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ゲーム好きの東大生が「これだけはやってはいけない」と言う"あるゲーム"

プレジデントオンライン / 2021年9月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Oat_Phawat

「子どもがゲームをやりすぎる」と悩む親は多い。しかし東京大学大学院情報学環の藤本徹准教授は「ゲームが勉強の邪魔になると決めつけないほうがいい。子どもはゲームを入り口にさまざまな能力を身に付ける。活かし方によっては勉強にもプラスになる」という。それでは東大生はゲームとどう付き合ってきたのか。現役ゲーマー東大生4人に聞いた――。(聞き手・構成=加藤紀子)(後編/全2回)

■生きる目的がないとゲームに逃げる

(前編から続く)

――WHO(世界保健機構)は、ゲーム依存にゲーム障害(Gaming Disorder)という病名を付け、警鐘を鳴らしています。皆さんのようにゲームとうまく付きあえる人と、ゲームに溺れてしまう人がいると思うのですが、その違いはどこにあると思いますか?

修士課程1年生 小山このかさん
修士課程1年生 小山このかさん/幼稚園の時、キッズコンピュータピコとたまごっちでゲームデビュー。小学校からはパソコンを使い始め、勉強にもゲームをフル活用。英語と世界史はゲームのおかげで得点源に。父親もゲーム好き。

【修士課程1年生 小山このかさん(以下、小山)】私は学生結婚をしていて夫は韓国人なんですが、韓国ではゲーム依存が社会問題になっています。政府が提供するゲーム治療の合宿所があって、子どもたちが3週間くらい泊まり込みで治療したりしているそうです。そういう話を聞くのでゲーム依存についてはよく考えるのですが、私自身が感じているのは、何かストレスを抱えていて、現実逃避をするためにゲームをしている人は抜けにくくなるのではないかということです。

現実逃避をしている限り、現実の問題は解決していないので、どんどんストレスが積み重なっていってしまいます。その結果、余計にゲームにのめりこむという悪循環にハマってしまうのではないでしょうか。

【修士課程2年生 高友康さん(以下、高)】本当にそう思います。ゲーム以外に楽しいこと、生きる目的のようなものがないと、ゲームから抜けられなくなってしまう

僕もゲームしかやりたいことがなかったときは、12時間くらい続けてプレーして、頭痛や吐き気に襲われていました(苦笑)。だけど、ほかにやりたいことができて、ゲームの時間が減って、そこまで長時間やるようなことからは抜け出すことができたんです。

――どんなやりたいことを見つけたのですか?

修士課程2年生 高 友康さん
修士課程2年生 高 友康さん/5歳の時、初めてパソコンでゲームに触れる。小学校時代に遊んだスーパーファミコンやNINTENDO64を使い、中高時代では型落ちした中古ソフトを格安で買い漁り、古いゲームを楽しんだ。自身でもゲームを制作するゲームクリエイター。

【高】「自分もおもしろいゲームをつくりたい」と思うようになったんです。

ゲームをつくるには、プログラミングやグラフィックデザイン、音楽など、いろんな勉強が必要になります。それで忙しくなって、ゲームをする時間が減りました。実際につくったものをニコニコ動画に投稿したら、30分も経たないうちに200個くらいコメントがきて、多くの人が「おもしろい」って言ってくれたんです。それがすごく嬉しくて、もっと喜んでもらいたいと思い、ますます勉強するようになりました。

【教養学部1年・岡本準一さん(以下、岡本)】ゲームから興味が広がって、ほかにやりたいことが出てくることってありますよね。

僕はゲームをしているうちに、その世界観に魅了されて、背景となっている歴史や神話などの本を読むようになりました。そこから始まってSFにも夢中になり、いつの間にか読書の方が忙しくなってしまいました。

■ゲームを入口に興味を広げる方法

――ゲームからプログラミングとか読書に興味を持ってもらえれば、親としては願ったりかなったりですが、現実にはなかなかそうはいかないように思います。どうするとゲーム以外に興味を広げられますか?

【高】僕は5才くらいから、マッキントッシュに自由に触れさせてもらっていて、マウスやキーボードを使うトレーニング用のゲームで遊びながら、早くからパソコンに慣れ親しんだことが良かったんじゃないかなと思います。パソコンが好きだったので、自然と「自分でつくる」という発想になりました。

いまだと、今年発売になったばかりの『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』というニンテンドーSwitchのソフトもいいと思います。褒めたり、考えさせたりするタイミングが絶妙で、子供を上手にのせながらやる気にさせます。こうしたソフトを買い与えるのも、良いきっかけになると思います。

教養学部1年生 岡本準一さん
教養学部1年生 岡本準一さん(写真は実家の本棚)/6歳の時、父から借りたニンテンドーDSLiteでドラクエに、小学3年生からはPSPでモンスターハンターの虜に。週末に父とゲームをしたのが良い思い出。ゲームの世界観を反映した本をきっかけに読書家になった。

【岡本】高さんのように「ゲームをつくりたい」って思ったときに、パソコンに触れられる環境があることが大事ですよね。

僕の場合は、ゲームの世界観に興味を持ったときに、歴史や神話の本にアクセスできる環境にあったから、ハマって読むようになりました。家庭に本がいっぱいあったり、本屋に行く習慣があることは大事なのではないでしょうか。

【教養学部2年生 中村介さん(以下、中村)】あと、ゲームのソフト選びは大事だと思います。

世界観に興味を持って歴史を学びたくなるようなゲームは、無料ではなくてお金を出して買うものが多い。僕はロールプレーイングゲームを買ってプレーするのが好きなんですが、本当によく作りこまれていて、アート作品並の完成度だと思います。そして、だいたい30時間から40時間でクリアできるようになっていて、必ず終わりがあります。だから、ゲームそのものにのめり込みすぎることも防げるんです。

■無料ゲームは気を付けて遊ぼう

――なるほど、ゲームの種類が大切なんですね。やってはいけないゲームがあるってことでしょうか。

【岡本】あります。僕も高校1、2年のときに、あるオンラインゲームをやり過ぎて、かなり時間を無駄にしたイヤな記憶があります。

そのオンラインゲームにはログインボーナスがあって、ずっと継続してログインすることになるし、毎日やらないといけないミッションがあって、それを消化すると1日2時間くらい消えてしまうんです。

【小山】オンラインゲームは、頻繁に更新され、ゲーム自体は無料であっても、ゲームを進めていくためのアイテムを抽選で購入・取得できる「ガチャ」が増え続けるものがあります。こういうゲームでは、欲しいアイテムが手に入るまで何度もトライしたくなるなど、ユーザーを依存させて課金させようとしているものが多いです。

――ゲームに疎い親は、よくないオンラインゲームをどうしたら見抜けますか?

【小山】ネットで調べると、評価や安全性が出ているので、ゲーム名で調べてみるといいと思います。

教養学部2年生 中村介さん
教養学部2年生 中村介さん/小学校2年生でゲームを始め、『ポケモン』と『星のカービィ』にハマる。Xbox以外のゲーム機は全てそろえ、シリーズものの最新作をいち早くやり込むのが生きがい。大好きなRPGに挑む際のメンタルは、勉強にも大いに活かされている。

【岡本】オンラインゲームには無料で手軽に遊べるものが多いので、親がゲームを買ってあげないと子どもはだいたいこっそり無料のオンラインゲームをやることになります。いくつか掛け持ちすれば一日中遊べるし、無数にあるので飽きてもすぐ新しいものが無料で手に入る。一見コスパはいいのですが、膨大な時間を失って得るものは少ないんです。それよりも数千円くらいかけて、クオリティの高いゲームを買って遊ばせたほうがいいと思います。

【中村】本当に。『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』のような名作ロールプレーイングゲームは、超大作の映画を見ているような満足感がありますよね。

※編集部註:初出時にゲームのタイトル名にいくつか間違いがありました。編集上のミスでした。訂正します。(9月7日21時30分追記)

■ゲームの見極めが大事

――いいゲームと悪いゲームがある。大事なのは、その見極めなんですね。

【小山】はい、そう思います。

わが家は親もゲームが好きだったので、ゲームを通じて親子のコミュニケーションが取れていました。家族関係が良ければ、ゲームに逃げ込む必要もなくなります。ゲームを頭ごなしに否定するのではなく、親が子どもの好きなゲームがどんなものなのか、どんなところが楽しいのかなどを理解しようとすることは、ゲーム依存を防ぐことにもつながると思います。

【高】僕がおすすめしたいのは、子供とゲームの研究ノートをつくることです。

キャラクターがパワーアップしていく仕組みとか、なぜそういう演出やデザインになっているのかを親子で一緒に考えてみるんです。子供には一番楽しくて面白いゲームで、いろんな視点から掘り下げて探究力を身に付けられるし、親にとっても子供を褒めたり、励ましたりするタイミングなどを、ゲームの報酬設計から学ぶことができます。

デザイン、アニメーション、ストーリーから音楽、効果音などまで、多くのプロフェッショナルの知見が結集し、細部にまでそういった多くの人たちの魂がこめられている大作なので、研究のしがいがあるはずです。

「『依存かな?』と思ったら、ゲームを取り上げる前に子供の話に耳を傾けよう」

藤本徹准教授:談】WHOがゲーム障害を疾病として認めたことで、世間ではゲーム障害になった人ばかりに注目が集まりますが、ほとんどの子供たちは健康に使えています。そして、うまく使えば知的好奇心を広げることができます。

 一時的に没頭する子がいても長くは続かないことが多いので、頭ごなしに叱ったり、取り上げたりしないであげてください。やり過ぎかなと思ったら、ゲーム自体を原因と決めつけず、まずはじっくりと子供の話に耳を傾け、人間関係や悩み、学校でのトラブルなど、背景にある事情に目を向けると、ゲームを取り上げるよりも良い対処法が見えてくると思います。

藤本徹准教授

東京大学大学院情報学環 藤本徹准教授/慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経てペンシルバニア州立大学大学院教授システム学博士課程修了。博士(Ph.D.)。専門は教授システム学、ゲーム学習論、オンライン教育。著書に『シリアスゲーム』(東京電機大学出版局)、『ゲームと教育・学習』(共編著・ミネルヴァ書房)、訳書に『幸せな未来は「ゲーム」が創る』(早川書房)など。

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加藤 紀子(かとう・のりこ)
フリーランスライター
ライター。子育てが一段落してから教育関係の取材・執筆を本格的に開始。教育専門家に取材したことから得た知見や、国内外の最新研究から得た子育てのコツを盛り込んだ初の著書『子育てベスト100』は現在17万部のベストセラーに。1男1女の母。

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(フリーランスライター 加藤 紀子)

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