「なんと10歳で英検2級に合格」天才少年の母親が子育てで重要視していたこと
プレジデントオンライン / 2021年10月2日 12時15分
※本稿は、鹿田昌美『「自宅だけ」でここまでできる! 子ども英語超自習法』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■日常会話が日本語なら母語との混乱はない
「英語を早く始めると、日本語とごっちゃになって子どもが混乱するって聞いたけど……」
「まずは日本語がしっかりできることが大切なのでは?」
英語の早期教育については、賛否両論があります。
私自身、「母語(日本語)の習得が最も大切」だと考えています。ただし、ママパパの日常会話が日本語で行われていて、生活のベースが日本語で成り立っている環境で育っているお子さんなら、英語を意識して与えていても、圧倒的に日本語の時間量が勝っているため、子どもが混乱するほど両者の時間量が拮抗(きっこう)する心配はないのです。
よくあるご心配が「赤ちゃんから英語をたくさん聞かせて、日本語は大丈夫?」というもの。英語と日本語を赤ちゃんのときから同時に与えて、子どもが混乱しないか、ということですね。
心配ありません。お家の方が日本語を使って日常生活を送っていれば、自然に日本語が身につきます。
■ヘタな英語で親が話しかけることも問題ない
また、子どもは親の英語とネイティブスピーカーの英語を区別しています。ママパパが日本語っぽい英語で話しかけるから子どもの発音が悪くなるかといえば、必ずしもそうではありません。日本語っぽい英語で話しかけるママパパは、圧倒的に日本語で語りかける時間が多いはずです。子どものほうも、自分の親は日本語が得意なんだと理解します。ネイティブスピーカーの発音にも多く触れていれば、そのうち、ママパパの発音の間違いを指摘するようにまでなります。
英語教材をたっぷり与えていても、家の外での社会生活が始まれば、日本語が必ず優位になります。そのため、幼稚園に入ると、お子さんが使う日本語の量が急に増えて、英語がすみに追いやられてしまったみたい! と焦るママパパも多いかもしれません。
でも、ちょっと考えてください。幼稚園の年齢は、お友達と言葉でやりとりをするコミュニケーション能力をしっかり育てることが大切な時期です。大切なのは言語によるコミュニケーション力。日本人のお友達と生活しているなら、日本語が増えて当たり前です。
■小学校入学前に英語の土壌をつくっておこう
小学校に上がると、日本語を使う時間量がさらに増えます。学校ではもちろん、家でも宿題で漢字を練習したり教科書を音読したりと、日本語の4技能を訓練する時間が増えるため、英語に触れる時間がどうしても少なくなります。
だから、早すぎることを心配するのではなく、早めにスタートを切って、英語に触れる時間量が減ってからもコツコツと持続する工夫のほうを考えるのが得策です。ご家庭で英語に触れられる時間が多いうちに、英語の土壌を作っておくことが大切なのです水をまけばいつでも芽が出状態にしておけば、多少の休眠期間があっても復活します。
■義務教育でのスタートでも手遅れではない
「早いほうがいいの? じゃあ、うちの子はもう間に合わないかな……」
そんなことはありません。英語の専門職、たとえば通訳者や私を含む翻訳者の多くが、中学の義務教育で英語学習をスタートさせています。
中学以降、なんなら大人になってからでもリスニング力はじゅうぶんに伸びます。完全なバイリンガルにはなれないかもしれませんが、年齢が上がったほうが、論理的に英語の構造を理解して、興味や専門に合わせてボキャブラリーを増やすといった工夫がしやすいため、自分にとって使える英語を問題なく習得することができます。
そうして、英語専門職としてベテランと呼ばれる域に達してからも、コツコツと毎日資料を集めて読んだり、リスニング力を鍛えたり、辞書で単語を調べたりして、仕事に使える英語力をさらに伸ばすために努力を続けているのです(私もその1人です……)。
■始めるなら「今」
英語学習に「遅すぎる」はありません。もちろん英語に触れる時間量は多いに越したことはないので、「今」から始めましょう。
ただし、年齢が上がるごとに「英語の罠」が多くなります。外的要因に英語習得を阻まれる機会が増えるのです。
・私立中学(または高校)に入学したら英語の進度が早くてついていけない……
・他の教科や部活に時間を取られて英語に時間が割けない……
などが、よくある「英語の罠」のパターンです。
こういった罠にはまって英語嫌いになってしまった、というお子さんの話を、英語が得意な知り合いから、意外とよく聞きます。「自分が得意だったから、英語を習わせなくても子どもが自然に覚えてくれると思っていた……」と言うのですが、それもやはり「英語の罠」。
昔と比べて早期から英語を始めるお子さんが増えていますから、小学校英語、あるいは中学英語のスタート時点で周囲との差を感じ、自信ややる気をなくしてしまうケースもありますので、注意してあげてくださいね。
そうした罠に気を付ければ、学校教育に合わせてのスタートでも習得自体は問題ありません。義務教育から英語を始めて得意になる子どもには、「英語を学習しようという意欲がある」という特徴があります。そんなお子さんは、積極的に単語を覚えて、教科書を暗記し、英語の文化に興味を持ち、ホームステイや留学をして、英語を身につけていきます。意欲にまさる勉強法はありません。
■まずはとにかく「リスニング!」
できるだけ早く始めればいい。できれば、小学校に上がる前から……では、何から始めればいいのでしょうか。
わが家では「聞く」を重点的に行いました。なぜ「聞く」を重視するかというと、理由は3つあります。
(1)しっかりと「聞く」能力をつけることで、「話す」「読む」「書く」のスキルの下地が身につくから
(2)CDなどをかけっぱなしにするのは、手軽にできて、家だと長時間行うことが可能だから
(3)「話す」「読む」に比べて、「聞く」は年齢相応以上の内容までできるから
「聞く」は前倒しに「英語貯金」を積み上げやすい分野です。小さな子どもは、敬語を使って専門的な話をしたり説明的な文章を読み書きしたりすることができなくても、聞こえてくる音なら、さまざまな年齢や立場の人が話している言葉を通じて、断片的にでも情報をキャッチすることができます。おうちでリラックスしながら、リスニング力を身につけてしまいましょう!
■国語の読み書き練習も英語学習の土台になる
小学校に入学すると、教室の自分の机の前に座って、時間割に沿って教科書を使って学習することになります。親も子も、小学生の生活パターンに慣れるまで、少し大変かもしれません。宿題が毎日出るし、テストで評価を受けるので、親のフォローが必要です。おうち英語に使える時間ががくんと減ってしまうかもしれません。
でも、焦らなくても大丈夫です。小学1年生は「聞く」能力を「読み書き」につなげる大チャンスなのです。
小学校では、まず日本語の「読み書き」を習います。書くことについては、「ひらがな」の練習から始めて、2学期から「漢字」の練習が始まります。ノートのマスの中に、はみ出ないように整えながら字を埋めていくのは、慣れるまではとてもむずかしい作業です。
多くの小学校では、「字の練習」と国語の教科書の「音読」を宿題に出します。まずは「読み書き」ができることが、すべての教科の学習につながるので、ていねいにくり返し練習していくことが大切です。
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翻訳家
70冊以上の訳書があり(累計部数70万部超)、『フランスの子どもは夜泣きをしない』『デンマークの親は子どもを褒めない』(共に集英社)、『いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる最高の子育てベスト55』(ダイヤモンド社)など、子育て・教育関連本も多いうえ、「育児本」を読むマニアでもある。そうして得た知見を活かしつつ、息子には幼少時から自宅で英語に親しませていたところ、10歳で英検2級に合格。そのメソッドをまとめた本書は初の著作となる。自身は中1まで英語を学習していない。夫は英語がすご~く苦手。
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(翻訳家 鹿田 昌美)
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