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ご飯、味噌汁、納豆に漬物…結局長生きにいいのは「ごく普通の朝食」であるこれだけの理由

プレジデントオンライン / 2021年9月9日 12時15分

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/ahirao_photo)

肥満やメタボリックシンドロームのような生活習慣病を防ぐにはどうすればいいか。医学博士の金城実さんは「健康な体を保つには腸内環境の改善が重要。一日一食は、発酵食品が多く含まれた伝統的な日本食をとるのがいい」という――。

※本稿は、金城実、作間由美子『免疫は発酵食品でぐんぐんあがる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■悪玉菌を腸内からなくしてしまうのは逆効果

COVID‐19感染症の世界的流行にともない、人々の健康意識が高まる中、注目されている「発酵食品」。医師であり『免疫は発酵食品でぐんぐんあがる』(プレジデント社)の著者でもある金城実氏は発酵食品に注目しているという。とくに金城氏が期待しているのが「腸内環境の改善」という。

「私たちの腸のなかにはいろいろな細菌が住んでいます。みなさんも、ビフィズス菌とか、腸内善玉菌・悪玉菌とか、聞いたことがあるのではないでしょうか。腸のなかではいろいろな種類の菌が集まって存在しているのですが、その様子がお花畑(フローラ)のように見えることから『腸内フローラ』と呼ばれています。

腸内細菌については善玉・悪玉菌という名前から『カラダにいい働きをする善玉菌を増やして、悪さをする悪玉菌はやっつけたほうがいい』と思っている方も多いのですが、悪玉菌を腸内から一掃して、まったくなくしてしまうことは、むしろ私たちのカラダにとってよくありません。

重要なのは、悪玉菌と善玉菌のバランス。バランスのとれた腸内フローラを保つことによって腸の働きがよくなり、カラダに必要なたんぱく質・糖質・脂質やビタミン・ミネラルなどの栄養素が吸収されます」(金城氏)。

■「腸内バランスがとれている」とは、どんな状態?

「バランスのとれた腸内フローラ」とは、どういう状態なのか。どの細菌がどれぐらいの割合で構成されているのか、ということについては、現在も研究が進められている。

ただし、多くの種類の腸内細菌が共生している(腸内細菌叢の多様性が高い)状態を保つことによって免疫力の向上、肥満やメタボ・生活習慣病の防止など健康増進につながる、ということは国内外の研究で明らかにされている。

自然環境問題におけるキーワードが「多様性」であるのと同じように腸内環境も「多様性」が重要なポイントであり、その多様性を高めるうえで心強い味方になってくれるのが、発酵食品なのだ。

今年7月12日、米国科学誌「Cell」に掲載されたスタンフォード大学のグループの研究では、発酵食品を多用する食事をとる人と、そうでない人の腸内フローラを調べたところ、前者では「腸内細菌叢の多様性が高まっている」ことが確認されたという。では、「発酵食品を多用した食事」とは、どのような食事なのだろうか。何を摂取すれば腸内環境の多様性を実現できるのか。

■味噌、醤油、お酢、納豆、漬物…

金城氏は、「一日一食は伝統的な日本食をとる」ことを勧めている。伝統的な日本食には、味噌や醤油、お酢、納豆、漬物など多種多様な発酵食品が取り入れられているから、というのが、理由の一つだ。

大豆製品
※写真はイメージです。(写真=iStock.com/SB)

また金城氏は2020年からCOVID‐19感染症対策などで沖縄県の政策参与を務めており、県民のデータを分析して健康施策の企画提案をしている。

「かつて『長寿県』として知られていた沖縄が、『長寿』から転落してしまいました。その要因は、都市化が進んで歩かなくなったなど、いろいろありますが、一番の要因は、やはり食生活の変化です。かつて沖縄の人たちは伝統的な食事――豆腐や豚肉、昆布、野菜、発酵食品(豚味噌や豆腐ようなど)を多用した沖縄食――を食べていました。

それが、いまでは米国由来の食べ物が増え、沖縄食はすっかり減ってしまいました」(金城氏)

このような現象は、沖縄に限らず、日本全体がそうなってきていると、金城氏は指摘する。

とは言うものの、「どんな食べ物に、どんな栄養素が含まれているのかを考えながら食べるって、その道のプロでもなかなか続きません。続かなければ改善することもありません。それでは元も子もありません。そこで私は、無理なく頑張らなくても続けられる目標を考えました。それが『一日一食は伝統的な日本食を食べよう』なのです」(金城氏)

■「これだけそろっていればもう満点」

肝心の、「伝統的な日本食」とはどのような食事なのか。金城氏によれば、下記5品目をそろえるとよいそうだ。

①ご飯
②具沢山のお味噌汁(具は、豆腐などの大豆製品、ワカメなどの海藻類、キャベツなどの葉物野菜や人参などの根菜、キノコ類など)
③納豆
④ぬか漬けなどの漬物
⑤海苔

「これだけそろっていればもう満点です。余裕があれば焼き魚や卵焼きもプラスして。
これを基本形にして、あとはその日その日の体調や自分の好みによってアレンジしてください。最近は、コンビニのお弁当でも日本食のラインナップが増えてきました。そういったものを上手に活用するのもOKです」(金城氏)

また、金城氏によれば、「一日一食は伝統的な日本食をとる」ことで、人の身体に備わっている免疫の一翼を担うNK細胞やマクロファージなど、「細胞たちを元気にする栄養素のほとんどをとることができる」という。

■発酵させた和菓子「くずもち」とは?

ところで、和菓子にも発酵させて作られたものがあるのをご存じだろうか。それは、どんな和菓子かというと、「くずもち」だ。

ただし、「くずもち」は「くずもち」でも、東京を中心に、近県の神奈川や千葉で古くから食されてきた「久寿餅」だ。東京や神奈川、千葉以外の地域では、「くずもち」というと「葛餅」だろう。この和菓子は、読んで字のごとく、葛粉を練ったもの。発酵食品ではない。

「江戸久寿餅」のショーケース
「江戸久寿餅」のショーケース(撮影=道井さゆり)

一方の久寿餅は小麦粉からグルテンを取り除いた「小麦でんぷん」を発酵させて作る、れっきとした発酵和菓子なのだ。しかも、洋菓子と比べて低カロリーなうえに、卵や乳製品も不使用でグルテンフリーだからアレルギーが気になる人も安心だ。

■卓球の伊藤美誠選手が食べる姿が話題に

「久寿餅」については、東京五輪閉幕後、ひょんなことからスポットライトが当たった。

金城実、作間由美子『免疫は発酵食品でぐんぐんあがる』(プレジデント社)
金城実、作間由美子『免疫は発酵食品でぐんぐんあがる』(プレジデント社)

卓球金メダリスト伊藤美誠選手のオフショット写真を投稿しているスタッフのインスタ(@mima_staff)に、創業60年以上の山信食産が立ち上げたブランド「江戸久寿餅」のハート型の久寿餅を、練習後、おいしそうに食べる伊藤選手の写真がアップされ、ネット上で「あの和菓子はなんだろう」「どこで買えるのだろう」と一時、話題となった。

ちなみに、「江戸久寿餅」は「小麦でんぶん」を730日以上もの時間をかけて自然の力で長期間乳酸発酵させている。そこに添えられる黒蜜はビタミン・ミネラル豊富、きな粉も畑の肉と言われる大豆から作られた健康にいい自然食品だ。

東京五輪で伊藤選手が混合ダブルス、シングル、団体と大活躍できたことと、発酵おやつ「久寿餅」との因果関係はさだかではないが、免疫力を高めたいいま、食してみたい発酵食品である。

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道井 さゆり(みちい・さゆり)
ライター、作家
漢方・自然療法系の健康雑誌の取材記者をはじめ、健康図書・家庭医学書の企画制作に携わる。 予防医療の金城実医師の近著『箸置きダイエット』『免疫は発酵食品でぐんぐんあがる』(ともにプレジデント社)の制作にも参加。 最近、追求しているテーマは「長生きしてよかったと思える医療・セルフケア」

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(ライター、作家 道井 さゆり)

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