「もうこの人とは話したくない」ビジネスも恋愛もうまくいかない人に共通する"ある口癖"
プレジデントオンライン / 2021年10月5日 10時15分
■どんなときも一言目は「そうですね」と言うべき
あなたは次のような会話を見て、どう思いますか? なんてことのない会話ですが、AさんからするとBさんは「超つまんない人」かもしれません。
A「ここのラーメン美味しかったね」
B「私には少し味が濃かったかな。もっと君の好きそうな店知ってるけど、今度行こうか」
A「あの俳優さん素敵だよね」
B「うーん、相手の女優さんのほうが演技はよかったけどね」
Bさんに悪気はなくても、なんだかモヤモヤします。Aさんの意見を否定するニュアンスがあるからです。
話の上手な人は、相手の意見がどんな内容でも、難しくてもくだらなくても、もちろん自分の意見と合っていようといまいと、まずはきちんと聞いて受け止めます。
シチュエーションも、相手との関わり方も一切関係ありません。改まった会議であろうと、打ち解けた飲み会であろうと、友達と遊んでいるときも愛する人とデートのときも、子どもでもお年寄りでも、みな共通です。どんなことを問われても一言目は「そうですね」とか、「そうだね」になるのです。
もちろん自分の考えを伝えたいときはあります。そんなときは、まず肯定したあとで、「でも私は……」という風につなげばいいだけです。
■重要なのは「まずは共感すること」
大差ないように思えるかもしれませんが、まず肯定するだけで相手の受ける印象は大違いです。ポイントは「あなたの意見はその通りですね。でも、こんな考え方もありますよ」という、両方を活かした言い方にすること。
たとえ相手が間違っていると思っても、まず「そうだね」と言うちょっとした気づかいが実は重要です。
そもそも僕は、ビジネスでも恋愛でも、正解は多数存在していると思っています。もちろん、法律を反するようなことは論外ですが、そうでない限り、どんな考え方もそれなりに正解なのです。
自分のほうが100%絶対に正しいと決めつけるのは、だいたい思い込み。会話でそれを押し付けたところで相手の気分を害するリスクを犯すだけです。
心をつかみたいのなら、自分の正しさや凄さをアピールする前に、まず共感することです。
■「ねえ聞いてよ」と相談されたとき、どう答えるか
もう一つ、「もうこの人と話したくない」と思われる人の勘違いがあります。
会話には必ず結論がいる、と思っていること。そして、そこに行きつけないのをとても嫌がるのです。例えば次の相談のシーンを見てください。
A「ねえ聞いてよ。今日こんなことですごい怒られたんだけど。おかしくない?」
B「ああ確かに変だ。だったら次からはこうしたらどう? こんな対策はやってる?」
A「もちろんできることはやっているよ。でも不測の事態もあるし」
B「それならさ……」
仕事関係でも、男女関係でもよくあるシチュエーションです。
Bさんはちゃんと同意して、なんとか解決してあげようと対策を話し合おうとしています。しかし、だいたいこんなとき、Aさんは「もういい」となり、Bさんは「なんだよ、せっかく真剣に考えてるのに」となったりします。なんとも不幸なすれ違いです。
相談している側は、必ずしも相手に結論を求めているわけではありません。僕は、結論のない話など当たり前だと考えていますし、それどころか相手が望んでいないのであれば、結論を語らないようにしています。それでも一向に構わないのです。
■自分の考えは「聞かれたら答える」
「相談に乗ってよ」と言われれば、ただ相槌を打ち、相手の話した内容をオウム返ししながら、基本的には黙って聞いているだけです。そして相手から「どうしたらいいと思いますか?」と聞かれて初めて、自分の考えや結論を言うことにしています。
話を聞いた結果、たとえ僕が100%自信がある解決策を思いついたとしても、相手から請われない限り絶対に語りません。
なぜこんなことを大まじめに守っているのかというと、会話の相手が何を求めているかは、あくまで相手のなかにしか存在しないからです。
もしかしたら、相手の頭のなかにはすでに結論めいたものがあり、僕にはただそれに対する賛同を求めているだけなのかもしれません。あるいは、結論が出ない、出せないことと知っていながら、ただ真剣に耳を傾けてもらう相手が欲しくて話を振ってきただけなのかもしれません。
つまり傾聴してもらえればそれで十分で、「ああ、話したらスッキリしました。明日からまた頑張ります!」となるかもしれないのです。
相手がその会話を通じて何を望んでいるかを正確につかむことこそが、僕が考える会話の本質です。
■求められているのは事実か、意見か
相手が求めるものを正しく理解しないと、今度は「結論が知りたい」相手とも話が噛み合わなくなります。
たとえば会議室ならこんな形で発生します。
上司「Aさん、この間X社に提案したプロジェクトの結果、どうだった?」
A「いやあ、僕はかなり頑張ってプレゼンしたんですよ……担当の○○さんのウケは良かったんですけど……」
上司は明確に「結果はどうだったか」と尋ねています。聞きたいのは、X社の正式な回答がOKだったかNGだったのか、あるいはまだ検討中なのかという「事実」です。
しかしAさんが答えたのは自分の「意見」。相手に確認していない自分のミスを隠したいのか、努力したことをアピールしたいのか、急に聞かれて焦っているのかはわかりませんが、聞かれた質問に対して、答えるべき内容がズレてしまっています。これでは上司に怒られても仕方がありません。
大切なことは、「事実」を求められているのか、「意見」を求められているのかを瞬時に見極めることです。
「あの店のカレーは美味しかった?」と聞かれたのなら、あなたの意見を言えばいい。自分には辛すぎたとか、値段の割には美味しいと感じたとか。美味しさに正解はないのですから、ここは意見でいい。
でも、X社との取引がうまくいったかどうかは事実を答える。その上で、今後の展望や予測など自分の意見をプラスすればいいわけです。
「いやあ、僕のプレゼン自体はむこうの課長さんも熱心に聞いてる様子だったんですよ。でも、課長さんも決断できないのか、したくないのかわかりませんが、きっと景気もそんなに良くないからいろいろ考えるところがあるんじゃないですかね」
そう、これはすべて「意見」です。見事なくらい事実がひとつもない……。そんな事態に陥らないよう、相手が何を求めているのかを見極めてください。
■会話の主役は常に相手である
心をつかむために大切なのは、とにかく相手が望んでいることに応えることです。会話の主役はいつも相手なのです。
自分の意見を伝えたり、何かを教えたりするのは、相手の望みを叶えた後でいい。そうしないと、せっかくの正しい情報も立派な教えも、聞いてもらえなくなってしまいます。
もちろん相手が明確な敵であり、打ち負かさなければいけないときは論破が必要です。でも、普段の仕事や日常生活で、そんなシーンはほとんどありません。仮に意見が対立することがあっても、必要なのは相手を論破することではなく、建設的な議論で一緒に答えを出すことです。
僕の著書『心をつかむ話し方 無敵の法則』の中では、話がおもしろい人、なぜか怒られない人、また話したいと思われる人などの特徴をいくつも紹介していますが、すべてに共通する原理原則は相手への共感と理解です。
無意識に「自分が主役」になってしまうことは誰にでも、僕にでもあります。そうならないように、最近の会話を振り返ってみるといいかもしれません。
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放送作家・戦略的PRコンサルタント
1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。『ザ! 鉄腕DASH‼︎』『奇跡体験アンビリバボー』『ズームインスーパー』などにたずさわる。放送作家のノウハウを生かし、30歳の時から戦略的PRコンサルタントとしての仕事をスタート。著書に『終わらす技術』(フォレスト出版)、『毎日◯×チェックするだけでお金が貯まる手帳術』(集英社)などがある。
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(放送作家・戦略的PRコンサルタント 野呂 エイシロウ)
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