「最後に質問は?」面接で落とされる人のNG質問、受かる人の冴えた質問
プレジデントオンライン / 2021年9月17日 11時15分
大手通信会社に勤務して15年目になります。しかし風土や待遇に不満があり、違う環境に身を置きたいと考えて転職活動を始めました。書類選考を通って面接まで進めた会社もあったのですが、すべて不合格で、面接での姿勢に何か悪いところがあるのではと悩んでいます。
新卒で入社して以来ずっと同じ会社で働いてきたため、面接は学生時代に就活で経験したきりです。この年齢での面接では何を伝えどんな質問をしたらよいのか、また聞くべきでないことは何か、アドバイスをお願いいたします。(37歳・通信会社勤務)
■面接でつまずく人のパターン3つ
学生時の就活と社会人になってからの転職活動では、面接内容も伝えるべきことも大きく違ってきます。まずはそこをしっかり意識していただいた上で、転職面接で留意しておいたほうがいいことについてお話ししていきたいと思います。
転職活動の際に面接でつまずく人は少なくありません。私は転職を希望する方に模擬面接を行うこともありますが、その経験から言えば、つまずきやすい人は主に次の3つのパターンに陥っていることが多いようです。
それは「過去の実績自慢」「見当違いなPR」「あれもこれもアピール」の3つです。
確かに面接では自己PRが必要ですが、実績を主観だけで語ってしまっては自慢に聞こえますし、相手企業が求めていないスキルをPRしても採用にはつながりにくいものです。また、たくさん挙げればどれかは響くだろうと「あれもこれもできます」と言うのも、逆に信頼感を低下させることになりがちです。
加えて、面接の「流れ」に注意を払うことも大切。面接では最初に経歴紹介や自己紹介を求められることが多いのですが、この段階で上記のようなことを語ってしまう人が少なくありません。
「自己紹介の流れでPRもしなきゃ」と考える気持ちもわかりますが、面接は経歴紹介や自己紹介が済んでからが本番。これらが終わってから初めて、聞かれたことに対して自己PRを織り込んで答えていけばいいのではと思います。
■「自分の言いたいことを伝える場」ではない
そして自己PRで伝えるべきことは、「自分が言いたいこと」ではなく「面接官が知りたいこと」です。これを伝えるには、相手がこちらの何を知りたいのか、前もって想定しておかなければなりません。
想定せずに面接に臨むのは、戦いに丸腰で臨むようなもの。面接に行くのは相手の「知りたい」に応えるためであって、自分の「言いたい」を伝えるためではありません。転職者が言いたいことは、必ずしも企業が聞きたいことではないからです。
面接官が面接で知りたいことは、多くの場合「この人は当社にどう貢献してくれるのか」ということです。どんな課題をどんな姿勢で乗り越えていける人なのか、前職の実績を自社でどう生かしてくれるのか、そこを判断したいのです。
ですから、前職でどんな課題に取り組み、いかに高い目標をどんな工夫でもってクリアしたのか、具体的なエピソードを語れるようにしておくといいのではと思います。
■転職先でどう再現できるか
例えば「好成績を挙げて社長賞を受賞しました」というPR。受賞自体はすばらしいことですが、それだけでは、どんな目標の下での好成績なのか、自社でも再現してくれるのかどうか、面接官は判断できません。
ここでは、具体的な数値や、好成績を挙げるために工夫したことなども伝えたいものです。併せて、それを転職先で再現できるという根拠も示せるようにしておきましょう。
面接は経歴だけを売り込む場ではありません。面接官に「この人を採用するとうちの会社にメリットがある」と思ってもらうための場です。まずはそこを意識して、事前に相手が知りたがるであろうことを調べ、しっかり準備してほしいと思います。
次に、転職者から質問する場合について考えていきます。質問内容は、今この場で面接官にしか聞けないことに限るべきでしょう。会社の歴史や理念、最近の事業状況などは企業サイトを見ればわかることで、事前に調べておくのが当たり前。もし「創業はいつですか」などと聞いたりしたら、自分の価値を下げることになってしまいます。
■センスが表れる「面接官への質問」
転職活動では、常に何十人ものライバルがいると思ってください。自分の他にも面接を受けている人がたくさんいるわけですから、その中に下調べをしっかりしている人、例えば社長のインタビュー記事を読んでそれに関する質問をした人がいたとしたら、面接官の心にはそちらのほうが響くはずです。
事前に調べておけばおくほど、質問の内容は深くなります。やりとりも自然と充実したものになるでしょうから、面接官の印象に残る可能性も高くなるのではと思います。
では、休暇や福利厚生、年収に関する質問はどうでしょうか。これは複数の企業からオファーが来るようなスペシャリストならともかく、そうでなければ面接の場で聞くことではありません。
こうした質問は内定が出てからでも遅くはありませんし、後で人事担当者にメールで聞くこともできます。それをわざわざ、ただでさえ持ち時間の少ない面接の場で聞くのはもったいないと思います。入社後に自分に期待される役割や、今活躍している人の強みなど、聞くべきことは他にたくさんあるはずです。
例えば、面接を映画のオーディションだと想像してみてください。監督や演出家の前で、応募してきた役者が「稽古は何日間まで休めますか」「交通費は出ますか」「ギャラはいくらですか」などと質問したらどうでしょうか。
当然、やる気がないと思われるでしょうし、「まだ選ばれてもいないのに監督に何を聞いているのか」と落とされるのがオチでしょう。
企業の面接も同じです。特に面接の場に部長や課長が出てきているような場合、後で人事担当者に聞けばいいようなことを聞くのは、自分の損にしかなりません。
■それは本当に今聞くべき質問なのか
自分は今、誰の時間を独占しているのか、選ばれるためには少ない時間の中で何をすべきなのか。面接で行う質問は、そうしたことをしっかり考えた上で投げかけたいもの。その意味で、転職者からの質問はその人のセンスが表れてしまうものでもあります。
面接は、相手が知りたいことを伝える場。35歳以上での転職活動を成功させるには、これを意識した上で準備することが大切です。
相手企業を調べる、面接官が知りたいであろうことを想定する、その「知りたい」に応える実績やエピソードを用意するなど、面接に備えてできることはたくさんあります。しっかり準備をして、多くの応募者の中から選ばれる可能性を高めてほしいと思います。
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転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役
1988年、リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立、成長企業のための「社長の右腕」次世代リーダー採用支援サービスを開始。35歳からの転職支援サービス「Career Release 40」、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を運営している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』『35歳からの後悔しない転職ノート』『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』など。
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(転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役 黒田 真行 構成=辻村 洋子)
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