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「2年分の学割を返してほしい」若者たちが次期総理に望むこれだけのこと

プレジデントオンライン / 2021年9月29日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

『Z世代』の著者原田曜平さんの呼びかけで、12人の現役大学生がオンラインで集結。貴重な学生時代をコロナによる自粛ムードの中で過ごしてきた彼らが、これからの政治に求めることとは――。
【座談会参加者】
井上/慶応義塾大学2年生
落合/早稲田大学2年生
加藤/東京理科大学2年生
山田(仮名)/立教大学3年生
阪口/慶應義塾大学4年生
鈴木/桜美林大学3年生
坂本(仮名)/慶応義塾大学4年生
高橋(仮名)/立教大学2年生
橋本/立教大学4年生
/青山学院大学4年生
八木/東京女子大学3年生
安田/慶応義塾大学3年生

■自粛する人がバカを見る

【原田】若者世代が次の総理になる人に期待することを聞かせてください。

【山田】コロナ禍で経済的に困窮する学生も増えています。そこにきて学費も上がっている。教育関係に力を入れてほしいし、学生に給付金を出してほしいです。

【鈴木】学費の問題は深刻。難しいとは思うけれど、できるだけそれぞれの家庭状況に合わせた支援をしてほしいです。苦しんでいる学生がいる一方で、緊急事態宣言中でも飲み歩いたり旅行したりしている友人もいて……。そういう子に限って給付金がもらえて、そのお金で遊んだりしていて不公平だと感じます。

【落合】確かに、今って自粛している人がバカを見る感じ。自粛せずに楽しくやっている人たちを、ちゃんと自粛している人たちが批判してメンタルを病む……。

【阪口】それ言える。自分も海外旅行行きたかったなーって思ってます。就職したら、自由に海外に行ったりって難しいと思うし。

■「学生特典」が空白になった2年間

【安田】そもそも学生って、「学生特権」みたいなものを与えられていたと思うんです。たとえば学割とか、20歳限定の割安旅行プランとかがあって、経済的な余裕がない学生時代にもいろいろな経験が積めるようにサポートされていましたよね。でも、コロナになって、ちゃんと自粛しているまじめな学生ほど、その恩恵を受けられなかったわけで。感染流行が収束したら、私たちが自粛していた2年ほどの期間に受けられるはずだった特典を還元してほしいです。

【原田】行動制限をされることも多いけれど、守らなかったからといって罰則があるわけでもない。不平等な社会だと映っているんですね。その上、大人世代が学生の頃に享受してきた学割などの恩恵も受けられなかったとなると、この世代の学生に配慮してほしい、という気持ちになるのも当然かもしれないね。

■政治家はもっと現場を見て

【原田】コロナの感染が拡大する中で、「若者が出歩いている」と批判されることもあって、不満を感じている学生も多いと思います。政府や行政の対応を見ていて感じること、「こうしてほしかった」「今後はこう変えてほしい」と思うことはありますか?

【加藤】政府や自治体は「若者もワクチンを打って!」と呼びかけていたけれど、「いや、打ちたくても打てないんですけど」という感じでした。コロナ感染爆発の原因が若者であるかのように叩かれていたけれど、実際はどうなのか、きちんと現場を見てほしい。

【坂本】コロナとは関係ないけど、現場を見て、という話でいうと、就職活動に関しても似たようなことがあって。いま、就職活動を通年にしましょうという提言があるけれど、それだと大学4年間ずっと就活をしているような状況にならないか? と思う。

【原田】グローバルに合わせようとしているのかもしれないけれど、ちゃんと日本の若者に調査してよ、と。コロナでも若者に調査をする取り組みがあったけれど、実際は街角で数分間話を聞くだけ、というお粗末なものでした。

■データを基に具体性のある説明ができる人求む

【高橋】台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タンさんは、具体的に数字を示してロジカルに説明していますよね。次期政権は、調査データをもとに客観的で、具体性のある説明ができる人が担当してほしいです。

【原田】ほかに、こういう人に国の舵取りをまかせたい、と思う人はいますか? 政治家ではなくて、タレントや有名人でも。

【鈴木】ニュージーランドのアーダーン首相は、感染者が1人でも出た時点ですぐにロックダウンをしたり、銃乱射事件が起きたあとも即座に規制をかけたり、対処がすごく早いですよね。決断力がある。何かあったら、「ペッ!」ってすぐに対処してくれる人が出てきてほしいなと思います。

【井上】決断力という点では、アメリカの前大統領トランプさんって理想的だったんじゃないかな、と思います。話し方もわかりやすいし、説得力がありました。過激発言をしているようにみえて、実はかなり戦略的であるという話を聞いたこともあります。国のトップには、堂々と発言してくれるエネルギッシュな人が立ってくれたほうが安心感をもてます。

【橋本】コロナは近いうちに収束すると考えると、政治って「今すぐ決断!」というようなことばかりでもないのでは。これからの政治に期待したいのは、子育て支援、出産支援、少子高齢化を食い止めるような政策です。高齢者むけの政策ばかりではなく、次世代のための政策に力を入れてほしいです。

■若者の投票離れの理由とは?

【原田】この秋には衆院議員選挙が控えています。でも、選挙には関心が持てないという若者も多いです。「衆院選への投票はしない」と考えている人がいたら、その理由を聞かせてもらえますか?

【橋本】純粋に若者人口が少ないから、日本は「シルバー民主主義」。若者に寄り添う公約を掲げる人はいないし、行っても無駄だと思っています。

【阪口】選挙に行くなら、候補者について調べて、きちんと投票先を選びたい。ただ、正直言って選挙に関する優先順位は低いから、情報を集める時間を作れる気がしないです。

【鈴木】家ではテレビもつけないし、政治や社会の状況を知る手段が携帯のニュースやSNSで流れてくる投稿くらい。投票するなら適当にしたくないけれど、自分で調べるほどの意欲も関心もないから、結局行かなくていいか、ということになっちゃいそう。

【落合】僕も興味がない、というのがいちばんの理由です。さらに言うと、投票に行く意味が見出せない。投票前から各候補者の支持率、当確予想がされていて、だいたいその通りの結果になりますよね。僕が一票を投じたところで結果が変わらないなら、わざわざ時間を割いて投票所に行く意味はないかな、と思ってしまいます。

投票箱
写真=iStock.com/bizoo_n
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bizoo_n

■「必ず投票する派」の理由

【原田】反対に「必ず投票する」という人たちの意見は?

【加藤】投票率が低いことが常態化していて、大人と話した時にも「どうせ若い世代は選挙にも行かないでしょ」と決めつけられがち。それが嫌なので、行きます。なめられないように(笑)。

【原田】「なにくそ!」って思うんだ。加藤くんみたいなタイプには、「どうせ選挙行かないんでしょ」とか、どんどん言ったほうがいいわけですね(笑)。これからはそうしよう。

【坂本】SNSが浸透して、候補者のツイートが見られたりと、情報を得やすくなっているとは思います。立候補者の主張についてわかりやすくまとめてくれる投稿もあるし。普段、政治に関心がなくても投票はできるようになってきている。

【高橋】僕は投票離れへのアンチテーゼというか、「投票しなくて当たり前」という若者世代の風潮はちょっとよくないと思っていて。たとえ白票だったとしても、投票には必ず行きます。

【森】僕が投票に行く理由は、親の教えです。「知らなくてもわからなくてもいいから、とりあえず投票は行け」と教育されてきたので。

【山田】私の周囲の子たちには、選挙に行かないのはクールじゃない、という雰囲気があります。行くのがあたり前だし、投票しないほうがむしろダサい。

【原田】一口に若者といっても、政治に興味がない人ばかりじゃなくて、関心を持って投票行動をする人もいるし、「若者は選挙に行かない」という決めつけに反発を覚えて行動をしている人もいる、と。ただ、これまでの話でも、若者向けの政策はきちんとキャッチしている人が多い印象でした。政治家が若者に目をむければ、投票行動も変わるかもしれませんね。

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原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。信州大学特任教授。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平マーケティング研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=浦上藍子)

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