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肛門科医が警告「スマホを見ながらトイレでゆっくりする人は痔になりやすい」

プレジデントオンライン / 2021年9月9日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Svitlana Hulko

トイレで座るとき、スマートフォンを手に持つ人は要注意だ。肛門科医の佐々木みのりさんは「痔になっている人の多くに、トイレでの読書やスマートフォンいじりといった『ながらトイレ』習慣がある。トイレからは5分以内に出てきたほうがいい」という――。

※本稿は、佐々木みのり『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

■座っているだけでオシリがうっ血する

オシリのトラブルで来院される方には、必ず排便時のトイレの滞在時間を尋ねます。1回の滞在時間と、1日の合計時間です。

トイレ時間がいちばん長いのは、いぼ痔の方でした。1回平均30分前後、長い人だと1日の合計が6時間(1回当たりの最長時間は2時間)。もちろんトイレに入っている間、ずーっといきみ続けているわけではありません。本や雑誌を読んだり、スマートフォンをいじったりと、トイレで過ごす時間を楽しんでいるのです。

痔になっている人の多くに、トイレでの読書やスマートフォンいじりといった「ながらトイレ習慣」があります。

しかし、トイレでは椅子に座るのと違って、肛門が座面よりも下になります。ただ座っているだけでもオシリがうっ血し、無意識にいきんでしまっていることもあり、オシリに負担がかかります。トイレだと読書が進むという方もいらっしゃいますが、オシリのためにもトイレから出て読むほうがいいでしょう。

トイレは、原則5分以内が理想です。ドアを開けて、トイレに入り、用を足して、トイレから出るまでが5分です。トイレに砂時計やストップウォッチを置いておくのもいいですね。

意外と意識していないトイレ時間。一度測ってみてください。

■「あとちょっと」その踏ん張りが腫れのもと

毎日排便があるのに痔になっている人に多いのが、トイレに行ったものの残便感があるために、もう少し頑張って出そうとして、ついついトイレの時間が長くなっているパターンです。

「あとちょっと頑張ったら出そう……」と力を込めていきんで、出残り便を出そうとすると肛門が腫れてしまいます。無理矢理いきんで出すことは肛門に負担がかかり、腫れのもとになり、痔を発生させるきっかけとなるのです。とくに、これはいぼ痔が発達している人に多い習慣です。

出残り便を出そうとして、無理矢理いきむのはやめましょう。残便感があっても、一旦トイレから出てください。そして、水を飲む、軽く体を動かす、運動をするなどして、再度便意を感じたらトイレに入り直すようにしましょう。

腹部を押さえている女性とトイレ
写真=iStock.com/Tharakorn
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tharakorn

■ゆっくり息を吐いて10秒以内でいきむ

「どれくらい、いきんだらいいのか?」「どのように、いきんだらいいのか?」という質問を、患者さんからよくいただきます。こんなとき、実演することも難しいため、次の言葉で説明しています。

息止めて青筋たてていきまない

いきまないと、便は出ません。ただ、いきみ「すぎる」ことはよくありません。腹圧をかけて強くいきむと、肛門がうっ血して腫れてしまいます。また力を入れると肛門の穴がギューッとしまり、かえって便が出にくくなることも……。

そのような場合は大きく息を吸い込んでお腹を膨らませ、体の力を抜き、オシリの穴が開いているのを感じながら、ゆっくり息を吐いていきんでみてください。深呼吸をして息を吸い込むときにオシリの穴が開くので、呼吸を利用して排便すると出しやすいでしょう。

なお、短時間で少しいきむくらいであれば大丈夫です。1回のいきみは10秒以内で、正しくいきんで排便するようにしましょう。

■行きたくなったら、すぐトイレへ

便意を感じたけれど、今はトイレに行けないから我慢……。あとでトイレに行ったら便意もなければ、いきんでも出ないという経験を一度や二度したことはあるでしょう。

電車の中、授業中、試験中、接客中、会議中など、社会生活を送るうえでトイレを我慢しなければならない状況は年齢に関係なくあるでしょう。トイレを我慢することは「都合」かもしれませんが、カラダにとっては「不都合」です。

便意を我慢して、あとからトイレに行っても、「排便反射」がない状態で便を出さないといけないため、無理矢理いきんで便を出すことになり、まったく便が出なかったり、出ても全部出し切れずに残ったりするのです。

■便意を我慢する状態が長く続くと肛門が緩くなる

便意を我慢して直腸に便が溜まった状態だと、排便反射によってオシリの穴が緩んだままになります。このような状態が長期にわたって続くと、肛門のしまりが悪くなってしまうのです。

ちょっとの我慢が肛門のしまりを悪くしてしまうなんて、誰も想像しないでしょう。自分の都合を押しつけた結果が、オシリの悪状況として現れるともいえます。もう少し、オシリの都合にも合わせてあげましょう。

行きたくなったらすぐにトイレに行くことが理想です。

我慢できないギリギリまで待たず、「あっ!」と思ったらすぐにトイレに向かいましょう。便がスッキリ出るはずです。

■自分がスムーズに排便できる姿勢を見つける

スムーズな排便の姿勢としてよくオススメされているのが、ロダンの「考える人」のポーズです。

佐々木みのり『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)
佐々木みのり『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)

この姿勢をとると、直腸と肛門の角度が真っ直ぐになり便が出やすいからです。医学的には正解なので、大多数の人はこの姿勢でいいのかもしれません。

しかし、来院される方の中には、「考える人」の姿勢だとかえって便が出にくい、便が残る感じがすると訴える人が結構いらっしゃいます。

上体を前屈みにするよりも真っ直ぐのほうがいい、あるいは、のけぞった姿勢にすると最後の「ひと出し」が出てスッキリするという方もいらっしゃいます。そんなに人によって違うのか、と思うかもしれませんが、実際に、肛門から指を入れて診察すると、直腸と肛門の角度や腸の大きさと形は、十人十色。あなたが便を出しやすければ、その姿勢が正解なのです。オススメされている方法が合わないときは、いろいろ試してみるといいでしょう。

「考える人」の姿勢で便が出にくい人は、かかとを少し持ち上げるのではなく、足の裏全体がしっかり床につくようにして、下半身を脱力してみてください。足の裏全体が床につかない場合は、足台や段ボール箱などで高さを調節してください。

かかとを浮かすと脚自体に力が入ってしまうため、余計な力を抜くことが大切だと私は考えています。足の裏全体をしっかり床につけたことで、便がスッキリ出やすくなったと大勢の方にご報告いただきました。

実際、スムーズに便が出るためオシリにかかる負担も少なくなります。

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佐々木 みのり(ささき・みのり)
肛門科医
大阪肛門科診療所副院長。大阪医科大学卒業後、大阪大学医学部皮膚科学教室入局。皮膚科医として4年間の勤務後、1998年、肛門科医に転身。同年7月に肛門科女性外来を開設。日本でも数少ない女性の肛門科専門医・指導医。『おはよう朝日です』(朝日放送)、『痛快!明石家電視台』(毎日放送)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)ほかメディア出演多数。

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(肛門科医 佐々木 みのり)

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