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「あなたがいると職場が華やぐ」そういうオジサンの安直な声掛けが女性を苦しめている

プレジデントオンライン / 2021年10月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Asia-Pacific Images Studio

同僚の女性に「あなたがいると職場が華やぐ」と声を掛ける人がいる。心理カウンセラーの五百田達成氏は「女性は『大事なことは男でやる』と言われているように感じる。そういう言葉遣いが、相手を遠ざけて落ち込ませている」という――。

※本稿は、五百田達成『繊細な人 鈍感な人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■見た目を「劣化」と表現する人は三重の意味でアウト

1.劣化したよね
4コマ「劣化したよね」
マンガ・イラスト=りゃんよ

女性が年齢を重ねて見た目が変わることを、「劣化」と表現する人たちがいます。

タレントの昔の写真と今の写真を比べて言ったり、職場で「●●さん、だいぶ劣化したな」なんて言ったり。

どうでしょう、この「劣化」。かなり暴力的な言葉じゃないでしょうか? 女性のルックスのことを「劣化」とあげつらうのは、

1.人の見た目のことをあれこれ言うデリカシーのなさ
2.上から目線でジャッジしている傲慢(ごうまん)さ・幼稚さ
3.「モノ」が「古びた」ような言い方をする非情さ・視野の狭さ

と、三重の意味でアウトです。フォローの余地はありません。

そもそも、女性は生きているだけで常に男性からの視線にさらされています。男性は女性を、ひとりの人格としてではなく「性的なモノ」として見る傾向が強い。だから平気で街中の女性をジロジロ見るし「劣化した」だの「オバサンになった」だのと遠慮なく評価するわけです。

パートナーがテレビの中の女優のことを、上司が職場の同僚のことを、「劣化した」とディスるのを聞くと「私たちは見られている」という事実を思い出す。だから横で聞いてるあなたも居心地が悪くなるのです。そして「私もいつかそんなこと言われるのかな?」と不安になってしまうわけです。

■相手の顔をじっと見つめる

ですがここで「男性だって劣化するじゃないですか」「そういう自分は何様なんですか?」などとかみついても、空振りに終わるでしょう。相手のレベルに合わせてあげる必要はありません。そういうセリフは心の中でつぶやくにとどめましょう。

それよりもおすすめなのは、そんなことを言った人の顔をじっと見る、という作戦。そうすると、普段「見られ慣れ」ていない相手はきっと動揺して「え、何? 何?」とうろたえるでしょう。そしたら「なんでもないです」とかわせばOK。その話題は尻すぼみに終わるはず。

まあ、絶対伝わらないとは思いますが「『一方的に見られる』という感覚を少しは味わえ!」というメッセージを発することもできて、内心スッとするはずです。

■メイクは自分なりのアイデンティティの結論

2.メイクすればかわいいのに
4コマ「メイクすればかわいいのに」
マンガ・イラスト=りゃんよ

ある日同僚から「ちゃんとメイクすればかわいいのに……」と言われたとします。すると一瞬で、さまざまな思いが頭の中を駆け巡りませんか?

まず大前提は「ほっといて」ですよね。

あなたに言われる筋合いはない。顔とか見た目とかそういうデリケートなことをがさつに言ってくるなんて、どういう神経してるの? 今の時代、アウトだから。あと、その「君のためを思って」感、気持ち悪い!

次に「え……」と落ち込む気持ちも多少あるでしょう。いまのままじゃダメってこと? 普通に凹むんですけど。なんでそんなこと言うの?

さらには「だって……」と言い訳めいたものも浮かんできます。今日はたまたましてないけど普段はしてるし。っていうか、今朝は忙しかっただけだし。

で、一周して結局、「そんなこと言われる筋合い、やっぱりない!」に戻ります。

大人の女性ともなれば、メイクやファッションはアイデンティティそのもの。流行り、生活環境、年齢、髪のクセや体型、生き方や価値観、そういったものをすべて考えて、自分なりの結論としてようやくいまのメイクに落ち着いているわけです! それをよくもまあ、適当にダメ出ししてくれちゃって!

……と、これだけの言いたいことがバーッと頭の中を回ります。

■「僕のためにきれいでいて」という押しつけがましさ

この言葉の真意は「メイクしてほしいなあ」「僕のためにきれいに装ってほしいなあ」という押しつけがましい勝手な要望。そんなものまじめにとりあってられないので、「そうですねー、あはは」と笑ってごまかすことになりがちです。

ですが、これからはシンプルに「ええ、しないですねー」とだけ言いませんか?

言いたいことは山ほどある。でも、少なくともあなたのためにはしないし、したいときはする。だからほっといて。そういういろいろを込めて「しないですねー」「しないんですー」とだけ答えましょう。

「なんでしないの?」「してみたら?」と食い下がられても、ニッコリと首を振って「NO」のメッセージだけを伝える。

言い訳したり卑下したりしなくてOK。シンプルな「NO」が一番効果的です。

■女性が頑張ると「かわいげがない」と言われる世の中

3.真面目だね
4コマ「真面目だね」
マンガ・イラスト=りゃんよ

毎日英語の勉強をしてると言ったら「真面目か!」と笑われる。

提案理由を一生懸命説明したら「理屈っぽいなあ」と顔をしかめられる。

一生懸命やってるのに冷ややかなリアクション。「そこまでしなくても……」という空気。なんだか納得いかないと思いませんか?

とくに女性の場合、「女性らしい細やかな気遣い」だの「女の子らしいほのぼのとしたゆるさ」だのが勝手にもてはやされがちです。

がむしゃらにがんばったり、論理的に詰めていったりすると「かわいげがない」「融通がきかない」などと言われて、「は……?」と脱力することもしばしば。

時代の空気として、「ゆるいのがクール」「本気を出さないのがカッコイイ」というのは確かにあります。それを敏感に感じ取るあなたとしてみれば「こんな私、時代遅れかな」「一生懸命って流行らないのかな」と、落ち込む夜もあるでしょう。

そもそも繊細な人は、周りの人の感情をいちいち察してしまうので、みんなに気に入られようとしてしまいます。だから「真面目だなあ」と笑われると、むっとしつつも「あれ? 私、ヤバイ?」と反省してしまう。

■すべての人に気に入られるのは不可能

ですが、これまで繰り返し見てきたように、人の価値観はそれぞれです。

真面目な性格を好む人もいるし、めんどうに思う人もいる。ゆるふわが好きな人もいるし、嫌いな人もいる。

結局すべての人に気に入られることは不可能です。まずそこは諦める。であればどうすればいいでしょう? 誰の目を気にすればいいのでしょう?

答えは「自分」です。

言い古されていることですが、やはり、そこは真実です。自分が好きな自分でいる。自分が誇れる自分でいる。

もしそれが真面目さなのであれば、おかしなイジリなんかに負けず、「そうなんです、真面目なんですよー!」と(心の中だけでも)胸を張りましょう。

最後にひとつだけ余計なことを言うと、愚直で真面目で理屈っぽくて不器用な性格、私は好きですよ。

■「かわいい」という場所に閉じ込められる

4.かわいいわね~
4コマ「かわいいわね~」
マンガ・イラスト=りゃんよ

「○○ちゃんは若いからなー」
「○○ちゃんは、ほんとかわいいわねー」
「○○ちゃんがいると職場が華やぐなあ」

このように上司や先輩から、若さや女性であることを、ことさらほめそやされると、落ち着かずにソワソワしませんか? 本心でほめてくれているならまだしも、実際そうではないことも多い。

「女性だから」と大事な仕事から外される。「若いから」と大きな案件から外される。それをフォローするように「かわいい」「若い」「華やぐ」などと持ち上げてくることがよくあるわけです。

まるで、「かわいい」という場所に閉じ込めておきたいかのように。

いわば「かわいいロックダウン」です。

余談ですが、韓国は彼氏が彼女をチヤホヤする恋愛文化で有名ですが、それも根っこには「かわいい君はそこで笑ってればいい。面倒で大事なことは男たちでやるから」という思想があるのだそうです。それに似たものを感じますよね。

■あなたをライバルとして認めている証し

さて話を戻すと、この「かわいいロックダウン」は、「あなたはいいよね」のページで見たのと同じように、否定するのも肯定するのも難しく、「そんなそんな……」と苦笑いしているうちに、どんどん端っこへ追いやられる仕組みです。

五百田達成『繊細な人 鈍感な人』(PHP研究所)
五百田達成『繊細な人 鈍感な人』(PHP研究所)

鈍感で脳天気な人ならまだしも、真面目で繊細なあなたであれば、いち早く相手の裏メッセージに気づいて「仲間に入れてもらえないんだ……」「実際、仕事のスキル足りてないしな」と落ち込んだりするかもしれません。

ですが、こうは考えられないでしょうか?

相手が必死になってあなたを閉じ込めてくるのは、あなたを仕事のライバルとして認めているから。自分の領域に入ってこられると困るから。そうやって裏の裏のメッセージを読み取れば、「お? 私ってばマークされてる?」と自信になりませんか?

そうやって少し自尊心を取り戻したら、「いやー、若いからこそ経験積ませてくださいよ」「ありがとうございますー。で、例の案件なんですけど」と、ぐいぐい中心に入っていきましょう。友だちづきあいなら距離を置いてもいいでしょうけれど、仕事となれば話は別。ちゃんとがんばりたいのであれば、「遠ざけ作戦」なんかに負けてはいられません!

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五百田 達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。

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(作家・心理カウンセラー 五百田 達成)

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