女性がキャリア選択で迷ったときに役立つ「思考傾向」チェックテストとは
プレジデントオンライン / 2021年9月24日 8時15分
■環境やイメージが昇進意欲を下げている
「なぜ女性は管理職になるのをためらうのか?」と問われれば、多くの人は、おそらく、以下の2つの問題を指摘するのではないかと思います。
1つは、依然として女性の働く環境が整備されていないという問題。いまもなお、家事や育児の大部分は女性が担っており、企業サイドには相当な配慮が必要なはずですが、多くの企業は、まだとても十分といえる状況にはありません。そんな中で管理職をやれと言われたら、腰が引けるに決まっています。
もう1つは、管理職のイメージの悪さです。各種アンケートの結果を見れば、「責任が重い」「上司と部下の板挟みでストレスがたまる」「大変なわりに報われない」など、あまり良いイメージがなく、ただでさえ働く環境に不満のある女性が、「なりたくない」「できれば避けたい」という気持ちを抱くのは、仕方ないことのように思われます。
■「本来なるべき人」まで、なりたがらない不幸
女性が管理職になることにためらいを感じていることの主な原因は、環境やイメージなどの「女性の外側にある問題」だと考えて、たぶん間違いありません(ここでは「外的問題」と呼ぶことにします)。
では、これだけで、「ためらい」が説明しきれるかといえば、事はそんなに簡単ではない気がします。外的問題の陰になってわかりにくいのですが、女性特有の「内的問題」、つまり心理というか思考の傾向というか、そうしたものもまた、「なりたくない」と考える人の比率を高めているように思えるのです。
そうした内的問題によって「本来は管理職になるべき人」まで、「なりたくない」と考えるようになっているとしたら、本人にとっても会社にとっても、大変不幸なことです。
■「明確なメリットが見えにくい変化」には警戒心を抱く
では、女性の気持ちを、必要以上に「なりたくない」に傾かせてしまう「内的問題」、別の表現でいえば「思考(心理)の傾向」とは、どのようなものなのでしょうか。
個人差もあり、一概にはいえませんが、女性は、男性と比較して、「明確なメリットが見えにくい変化」に対して警戒心が強いように思われます。大昔から、家を守る役割を担ってきた女性たちが、そういう思考傾向を持つに至ったとして、そこに何の不思議もありません。
こうした思考傾向は、キャリア選択のような、人生の岐路となる大きな局面でとくに顕著にあらわれ、必要以上に堅実な方向、つまり「変化を避ける」という方向へと思考を傾けやすくします。
本来、キャリア選択は、自己の能力や価値観などを踏まえて、自由に、広い視野で行う必要がありますが、「明確なメリットが見えにくい変化」への警戒心が強いと、未体験のキャリアはほぼ選択肢にならず、メリットを熟知した「既体験の仕事」という、変化度の低い、狭い範囲のキャリアだけが選択肢として残ることになります。つまり「変化を避ける選択」がなされてしまうのです。
まして、メリットよりもデメリットのほうが目立ってしまう管理職であれば、警戒心は強まりやすく、「なりたくない」という気持ちになるのは当然といえば当然です。
■状況は変わる。冷静かつ自由に、悔いのない選択を
いまのところ、こうした思考傾向の存在は、あくまで個人的な仮説にすぎません。
しかし、「人生の岐路」という、キャリア選択の重要性を念頭に置けば、仮説を頭に入れておくことには、十分に意義があると考えます(個々の女性だけでなく、企業の女性活躍の推進担当者などにも知っていただきたいと思います)。
本来は、管理職としての適性があるにもかかわらず、「明確なメリットが見えにくい変化」への警戒心で、その可能性を否定してしまう。それがその人を幸福にするとは、とうてい思えないのです。
確かに、現在の状況で女性が管理職になることは、メリットが見えにくいと思います。でも、状況は刻々と変わっていくものであり、それにこだわって、自分の「本来の価値」を見失ってはなりません。きれいごとでなく、処遇面で「大損」をする可能性だってあるのです。
「診断テスト」は、キャリア選択において要注意な「変化に対する警戒心の強さ」について、あなたの現状をチェックするためのものです(あなたが「管理職になるのをためらっている」としたら、診断結果として示す4タイプの思考傾向の一部ないしは全部が、その気持ちを生み出している可能性があります)。
心の奥深くにある、根深いものではありますが、きちんと自覚し、粘り強く努力を重ねれば、正しい方向に変えることは不可能ではありません。悔いのないキャリア選択をするために、ぜひ診断テストにトライしてみてください。
「管理職にならない」と決めてしまう前にぜひ!
■キャリア選択で失敗しないための「思考傾向チェック」
キャリア選択は、自由に、広い視野で行う必要がありますが、変化に対する警戒心が強いと、みずから選択の幅を狭くし、結果として選択に失敗することになりがちです。
そうした「失敗のしやすさ」には個人差があり、失敗しやすいかどうかは、その人の日常の思考傾向を見れば、ある程度推測できます。この診断テストは、質問文に対する回答結果をもとに、あなたの「失敗のしやすさ(のレベル)」と、これにもっとも強く影響を与える思考傾向とを推測するものです。ぜひトライしてみてください。
![チェックの仕方](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/d/500/img_6d9d8a559b0f37453457344e99d27106542726.jpg)
![診断テスト](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/a/670/img_8a5a52f6c92f86e7462eb286dec37332915169.jpg)
![診断結果1](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/f/670/img_4f1f2ef5f9872e7cbc8f9365a9d75351349254.jpg)
![診断結果2](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/9/670/img_392f9e56d497939ba31029906017efd01605255.jpg)
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キャリアサイエンス研究所 代表取締役所長
1959年山梨県生まれ。東京大学文学部卒業後、産能大学経営開発研究所(当時)入職を機に、HRD(人材開発)に関する理論研究者・コンテンツ開発者としての道を歩み始める。独自の理論体系と、それに基づき構築された教育プログラムを企業、人材教育会社に長年にわたり提供。主な研究テーマは「思考システムとしての人間」。著書に『「不安」にならない練習』(小社刊)ほか。
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(キャリアサイエンス研究所 代表取締役所長 奈良 雅弘 イラスト=丹下京子)
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