大を受けて、コロナ患者用の入院病床数が不足している。高齢者のワクチン接種を終えた2021年夏の第5波は、20~50代の現役世代の入院が急増しているのが特徴である。
8月23日、小池百合子都知事と田村憲久厚労相は合同で、都内の医療機関に対し「コロナ患者を最大限受け入れること」「正当な理由なく応じない場合は病院名を公表する」と要請した。
国はこれまでもコロナ受け入れ病院に対して「一床あたり450万~1500万円」の補助金を出して病床確保に努めてきたが、マンパワーが不足していた。なかでも「夜勤可能な看護師」が非常に不足している。
「看護師本人が夜勤に耐えられるレベルの健康状態で、家庭内に子供・糖尿病・喘息などの健康弱者がいない」さらに「人工呼吸器も扱える」「感染症に詳しい」レベルとなると病院同士で奪い合いの状態である。「コロナ病床、夜勤アリ、月200万円」の看護師求人広告も出現し、「これ以上の病床数確保はムリ」という現場の悲鳴も大きい。
■医師たちに囁かれる「偽装中症病床」
一方、こうしたコロナの猛威と闘う医療現場が多いなか、一部にはそれとは真逆の不届きな病院もある。実は、最近になって、医師たちの間でささやかれるのが、「偽装中症病床」の存在だ。
病院は「コロナ病床」としての補助金をもらいつつ、「PCR検査は陽性だが深刻な呼吸不全はない軽症者」を意図的に入院させておくのだ。そうすれば手もかからない。救急隊には「満床」と報告しておけば、それ以上追及されることはない。
入院する患者としても恩恵を享受できる。「ベッドでゴロゴロしながら1日中ネット動画鑑賞、入院費タダで食事も確保、傷病手当金や保険金は丸儲け」のような状態となり、病院/患者とも「win-win」となる。そして、そのしわ寄せが、入院できない中重症患者(や納税者)に来ているのが現状とも言える。
■「偽装中症」患者を自発的に退院させる方法
入院できず自宅療養する人が大量にいる中、これが事実であれば大問題だが、この「偽装中症」と「真の中症」を区別できるシンプルな方法がある。しかも、それはスイッチひとつでできる簡単なやり方だ。
例えば、こうした実例がある。
関東地方の複数の医師によれば、コロナ患者の入院判定にあたって、本人が強く入院を希望したにもかかわらず、「病床にWi-Fiがない」と聞いたとたん入院希望を撤回する軽症者が存在するという。また、入院したものの「ネット回線が遅く動画鑑賞できるほどではない」と分かったとたん「自宅療養に戻りたい」と出て行ってしまう。数時間とはいえ、コロナ患者が使用した部屋や寝具は消毒や廃棄せざるを得ないので、病院としても非常に迷惑だが従わざるを得ない。
■「患者向けWi-Fi制限」で病床確保を
そこで、逼迫する医療体制を脱するべく、速やかなコロナ病床確保や病床運営方法として、病床が不足している地域では「患者用Wi-Fi制限」を提案するといいのではないか。
そもそも「ネットで動画鑑賞」できるレベルの患者とは、本来は健康保険を使って入院するような存在ではなく、自宅もしくはホテル療養を勧めるべきである。
あるいは「5分1000円」のような高額接続料金を設定しておけば、軽症者はたまりかねて自発的に退院するだろう。
「苦しくてネット動画どころではない」中重症患者のみが自然に院内に残ることになる。また、病院の業務用Wi-Fiと患者用を分離運営するのが困難な施設では「入院中は電子機器使用禁止」として、スマホやタブレット端末をナースステーションで預かることにすれば、今日からでもコストゼロで実行可能である。
東京都と厚労省は、命がけで頑張っている医療機関・従事者に鞭打つような勧告を行うぐらいならば、シンプルだが実は現役世代のネット依存を活用した、病床運営の適正化をお勧めしたい。
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フリーランス麻酔科医、医学博士
地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、12年から「ドクターX~外科医・大門未知子~」など医療ドラマの制作協力や執筆活動も行う。近著に「フリーランス女医が教える「名医」と「迷医」の見分け方」(宝島社)、「フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方」(光文社新書)
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(フリーランス麻酔科医、医学博士 筒井 冨美)
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