気配り上手ならすぐわかる…「そうですよね」と「そうなんですね」の決定的な違い
プレジデントオンライン / 2021年9月7日 10時15分
※本稿は、三上ナナエ『その気遣い、むしろ無礼になってます!』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
■相づちは打てばいいというものではない
相づちは話し手に寄り添うためのもの。「あなたの話をきちんと聞いていますよ」のサインです。聞き手が適度な相づちを打ってくれると、話し手はリズムに乗って、とても気持ちよく話せるものです。
ただ、相づちは打てばいいというものではありません。
私は、話をしっかり聞いていると思われたくて、相づち言葉を頻繁に口に出していたら、相手の話を遮ってしまい、「かえって話しづらくしてしまったかな……」と思ったことがあります。
意識したいポイントは、大きく分けて2つあります。
■「聞いている」姿勢を示す2つのポイント
●自分が何か言おうという意識はいったん捨て、ただ受けとめるようにうなずく
「聞いているよ」という姿勢を表現するために、もっとも大事なのは、相手が話しているときに自分が話したい内容を考えないことです。
私も昔は、相手の話を聞きながらも、「何か良いことを言ってあげたいな、どう話したらいいだろう」という考えがよく頭に浮かんでいました。
しかし、同時に2つのことをすると、どちらも中途半端になりますし、それはなんとなく相手にも伝わってしまいます。まずは聞くことに集中しましょう。
特別な言葉を使わなくても、時折「うんうん」「はい」などと言うだけでもいいですし、声は出さずにうなずくだけでも、聞いている姿勢は十分伝わります。
ほとんどの場合、相手は耳触りの良い言葉を求めているわけではなく、ただ受けとめてほしいと思っているものです。「せっかく話してくれているんだから、何か役に立ちたい」という考えは、自分のエゴかもしれません。
何か言うなら話が終わってから、もしくは意見を求められてからにしましょう。
●相手の気持ちを想像し、それに寄り添った表情をしていく
表情も、聞くときに重要な要素です。相手がどんな気持ちで話しているかを考えて、
それに寄り添った表情をしていくと、相手は安心して話すことができます。話の内容によって、嬉しい表情・深刻そうな表情・驚いた表情……と、相手の心情に合わせた表情をしましょう。真剣な姿勢が伝わり、「まるで自分のことのように喜んでくれている・悲しんでくれている!」と、感動してくれるかもしれません。
この2つを実践すると、相手は格段に話しやすくなります。私自身も、これらを心がけるようになってから、以前より相手が心を開いて話してくれるようになったと感じています。
■聞き上手になる相づちのコツ3つ
さらに、余裕があれば取り入れたい、相づちのコツをご紹介します。コツを意識しすぎて聞くことがおざなりになってしまうと本末転倒ですが、自然にできるようになると、より相手が話しやすい雰囲気をつくることができます。
●相づちの速さ(首の動かし方)
・楽しい話:早め、小刻み、相手の話のスピード感と合わせる
・深刻な話:ゆっくり、深め(もうちょっとゆっくり話してほしいときも有効)
●表情のつけ方
先のポイントで紹介したとおり、相手の気持ちに寄り添った表情づくりが基本です
が、さらにこのようなことを意識すると、相手の安心感が増します。
・同意を求めている話:話のポイントでニコッとしながら聞く
・悩みごと:相手の表情と合わせる。過度に心配そうな顔にしない
●言葉
無理に言葉を足すのが難しいようであれば、うなずきと表情に集中しましょう。自然に声を出せる場合は、徐々に言葉のバリエーションを増やしていくと、相手の話に集中しているのが伝わります。
・プライベート:うん、えー、そう、わあ!
・電話などオフィシャルな場面:はい、ええ、そうですか
・驚いたとき:「うそ」という否定形より、「そうなんだ!」など肯定形の方が感じが良い
言葉のバリエーションを増やすのが難しいときは、声のトーンを変化させましょう。
同じ相づちでも、相手の話に合わせて声の大きさや明るさ、速さが変わると、感情が伝わります。
■実は危ない「そうですよね」の相づち
相手の話を聞いているとき、相づちで「そうですよね」と返すことはありませんか? 「相手に寄り添っているように聞こえるかな?」と、良い意味で使っている人もいると思います。
ただ、本来同意の意味で使われる「そうですよね」を、あまり深く考えず口癖のように連発している人も多いようです。
実は「そうですよね」を連発していると、相手は違和感を持ったり、話の内容によっては失礼だと感じたりしてしまうことがあります。
たとえば相手が、「これはこうするとうまくいくんですよ」「○○したらこんなことが起きるんですよ」など、何か教えてくれているような話をしているときに、「そうですよね」と返したら、どう思われるでしょうか。
■否定も迎合もしない「そうなんですね」がベター
この返答は、「私はすでに知ってましたよ」という意味のように感じさせてしまうことがあります。相手によっては、「なんだ、知ってたの?」「せっかく話したのに」と嫌な気持ちになる人もいます。もしこの相手が上司など、目上の方だったら怒られてしまいそうです。
ではこのようなとき、どんな相づちなら相手を不快にさせないのでしょうか。
おすすめは、
「そうなんですね!」
です。
一見、「そうですよね」と似ていますが、大きな違いがあります。「そうなんですね」は同意ではなく、相手の言葉をそのまま受けとめる言葉です。
より丁寧に返すなら、
「○○するといいんですね」
「初めて知りました」
「勉強になります」
などと伝えると、話した側も話をしたかいがあります。
他にも、相手が相談をしてくれたときは、「そうですよね」を使いたくなることがあるかもしれません。
同調してあげたい、寄り添いたいという気持ちが働くのは自然なことです。ただ「そうですよね」を乱用していると、聞き手が評価・ジャッジしているように聞こえる場合があります。
たとえば相手が、「AとBどちらにするか迷ったんですけど、Aの方が自分にはいいのかなと思って」と言ったのに対して、「そうですよね」と返したとします。
すると、立場によっては「なぜあなたがジャッジするの?」と思われることがあります。
「Aにしようと思うんですね」など、否定も迎合もしない相づちにするといいでしょう。「あなたの考えを理解しましたよ」ということが伝わる相づちは、相手も安心しやすいです。
■深く考えずに同調すると危険なことも
また、深く考えずに「そうですよね」「そうだよね」と同調すると危険なこともあります。
たとえば会社の同僚が「C部長の発言って嫌がらせだよね」「ハラスメントだよね」と言ったことに対して、簡単に「そうだよね」と返すとどうなるでしょうか。
同意をしたとみなされ、「あの人もC部長を悪く言っていた」などと、話が一人歩きする可能性があります。
そのため、このようなときも、まずは相手の気持ちを受けとめるだけにしておくのが得策です。同意はせず、
「そんなことがあったんだね」
「つらいんだね」
といった相づちを打つといいでしょう。
とくに仕事関係では、「そうですよね」が思わぬトラブルを招く可能性があることを知っておくだけで、自分の身を守ることができます。
一見何気ない「そうですよね」という言葉ですが、使い方はよく考える必要があります。誤解を与える使い方をしていないか、今一度振り返ってみましょう。
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研修講師
新卒でOA機器販売会社に入社し、販売戦略の仕事に携わる。その後、ANAに客室乗務員として入社。チーフパーサー、グループリーダー、OJTインストラクター、客室部門方針策定メンバーを経験。ANA退社後は、研修講師として活動。著書に『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』『マンガでわかる!仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』『気遣いできる人は知っている! 会話のキホン』(以上すばる舎)、『ビジネストラブル脱出フレーズ80』(学研プラス)、『仕事の成果って、「報・連・相」で決まるんです。』(大和出版)などがある。
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(研修講師 三上 ナナエ)
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