「ほとんどの日本人は都心に移住したほうがいい」ひろゆきが地方移住をすすめない理由
プレジデントオンライン / 2021年10月12日 9時15分
※本稿は、ひろゆき『ひろゆきのシン・未来予測』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
■「ひろゆきが考える将来性のある地域」
「日本に帰ってくるとしたらどこに住みますか?」とインタビューで聞かれたことがあります。
インタビュアーの人はこの質問を通じて、「ひろゆきが考える将来性のある地域」を知りたかったのかもしれません。
僕はそのとき、「地方の田舎で引きこもり生活をすると思いますが、ほとんどの人にはおすすめしません」と答えました。なぜおすすめしないかと言うと、人口減少のあおりをもろに受け、地方の生活がどんどん不便になっていくからです。
人口が減ることがどういう未来につながるか。それを示す象徴的な事案があります。
JR北海道は2021年、利用客の少ない18駅をダイヤ改正に合わせて廃止しました。地域の住民からは存続を希望する声がずっとありましたが、コロナ禍が止めを刺した形です。
たまにしか利用客がいないような駅を住民のために守っていては、JR北海道自体を潰すことにもなりかねないので、やむを得ない選択でしょう。
また、日本で建設してから50年以上経つ橋梁は、現在でも約2割を占めており、2023年には約4割になるそうです。そして、そのほとんどは、撤去されればいいほうで、通行止めという処置がとられるようです。
つまり、その地域の住民にとって、もう渡れる橋はなくなるのです。
今後はこういった地域がどんどん増えていきます。民間の有識者がつくる「日本創成会議」は2014年、全国の市区町村1799のうち、896が「消滅可能性都市」に該当すると指摘し、話題を集めました。
つまり、全国の自治体の半数が消滅の危機にあるということです。今後は北海道に限らず、交通インフラの整った便利な暮らしがしたいなら、都市部に移住するしかないのでしょう。
少子高齢化が進めば、税金を納める人も減り、お金はどんどん足りなくなります。お金がなければ、人々の暮らしが不便であろうとなかろうと、どうにもすることはできません。
■高齢者が選んだ政治家のツケ
地方のインフラが保てなくなっているのは、前述したようにメンテナンスにあてるお金がないからです。
高度経済成長期には国からインフラ整備のお金がどんどん出たし、地方自治体もそれを大歓迎しました。自分たちの村や町が便利になるだけでなく、地元の建築業者にお金が落ちて、それによって税収が増えるといううまみがあったからです。
しかし、「その後のメンテナンスはどうするのか」については考えなかったか、先送りしてしまったために、今になって大きなツケが出てきているわけです。
図表1は、国土交通省が発表している「地域ごとの将来推計人口の動向」です。
東京でも地方でも、今後、人口は減り、高齢者の割合が大幅に増えていきます。
高齢者の政治的な発言力が強まる「シルバーデモクラシー」が言われるようになって久しいですが、それは、もはや深刻な域に達しています。
高齢者は、自分がもう生きていない未来のためよりも、目の前のことに税金を使ってくれる政治家に1票を入れます。老朽化したインフラも、別に無理に整備してもらう必要はないのです。
一方で、将来を大事に考える若者たちも1票を持っています。でも、その人口は高齢者より少ないので、いくら真面目に投票しても結局は勝てません。
となれば、なおさら、地方のインフラを新しくしていくことは困難なわけです。日本の崩壊は地方から始まっていくのです。
■大都市やその周辺にとどまるほうがいい
コロナ禍では人混みを避ける傾向が強まり、またリモートワークも増えたために、都心から郊外や地方へと移住する人も出てきました。
僕自身についていえば、もともとフランスに住んでいながらリモートで日本の仕事をこなすことが多かったくらいですから、最初に述べたように、もし日本に帰るときが来たら田舎暮らしを選びます。
しかし、僕のようなケースはまれで、ほとんどの日本人は大都市やその周辺に留まるほうがいい。日本では、大学などの教育施設も、病院も、劇場も大都市に集中しており、便利な暮らしを享受するために、大都市にアクセスしやすい場所に住むべきなのです。
ましてや、人口が減ってくれば、都心の物件を入手するための倍率も下がるわけですから、一極集中はますます進むでしょう。人口が減少していく中で、生活を維持していくには、人々が集まって暮らすしか選択肢は残されていないのです。
逆に言えば、「その他の地域」は荒廃していく可能性大です。
すでに少子化は進行していたものの地価が暴騰していたバブルの時代には、一般的なサラリーマンにとって都心に住むのは夢のまた夢。
多くの人が「○○ニュータウン」と名付けられたような郊外のベッドタウンに家やマンションを買いました。
しかし、郊外のベッドタウンは、今後高齢化が進み、お金を使ってくれる現役世代がいなくなることで商店などが減り、どんどん暮らしが不便になります。そして、それが原因でさらに人が寄りつかなくなるという負のサイクルが生まれます。
■責任者不明の「空き家」が激増する
地価が高騰している時代には、どんなところであれ土地を相続できるのはありがたいことでした。しかし、今は「かえってお荷物」となり得ます。
自分が住むわけでもなく、借り手がつくわけでもない。それでも、持っていれば相続税がかかるのです。
相続した土地が都心の便利な場所にあれば、いずれ売れる可能性はあります。しかし、駅から遠いところや地方では、それもままなりません。
こうした物件は、持ち主だけでなく、地域社会にとっても悩みの種となります。
持ち主は、価値もない家にお金をかけるのは嫌だから手入れをしません。そのうちに、屋根ははがれ、窓ガラスは割れ、ネズミが徘徊する危険物件となっていきます。
周囲の住民は「せめて取り壊して更地にしてほしい」と望みますが、ただ家を壊すだけの目的でお金を出す持ち主は多くありません。
自治体は個人の財産権を理由に積極的には動きません。というか、自治体にも空き家問題に対処する財政的な余裕がありません。やがて、持ち主さえ死去してしまい、いったい誰が責任者なのかもわからない空き家が、地方や郊外を中心に激増するでしょう。
野村総合研究所の試算によると、2033年には空き家率は30.4%まで上昇する見込みだそうです。およそ3軒に1軒が空き家というとんでもない時代がすぐそこまでやってきているのです。
そして、そういう事態を恐れて多くの人がさらに都心に集中します。それができない人だけが荒れた地方に取り残されていくという二極化が、これから進行するでしょう。
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2ちゃんねる創設者
本名は西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、近著『僕が親ならこう育てるね』(扶桑社)ほか『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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