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空気を読みすぎる日本人に足りない安心ホルモン「セロトニン」をつくりだす食べ物

プレジデントオンライン / 2021年9月24日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bit245

悪口だらけの職場に、不機嫌な家族。日々、気を遣いすぎて疲れてしまった……。そんな人は脳内物質・セロトニンが不足しているのかもしれない。脳内科の加藤俊徳氏は「日本人は特に周りに気を遣う傾向があるから、セロトニンは必要」という。どんな食材をどんな組み合わせで食べればセロトニンを増やせるのか。「プレジデント」(2021年10月15日号)の特集「悪口を言う人は、なぜ、悪口を言うのか」より、記事の一部をお届けします――。

■日本人には特に必要なんです

セロトニンは一体どんなものなのか。脳内科医の加藤俊徳氏に話を聞いた。

「セロトニンが不足すると人は不安になります。あるいは寂しくなったり、恐怖を感じたり、未来に対して過敏に反応してしまうこともあるでしょう。

脳内には約1000億個の神経細胞をつなげる神経伝達物質があり、大きく分けて覚醒物質と抑制物質があります。このうちセロトニンは、ドーパミン、ノルアドレナリンと並ぶ覚醒物質で、特に精神面に大きな影響を与えます。覚醒物質ではありますが、抑制物質に変化するという面白い性質を持っています。」

「セロトニンは朝起きたときから夕方まで分泌されます。夜になると睡眠を誘発するメラトニンがセロトニンから作られます。セロトニン不足になるとメラトニンの生成と分泌に影響し、睡眠リズム障害につながります。生活のリズムが崩れ、睡眠不足が続けば、鬱になることもあるでしょう。睡眠不足は万病のもと。寝不足が脳の機能を低下させるので、認知症を引き起こしやすくなります。メラトニンはヒーリング効果があることもわかっています。セロトニンは、積極的に増やしていきたいものなのです。

腸が健康であることは、セロトニンがたくさん分泌されているサインになります。なぜならセロトニンは90%が腸で作られ、腸の蠕動(ぜんどう)運動(消化した食べ物を腸の中で移動させたり便を体外へ排出させたりする)に作用するからです。腸内細菌はセロトニンの分泌を助け、セロトニンの前駆体であるトリプトファン(必須アミノ酸)を作ります。トリプトファンは、気分の改善や双極性障害などに対する抗精神作用を持つことが報告されています。

トリプトファン自体は体内では作られないので、食べ物から摂取する必要があります。つまりセロトニンを増やしたければ、トリプトファンが必要。トリプトファンは食事で摂ることができ、主な食材は魚ではマグロの赤身、カツオの赤身、鮭。肉類では豚肉、牛肉、鶏肉。大豆は納豆、豆腐、豆乳。乳製品は牛乳、チーズ、ヨーグルト。ほかに玄米、そば、バナナ、ブラックチョコレートなどです。このように、セロトニンそのものだけでなく、前駆物質のトリプトファンも総じて大事なのです。

日本人は特に周りに気を使う傾向がありますから、世界標準よりもセロトニンが必要なのではないかと思います。日本の世論は『いろいろなものに配慮する前提で生きていけ』という風潮があったり、文化的に見ても『空気を読む』ことが美徳とされてきました。世界的に見てもセロトニンの必要性が高い精神構造を持っています。

セロトニンがあると、昼間は優しく楽しく幸せな気持ちで過ごせます。夜になると、それがメラトニンに代わってぐっすり眠れます。セロトニン系列の物質は、昼も夜も活躍しているのです。まずは腸内細菌を良い状態に整えること。これが今の時代を生きるために必要です」

■ランチには親子丼と味噌汁を

セロトニンを分泌させるには食事にカギがありそうだ。ポイントを料理研究家の生井理恵氏に聞いた。

「セロトニンは腸で90%作られるので腸内環境を良くしましょう。野菜・果物の食物繊維に、発酵食品(ヨーグルト・納豆・キムチ・漬物・味噌)をプラスすることで栄養素の利用効率が高まってより腸内環境が整いやすいです。ほか、オリゴ糖(バナナ・大豆・タマネギ・ゴボウ・アスパラガス・ニンニク)も腸内環境を整えてくれる成分です。

セロトニンは朝から作られます。トリプトファンはセロトニンを作る材料になるので、朝からこのような食材を積極的に摂るといいでしょう。特に、前出の食材を含んだ納豆卵かけご飯と豆腐の味噌汁は鉄板です。また目玉焼きや卵焼きなど、卵もトリプトファンを多く含む食材なのでおすすめです。」

「朝時間がない人はバナナを1本食べるだけでもOK。余裕のある人は、バナナを焼くとオリゴ糖が増えるので、試してみてください。オーブントースターに皮付きバナナを丸ごと入れて7~8分ほど焼き、ナイフで切ると食べやすいです。

ヨーグルトにバナナを入れて食べてもいいでしょう。ヨーグルトは、同じメーカー・ブランドよりも、毎回違うものを購入するのをおすすめしています。ヨーグルトは製品によって含有する菌や成分が異なります。腸にはいろいろな菌が内在していることが良いとされています。例えば、ビフィズス菌だけじゃなく、乳酸菌や、納豆菌、麹菌などもある状態です。さまざまな菌が活動している『腸内のダイバーシティ』を目指しましょう。」

■『Wタンパク』を意識しましょう

「さらに、トリプトファンを1度に多く摂るために『W(ダブル)タンパク』を意識しましょう。肉や魚の動物性タンパク質と、大豆などの植物性タンパク質を両方摂ってください。こう聞くと非常に難しく感じますが、親子丼と豆腐の味噌汁、麻婆豆腐、豚汁など手軽に食べられるメニューばかりです。カツオやマグロの入った海鮮丼もおすすめ。平日のランチでも意識してみてください。ランチはコンビニ派という方には、サラダチキンがおすすめです。鶏の胸肉にもトリプトファンが多く含まれていて、セロトニンを作る原材料となります。

おやつや小腹が空いたときには、ブラックチョコレートがいいでしょう。カカオが70%以上入っているものを購入してください。ただしドカ食いにご注意を。脂質が高いので、1日25グラムまでが適量だと一般的に言われています。製品によって異なりますが、ひとかけが大体5グラム前後。小さい包装に入ったものを5つくらいが適量です。クルミとかアーモンドもおすすめです。味のついていないものを、7~8粒食べるのが適量です。

セロトニンを増やすメニューは、意外と食べやすいものが多いので、上手にコントロールしていきましょう」

セロトニンを増やす定番メニュー

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加藤 俊徳(かとう・としのり)
脳内科医
加藤プラチナクリニック院長。脳の学校代表。発達脳科学・MRI脳画像診断・認知症などの専門家。独自開発した加藤式MRI脳画像法を用いて、1万人以上の診断・治療を行う。著書に『何歳からでも! 脳を育てるトレーニング』ほか多数。

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生井 理恵(なまい・りえ)
野菜ソムリエ
料理研究家。「やさい美人」「朝のベジ活」プロジェクト主宰。企業や団体への講演やセミナー講師・コラム執筆・レシピ提供・レストランとのコラボレーション料理教室など、多岐にわたり活躍。著書に『ママとキッズの楽しい“ベジ活”』。

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(脳内科医 加藤 俊徳、野菜ソムリエ 生井 理恵 構成=力武亜矢、プレジデント編集部 写真=Adobe Stock、PIXTA)

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