「エコっぽいものに飛びついてはいけない」ひろゆきがSDGsに見向きもしないワケ
プレジデントオンライン / 2021年10月7日 9時15分
※本稿は、ひろゆき『ひろゆきのシン・未来予測』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
■SNS世代の心をつかむグレタさんの理想論
国連気候行動サミットで、地球温暖化対策に本気で取り組んでいない大人たちに対して怒りのスピーチを行い、一気に「次世代のリーダー」となった、高校生活動家のグレタ・トゥンベリさん。
彼女が主張するところの「パリ協定にある気温上昇を2度未満に抑えるという目標は、合意ばかりで実現していない」「そういう大人たちの事情を子どもの世代に支払わせるな」というのは、まっとうな言い分で、多くの若者たちの支持を得ています。
こうした声を真摯(しんし)に受け止めなければ、今後企業の生き残りは難しくなっていきます。
一方で、グレタさんのような「環境至上主義」の人たちの言うことには、矛盾もあるのです。
彼女たちの意見を突き詰めれば、「人間の手がかかっていないことがベスト」ということになります。だとしたら「人間を減らすこと」が地球環境にとって望ましいわけで、このまま僕らが生き続けること自体が問題になってしまいます。
飛行機に乗らずに船で移動するなどパフォーマンスに時間を費やすより、環境を守るための「具体的な技術革新」が必要なのだと僕は思います。その技術革新を、飛行機に乗っていち早く世界中に広めるべきです。
しかし、SNS世代は、彼女のような理想論に心動かされます。
これからの国や企業は、消費者候補であり投資家候補である若者たちの声に耳を傾けつつ、経済発展をさせるという難しい舵取りを求められているのです。
■エコっぽいものに飛びつかない
環境問題の未来を語るうえで、僕がよく使う言葉があります。それは「エコっぽい」です。
日本人をはじめ先進国の人たちの多くが、「それは本当にエコか」を科学的に検証することなく、「エコっぽいもの」に飛びついています。その結果、かえって環境によくないという皮肉な現象が次々起きているのです。
世の中には、一見、環境によさそうだけれど、少し考えれば意味のないことはたくさんあります。僕らは、企業や組織が自分たちの商品やサービスを売り込むための「環境にいい」というセールストークにまんまと引っかかっているのです。
たとえば、電気自動車。二酸化炭素を含んでいる排気ガスを出さず、環境に優しいということで、生産台数を増やしています。
けれど、エネルギー源である電気を発電しなければならないことまで考えるとどうでしょう。日本や中国、アメリカでは、火力発電への依存度が高く、日本原子力文化財団が公表した2019年のデータだと、日本は89%、中国は87%、アメリカは84%となっています。
つまり、電気自動車から直接排気ガスが出ないとしても、その電気を発電する際に、二酸化炭素がたくさん排出されてしまっているのです。
こうしたことを考えると、「電気自動車はエコだ」とは簡単に言い切れなくなります。しかし、多くの人は「排気ガスが出ないのだから環境にいい」と盲目的に信じ込み、一見エコっぽい電気自動車をもてはやしています。
これからさらに、環境へ配慮しようという動きは加速していくでしょう。それ自体はいい傾向だと思いますが、「エコっぽいもの」に短絡的に飛びつく姿勢をなんとかしないと、せっかくの効果は限定的になってしまいます。
![SDGsのイメージ](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/670/img_01e4fdc68581656c2cc169e9a1af95df412514.jpg)
■SDGsは絶対に実現できない
消費者の声や世論に敏感な企業ほど、熱心に取り組んでいるのがSDGsです。SDGsには「17の大きな目標」が掲げられています。
「貧困をなくそう」や「飢餓をゼロに」といった発展途上国への支援が必要なものや「気候変動に具体的な対策を」や「陸の豊かさも守ろう」といったすべての国で取り組むべきことまで、多岐にわたります。
SDGsはまさに最新のトレンドではあるものの、僕は一時的な流行に終わるのではないかと思います。
なぜなら、世界が一丸となることはまず無理だからです。人類史上、世界全体で協力体制を敷けたことはありません。
たとえば、目標の一つ、「陸の豊かさも守ろう」について考えてみましょう。先進国を中心とした余裕のある国が、いくら環境への配慮を訴えたところで、発展途上国が森林の伐採をやめるはずがありません。
発展途上国の人たちにとって、森林を伐採し、農地を広げていくことは生きるために必要不可欠なことだからです。生きるのもやっとの人たちに環境保全を求めるのは、先進国のエゴを押しつけているだけではないでしょうか。
■個別の国や会社ごとに具体的な目標を
このように、貧富の差があり、文化の差があり、考え方の差がある以上、世界全体で共通の目標を達成するなんてできるはずがないのです。
僕はSDGsのような、全世界で取り組む必要があるような大きな目標ではなく、個別の国や会社ごとに具体的な目標を提示していったほうが未来はよくなると思います。
![ひろゆき『ひろゆきのシン・未来予測』(マガジンハウス)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/200/img_5cc6fa1713abaecf3aca76c75c73f629273388.jpg)
世界的な統一目標は達成が困難すぎるため、積極的に取り組むよりも「なんとなくやっている感」を出しているほうが得をする状態になってしまいます。
ファッション的に環境問題を口にする傾向は、先進国を中心にこれからもどんどん出てくるでしょう。
実現可能性を無視して、達成できない目標を掲げていては、またグレタさんに「合意ばかりで実現していない」と叱責されてしまいます。
環境問題について考える際には「それは本当にエコなのか? そして、実現可能なのか?」という問いかけが必要なのです。
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2ちゃんねる創設者
本名は西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、近著『僕が親ならこう育てるね』(扶桑社)ほか『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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