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出前館前社長が本気の会議で「アイデア出し」を禁じる理由

プレジデントオンライン / 2021年9月10日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hoozone

コロナ禍の1年半、大きく変わったのがビジネスパーソンの働き方です。しかしテレワークが広がり移動時間の削減は進みましたが、相変わらず会議はダラダラ続いてしまうし、プレゼンの資料作りにも時間を取られがち。どうしたらいいか。有名トップや若手天才起業家、世界のトップ企業の実例から24時間の使い方を学びます。「プレジデント」(2021年10月1日号)の特集「脱ダラダラ大全『24時間』最強の使い方」より、記事の一部をお届けします――。

■会議で求めるものは「アイデア」ではない

会議が長引いてしまう、適切な時間で切り上げるにはどうしたらいいか、と悩んでいるビジネスパーソンは多いでしょう。私も会社員からスタートアップの経営者、大企業の役員などさまざまな立場で会議に関わり、どうすれば会議をコントロールし「自分のもの」にできるかを考えてきました。会議をコントロールするには、自分がどの立場で参加するかをまず考える必要があります。会議には大きく分けて、社内の会議、社外の人との会議があります。また、社内会議には、自分が主催側になる場合と、自分が招集されて出席する場合があります。

自分が主催側になる会議では、出席者に対して「どうしたらいいですか?」と尋ねないように心掛けます。

あらかじめ落としどころを決めておき、会議はあくまでも自分が達成したいことを関係者間で決める場である、と割り切るのです。最初にビジョンや戦略をきちんと丁寧に話し、このことに付随して意見をくださいという聞き方をするべきです。そして、その目的を参加メンバーに落とし込んでもらうために、全員に発言してもらうようにします。出前館時代には発言しない人は会議に出ないように言っていました。それは参加者にとって肚落ちするために必要なことです。ただ聞いているだけだと他の人の話をきちんと咀嚼できないかもしれませんが、自分が発言しなければならないと思えば、真剣に話を聴くようになります。

日本M&Aセンター専務執行役員・CCO 中村利江氏
日本M&Aセンター専務執行役員・CCO 中村利江氏

会議では、上から「やってください」と言うよりも、「みんなで決めた」という合意の意識付けをすることが大切です。そして会議で決められたことを実行する際に「自分が関わった」という意識があれば、次の行動も積極的に考えるようになる。その意識付けの有無が、実行段階での成功のカギを握っているのです。

一方、参加者としてプレゼンする場合は、冷静にメリットとリスクを説明します。リスクに比べてメリットが大きいことを強調し、リスクヘッジの方法も提案します。そして、味方になってくれそうな人はもちろん、過大なリスクを主張しそうな人にもあらかじめ根回しをして、全体的に賛成のムードに持っていくことが大切です。

社外の人との会議も基本的には同様です。例えば新規事業を提案する場合は、メリットを強調して「リスクはこのように少ないのですがどうしますか?」と聞く。「やってください」とお願いするのではなく、「どう考えてもメリットが大きいので、やれなかったら御社は大損しますよね?」と持っていくのです。「決まらないなら他社へ行く」というニュアンスも必要です。

■失敗は、その場で「アイデア出し」をさせるということ

普段会議をしていて思うのは、会議も営業と同じだということです。意見をぶつけあって延々議論している暇はなく、明確にゴールを決めてそこに向かって進まなければなりません。きびきびした会議にするためには、参加者のレベルに応じた会議運営をすることも大切です。現場の人たちを集めた会議でやってしまいがちな失敗は、その場で「アイデア出し」をさせるということです。なぜなら追い詰められないと本物のアイデアは出てきません。

アイデア出しの会議をするのであれば、管理職レベル以上の人たちに参加者を絞り、そのうえで長時間の研修などを行ってアイデアが出るまで追い詰めた後に実施するのです。逆に現場レベルの具体的なアイデアを拾いたければ、オフィシャルな会議ではなく、リラックスして話せるランチミーティングなどを別途設定するべきでしょう。

会議では、個々の発言が長すぎて時間オーバーとなる場合があります。それを避けるためには、指名して発言を求める際に「どう思いますか?」ではなく「こういう点についてどう思いますか?」とポイントを絞った聞き方をすることです。要点を絞れば、関係のない話をする可能性は低くなります。また、「この人に話を聞いたらこういう答えが出てくるであろう」という想定回答をシミュレーションしておくことも大事です。

■大企業の会議にはなぜ緊張感がないか

会議のあり方は会社の規模によっても変わります。100人までは社長1人ですべてを管理することができると思いますが、100人を超えると権限委譲しないと部署がうまく機能しません。部門間を調整する会議も必要です。出前館時代、各部門の会議ではトップである私が出席するときも、部門長たちに自覚を持たせるため全員に発言させることはもちろん、現場での仕切りや議題設定など、仕切りも部門長に任せるようにしていました。

部門長たちには伝えていたことですが、会議とは自分の仕事を確認する場でもあります。自分の仕事の意味を自分の言葉で説明できなければ、ビジネスパーソンとして仕事を行っている意味がなくなります。会議は自分の仕事の意味を報告する場と考え、どう説明するか常にシミュレーションをしておくことが大事でしょう。

スタートアップから大企業まで経験した私の目から見ると、大企業の会議には無駄があります。スタートアップの場合は、1人として無駄な人間を雇えず全員に成長してもらわないといけないので、かなり厳しいことを会議の場でも言っていました。実際に「今のままでは戦力にならないのでここまでやってほしい」と詰めるシーンもありました。

大企業にはその緊張感がありません。そして忖度も多い。それこそ会議で話し合って改善すべき事項に誰もが気が付いているのに現状維持のために誰もが敢えて触れていないイシューがある。そういうときに「気が付かないフリをするのはやめませんか」とはっきり言うことも大切だと思っています。それを放置していると会社は現状維持ばかりを選ぶようになり、少しずつ内側から腐っていきます。

会議というと国会のように「1人1票」を連想しがちですが、人によって1票の重みは違う。経営者としての責任を負わない一般の従業員に、同じ重みを担わせるのはおかしいでしょう。ですからリーダーには覚悟が必要なのです。合議制で決めようなどと逃げるのではなく、修正するための意見を取り入れつつも、あらかじめ用意していた結論に向けて、いかに合意を形成するかに心を砕く。その覚悟と集中力が、結局は会議をコンパクトで実のあるものにするのです。

会議をコントロールするための時短6カ条

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中村 利江(なかむら・りえ)
日本M&Aセンター専務執行役員・CCO
レオス・キャピタルワークス社外取締役。出前館エグゼクティブ・アドバイザー。出前館代表時代、同社を上場に導いたうえ、時価総額2000億円を超える会社へと成長させた。

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(日本M&Aセンター専務執行役員・CCO 中村 利江 文=熊野雅恵 撮影=大沢尚芳)

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