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「売れ筋の9割を占めるが買ってはいけない」金融のプロが自腹で買っている投資信託のタイプ

プレジデントオンライン / 2021年9月4日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

手堅く資産をつくるにはどうすればいいのか。東証一部上場企業CFOの北村慶さんは「『長期・分散・積立投資』による資産形成がおすすめだ。5つのポイントを意識するといい」という――。

※本稿は、北村慶『金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■最初に考えるべきことは「毎月いくらなら投資に回せるか」

筆者が推奨する、『長期・分散・積立投資』による資産形成を成功させる具体的なポイントをいくつかご説明していきたいと思います。

筆者が考える資産形成を成功に導く主なポイントは、

①無理のない金額を、
②自動引き落としによる毎月積立で、
③分散が効き、長期投資が可能な商品の中から、
④中途で分配金を受け取ることなく、
⑤手数料の安い商品を選んで投資する

という5つです。

まず、最初に考えるべきことは、毎月いくらなら投資に回せるか、という点です。

それぞれのライフスタイルやご家族も含めた将来設計・ライフプランを考え、無理のない金額を設定していただきたいと思います。

一度、設定した金額を途中で減額することのないように、生活費に食い込まない範囲で、投資に回せる金額を、ご家族で相談して決めていただきたいと考えます。

例えば、コロナ・バブルとも言える現在の株高が崩れた時に多くの投資信託を購入することができれば、将来相場が回復するにつれて、あなたの資産は膨らんでいきます。

今、無理をして多額の積み立てを開始し、その後月々の投資金額を減らさざるを得なくなり、まさにそのタイミングで相場が下落して積立のチャンスを逃す、というのは避けたいシナリオです。

無理のない範囲で毎月の投資金額を決める。それが『長期・分散・積立投資』の第一歩です。

■自動引き落とし・天引きが一番

筆者は、13年前から1月も休まず『長期・分散・積立投資』と続けていますが、13年前の手取り年収の10%を年間の投資額の上限と考え、その範囲内で年間の投資額を決め、それを12で割った金額を毎月の積立額としてきました。

お金
写真=iStock.com/frema
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/frema

世界的なロングセラーの『バビロン大富豪の教え』という本にある「資産形成のためには、収入の10分の9でやり繰りし、残りの1を運用に回すべし」という“教え”に従ったものです。

「人間の欲望に際限はなくお金があればそれを使ってしまうが、10ではなく9の範囲で生活をしようと思えば何とかやりくりをするもの」であり、「残りの1は蓄えや運用に回すことができる」

という教えは、筆者にとっては理解しやすく、また実践しやすいものでした。

次に、資産運用を行う証券会社や銀行を決め、自動引き落としを設定してください。

定時定額で「積立投資」を行うためには、自動引き落としにするのが一番です。

忙しいビジネスパーソンは、毎月1回の投資手続きも忘れてしまいがちです。自動引き落としにすることにより、積立をうっかり忘れてしまう可能性を排除することができます。

また、趣味や遊興費がかさむ月や買いたいものがある場合など、積立用の資金をそちらに融通してしまうことも、自動引き落とし・自動積立なら避けることができます。

資産形成の成功の鍵である「定時定額の積立投資」から外れてしまうことは絶対に避けなければなりません。

揺らぎがちな意志を補強し、ルールから逸脱することを防ぐには、証券会社や銀行の「自動積立サービス」やiDeCo(個人型確定拠出年金)による給与天引きを利用するのが一番です。

■金融庁推薦の192本の投資信託

次は、いよいよ投資商品の選定です。

5つのポイントの③は、「分散が効き、長期投資が可能な商品」を選ぶことです。

結論を言えば、さまざまな金融商品の中で『長期・分散・積立投資』に最適なのは、投資信託です。より正確に言うと、投資信託の中のごく一部だけが投資対象の候補です。

実は、現在、わが国には6000種類を超える投資信託があります。

この中から選べ、と言われても私たち普通の市民に判断することは困難です。

幸い、金融庁がそのホームページにおいて、私たち普通の市民が『長期・分散・積立投資』に活用できる投資信託を192本(ETFを除く)にまで絞り込んでくれています。この中から選べば良いのです。

■資産形成に向かない投資信託の3タイプ

金融庁は、『長期・分散・積立投資』による資産形成に向かない投資信託として、以下のタイプの投信を示しています。

・短期的な運用のもの
・レバレッジをかけたもの
・毎月分配型のもの

まず、「長期投資」を行うわけですから、投資信託の運用期間が短い商品は対象にはなりません。金融庁によれば、信託期間20年未満のものが投信全体の約8割に上るとのことです。これらは不適格になります。

北村慶『金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論』(朝日新聞出版)
北村慶『金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論』(朝日新聞出版)

次に、日経平均の2~3倍の値動きをするなど複雑でリスクの高いレバレッジ型の商品も、『長期・分散・積立投資』には不向きです。

さらに、運用収益の一部を毎月受け取れる「毎月分配型」も対象外です。

実は、これが売れ筋商品の約9割を占めているのです。

しかし、資産形成を行う場合には、収益は受け取るのではなく再投資に回すことで、複利効果を狙うことが重要です。

複利効果は、長期投資において大きな効果を発揮します。

同一の投資信託への投資において、決算で生じる収益金を分配金として受け取った場合と、受け取らず再投資に回した場合では、最終的な受取金額に大きな差が出るのです。

『長期・分散・積立投資』による資産形成を成功させる5つのポイントの④「中途で分配金を受け取ることなく」は、分配型投信を排除することで満たすことができます。

成功のための5つのポイントの⑤に「手数料の安い商品を選ぶ」を挙げましたが、実は、手数料は皆さんの想像以上に運用結果に大きな影響を与えます。

金融庁も、手数料についてもいくつかの要件を課し、手数料が一定以下に抑えられていることを、推奨の条件としています。

このようなスクリーニングの結果、金融庁は、6000種類を超える投資信託の中から、『長期・分散・積立投資』に適した商品として、192本を選んでいるのです。

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北村 慶(きたむら・けい)
東証一部上場企業CFO
慶應義塾大学卒業。ペンシルベニア大学経営大学院(ウォートン・スクール)留学。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャル・プランナー一級技能士(国家資格)。ヨーロッパではプロジェクト・ファイナンスに、アメリカでは投資ファンドに携わる。その後、日米欧のクロスボーダーM&A業務及びコーポレート・アドバイザリー業務に従事し、大手グローバル金融機関勤務を経て現在にいたる。

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(東証一部上場企業CFO 北村 慶)

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