「愛人の昇進にいじける男vs軽自動車と同額のバッグ」"金持ち不倫"と"貧乏不倫"のすさまじい格差
プレジデントオンライン / 2021年10月2日 11時15分
■修羅場の迎え方や泥沼の結末まで違う
職業や収入、学歴や家柄といった、いわゆる社会的地位に差がある男女が結婚すると「格差婚」と言われることがある。実は、「格差」が存在するのは結婚だけではない。不倫にもあるのを知っているだろうか。
「不倫格差」が生じる原因は、男性側の社会的地位がかかわってくることが多い。つまり、富裕層の男性と不倫をする女性と、経済的にギリギリの男性と不倫をする女性というそれぞれの組み合わせだ。
“金持ち不倫”と“貧乏不倫”の格差は、出会い方や逢瀬の重ね方だけではない。不倫にはつきものである、修羅場の迎え方や泥沼の結末まで、両者ではまったく異なるといっていい。
代表的な“金持ち不倫”と“貧乏不倫”のケースから、不倫における「格差」を見ていこう。
※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
■デートは平日昼間「サービスタイム中のラブホテル」
【CASE1】“貧乏不倫”のケース
編集者のYさん(当時29歳)と4歳年上の同僚男性との不倫がスタートしたのは、職場の飲み会がきっかけだったという。「月並みですが、仕事の悩みや家庭のグチを話しているうちになんとなくそういうことになって。彼も私も既婚者で、お互いに同じくらいの年齢の子どもがいたことも距離を縮める理由になりました」。
二人の仕事は、どちらも平日の昼間の時間は比較的融通がきくとのこと。会うのはいつも日中のサービスタイムを活用できる安いラブホテルだった。「住宅ローンを抱える彼はお小遣い制だったので、私より自由に使えるお金が少なかった」とYさん。
ホテル代も割り勘で、居酒屋ではYさんがごちそうすることもしばしば。Yさんは、学生時代に付き合っていた彼氏とのデートのほうが豪華だったと思うこともよくあったという。「彼が使えるお金は1週間6000円。週に一度のラブホテル、居酒屋は2回行くのがやっと。私のほうが多く支払っていたのはわかっていたけれど、好きだったから仕方がないと思っていました」。
二人の関係に変化が訪れたのは、Yさんが昇進した頃からだったという。「たまたま私のつくった本が続けてヒットしたことで新部署がつくられました。私はそこの部長に昇進し、社内での待遇や収入が彼より格段によくなったんです」。
■突然告げられた「もう会えない、ごめん」
そこでYさんは、不倫の費用を全面的に負担することを彼に提案したのだった。「はじめのうちは、彼も『ラッキー!』と私におごられることをよろこんでいました。でも、次第に態度が変わっていったんです。『年下の女性に平気で金を出させる男なんて、付き合っていても面白くないだろう?』などと卑屈になっていくのがつらかった」。
その後も順調に仕事で成功し、独立の話まで現実的になりはじめたYさんに対し、彼のほうはますますいじける態度を強めていった。
「しまいには、私の努力と才能だけじゃなく、運のよさにまで嫉妬するようになった」とYさん。それでも不倫を続けたかったが、しばらくすると意外なことに彼のほうから一方的に別れを告げられたのだった。「子どもを習い事に通わせるための時間とお金が必要になったから、Y子とはもう会えない。ごめん」と。
あっけにとられたYさんはとっさに「お金なら私が出すから問題ないよ。私は好きだからこれからも会いたいと思っている」と伝えたところ、あまりのYさんの必死さにおそれをなしたのか、彼はこう言ったという。「やっぱり仕事ができる女より、家のことをしっかりやって男を立ててくれる女のほうが俺には合ってるわ」。
結局、4年間の不倫関係を不本意ながらも終わらせることになったYさんは、今も情けない気分だと話す。「安いラブホテルか居酒屋かしか行けないほどショボい不倫だったのに、それすら続けられなかった彼の経済力のなさが残念でならない。そんな不倫の沼にはまった自分にも後悔しています」。
■パーティーで出会った“元モデル”年下女性と不倫
【CASE2】“金持ち不倫”のケース
自営業のWさん(当時48歳)が不倫相手のK子と出会ったのは、Wさんの所有するクルーザーに彼の友人を招待してパーティーを開催した時のことだった。Wさんの友人は既婚者だったが元モデルの愛人をつれて現れ、その時一緒にいたのがモデル仲間だったというK子だったのだ。「今にして思えば、K子は“パパ活”をしていたのだろう、と。でも、その時は元モデルという華やかな経歴を持つ若い子と付き合えることに興奮していました」。
Wさんは結婚して20年以上になる妻と大学生の子供がいたが、自分より10歳以上年下のK子との不倫にのめり込んでいった。ビジネスが波に乗っていたこともあり、K子のリクエストはなんでも聞き入れ、一流店といわれるレストランでの食事はもちろん、頻繁に海外旅行に連れて行ったり、ブランド品を買い与えたりもした。「K子のことをわがままだと思わなくもなかったけれど、自分が愛人のわがままに応えてやれることに、男として満足していました」。
Wさんが窮地におちいったのは、不倫から1年後のことだった。ささいなことが原因でケンカをした後、「仲直りの印にプレゼントしてほしい」とK子からねだられ、Wさんは銀座のショップでブランドのバッグを注文した。Wさんいわく、「バッグの値段は、新車の軽自動車1台分くらいだと思う」。
■数年に渡る「妻と愛人の戦い」が始まった
念願のバッグが手に入った日、K子はうれしさのあまりSNSに写真つきでアップした。その投稿がWさんの夫婦関係を危機に陥れる火種となったのだった。「妻の親しい友人が同じブランドのバッグのコレクターだったことからK子のSNSにたどり着いてしまったんです。そこにたびたび写りこんでいる僕の存在に気づき、『旦那さん、大丈夫?』と妻に注進したようでした。
夫は仕事ひと筋だと信じて疑わなかったWさんの妻は、夫が若い愛人にうつつを抜かしていたことに激怒。妻である自分に愛情がなくなったことより、夫が愛人の言いなりになり、湯水のごとく不倫にお金を使って楽しんでいることが許せなかったのだ。
当然のことながら、不倫が発覚したWさんは、妻によってK子と別れさせられることになった。二人の不倫関係は、Wさん側がK子に“手切れ金”を支払って終わり、となるはずだった。
ところが、驚くべきことにK子はあきらめなかった。「自分にとって、こんなに都合のいい“パパ”を逃す手はない」と考えたのか、Wさんの妻に対し「彼とは別れるつもりはない。逆に、いつまで愛情のない結婚生活を続けるつもりか?」と挑んできたのだった。そこからWさんをめぐる妻と愛人の戦いははじまり、数年にわたって修羅場が続くことになった。
■長続きしない“貧乏不倫”、修羅場になるまで続く“金持ち不倫”
“金持ち不倫”と“貧乏不倫”を比較した場合、いろいろ見てきたなかでひとつ確実に言えることがある。それは、「“貧乏不倫”は関係が長続きしないが、“金持ち不倫”は修羅場になるまで続くことが多い」ということだ。
男性に経済的な余裕のない“貧乏不倫”の場合、関係が長引く分だけ不倫相手の負担も増えるため、女性のほうが逃げ出すケースが少なくない。「お金と時間をこんなに費やしてまで、私は何をしているのだろう?」と、不倫という関係性を冷静になって考え、終止符を打つことを決断する女性もいる。
一方、“金持ち不倫”の場合、不倫活動への潤沢な資金が投入され続ける限り、関係がなかなか終わらないケースが多い。男性はお金をかけてでも得られる快楽に満足し、不倫相手の女性も居心地のいい関係を自分から断ち切る理由が見当たらない、と思い込んでいるからだ。
とはいえ、“金持ち不倫”も“貧乏不倫”も、どちらも不倫であることには変わりはない。結局、自分のなかの問題に気づこうとしないまま不倫を続けていてもその先に幸せはない、ということだけは事実のようだ。
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夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)
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