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「ずっとスマホを見つめている」SNSやゲームをやめない子どもに試してほしい"ある一言"

プレジデントオンライン / 2021年10月16日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/dragana991

子どもがスマートフォンを手放さない時、親はどう対応すればいいのか。ジャーナリストの石川結貴さんは「『どうしてやめないの?』と理由を聞いても親子ゲンカになるだけ。スマホ問題を解決するには、理由ではなく『気持ち』を聞いてみてほしい」という――。

※本稿は、石川結貴『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)の一部を再編集したものです。

■子どもとの会話で理由ばかり尋ねていないか

親は子どもと会話するとき、つい事象を取り上げる。たとえば「数学のテストは何点だった?」と尋ね、子どもが「70点だよ」と答えると、「じゃあ次は80点目指してがんばりなさい」、そんなふうに点数という目に見える事柄に対して評価する。

「宿題をやったの?」、「ご飯を食べたの?」、「明日の学校は何時に終わるの?」、「友達とどこへ遊びに行くの?」、「なんでお母さんの言うことが聞けないの?」といった日常会話も同様で、実のところ会話というより事象の確認作業と、それに対する評価を伝えて終わりがちだ。

むろん確認や評価はあっていいのだが、それだけでは子どもの気持ち、あるいは子どもなりの事情がわからない。それこそ数学のテストで70点だったとき、その結果がうれしいのか、悲しいのか、くやしいのか、ホッとしたのか、子どもなりの気持ちがあるだろう。

これまで取材した子どもたちから数多く聞かされたのが、「親は理由ばっかり」という言葉だ。「なぜ勉強しないの?」、「どうして真面目にやらないの?」、「何時間もスマホを使う理由は?」というように、親からは問題の理由や原因を尋ねられる。

一方の彼らは「そう聞かれても困る」とか、「うまく返せなくて、もっと怒られる」などと戸惑いを見せるのだ。

■理由ではなく「気持ち」を聞いてほしい

たとえば親から「ゲームで遊ぶ時間があったら勉強できるでしょ。どうしてやらないの?」と聞かれても、なぜ勉強よりゲームを優先させてしまうのか、具体的に説明できない。

「勉強よりゲームのほうがおもしろい」、「なんとなくゲームが好きだから」などと答えようものなら、「だからアンタはダメなのよ!」と重ねて叱責される。さらに「どうしてダメなのか、自分でちゃんとわかってるの?」とあらたな説明を求められ、ますます困ってしまう。

スマホでRPGゲーム中
写真=iStock.com/gorodenkoff
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gorodenkoff

そんな子どもたちの声に接するうち、ある中学生が「気持ちを聞いてくれればいいのに」とぽつりと言った。自分がダメなのはなぜなのか理由の説明はできないが、ダメな自分に対して感じていることなら言いやすい。

たとえば何時間もSNSをつづけているときの「気持ち」なら、「楽しいときもあるけど、結構つらい」とか、「ほんとはちょっとむなしいなって感じてる」とか、そういう言葉なら話せるし、実のところその気持ちこそ親にわかってほしいという。

これには私もハッとした。言われてみれば確かにそうで、彼らが「自分の気持ちをわかってくれない親への怒り」を持つのはそもそも気持ちを聞かれる機会がないからだ。逆に親の気持ちを聞く機会もないから、ただ一方的に責められ、罵られているようで素直に耳を傾けられない。

■「やめようと思ってもやめられなくて焦る」

「気持ちを聞いてくれればいいのに」という声に接して以降、私は取材で会う子どもたちに必ず気持ちを尋ねるようにした。

オンラインゲームに依存している子どもには、「何時間もゲームをやめられないときって、どんな気持ちなの?」、SNSでつながったどこの誰ともわからない相手を「心友」だと話す子どもには、「どういう気持ちがあって、知らない人と仲良くなったの?」と聞いてみる。

するとほとんどの子どもは自分の気持ちについて語ってくれる。「やめようと思ってもやめられなくてマジ焦る。自分でもヤバイなってかなり不安」とか、「リアルで友達できなくて寂しかったからSNSで探したけど、なんかモヤモヤする」とか、彼らなりの感情が吐き出されるのだ。

■子どもが事情や理由を打ち明けるきっかけに

そうして気持ちの一部でもつかめれば、それを糸口にしてあらたなコミュニケーションができる。オンラインゲームをやめられず「マジ焦る」という子どもには、「なるほど、焦りとか不安があるんだね。そういう気持ちを正直に話してもらえてうれしいな」と、今度は私の気持ちを返してみる。

「うれしいな」と言われた子どもは目を丸くして、「ええー? うれしいとか言われたの、はじめてだよ」と驚くが、その顔にはいかにもホッとしたような表情が広がっていく。その上で、「焦ったり、不安になったりするってことは、ゲームもそこまで楽しくないのかな?」とか、「もし楽しめなくなっているのなら、そこのところをもう少し詳しく聞かせてもらえる?」とか、次のコミュニケーションにつなげていく。

面と向かって話し合い
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

そうしてある子はすらすらと、別の子は慎重に、また別の子はじっくりと考えながら、それぞれの子どもなりに事情や理由を打ち明けてくれるのだ。

■「スマホ弱者」の親たちが抱える悩み

私と子どもたちとの関係性に限らず、親子の間でも同じことができるだろう。数学のテストが70点ならば、その結果をいい悪いと評価するだけでなく、70点を取ってうれしいのか、くやしいのか、ホッとしたのか、子どもの気持ちを尋ねてみてはどうだろう。

仮に子どもが「結構勉強したんだけど、70点だったからくやしいな」と話したら、「なるほど、それはくやしいかもね」と受け止める。次に「でも、結構勉強したってことは、お母さんはうれしいよ」と親の気持ちを伝えてみる。こうすることで70点という事象の裏側に、くやしいという子どもの気持ち、それでもうれしいという親の気持ちがあるのだと互いにわかりあえる。

特に子どものネットやスマホ利用の問題を解決するには「気持ちの交流」が効果的だ。なにしろ親のほうはTikTokだのボイスSNSだのと言われても、その実態をほとんど知らない。わからないから話ができないと思いがちだし、実際に話が通じなかったり、つい親子で口論になったりする。

そんなとき、親はどんな気持ちになるだろうか。子どものやっていることがわからなくて怖い、話ができなくて不安、すぐにケンカになって悲しい、おそらくそうした気持ちを持つはずだ。

■子どもに暴言を吐かれた時はどうしたらいいのか

取材する親たちからしばしば聞くのが、「子どものスマホ利用を注意したら、暴言を吐かれた」という悩みだ。「うっせぇーよ、ババア、死ね」、「てめぇは黙ってろ」、「ったく、うぜえんだよ」、そんなふうにひどい言葉を浴びせられたと訴える。

「それでどうしたんですか」と尋ねると、「私も頭に来たので思いっきりキレました」とか、「親子で罵り合いになって、もう少しで暴力沙汰でした」とか、怒りと失望の混じった言葉が返ってくる。

我が子に「死ね」と言われてキレたくなるのも無理ないが、いくら罵り合ったところで問題は解決しない。それよりも「死ね」と言われたときの親の気持ち、悲しい、つらい、腹が立つ、驚いた、情けない、そういう感情の言葉を伝えてみてはどうだろう。

子どもに気持ちや事情があるように、当然ながら親にもある。それを素直に吐露してみると、これまでとは違ったコミュニケーションができるようになる。

「死ね」と言われたら、「そう言われるとは思わなかった。お母さんは悲しいよ」と返してみる。あるいは「母親に向かって『死ね』と言うとき、どんな気持ちになるの?」と子どもに尋ねてみてもいい。

■親子げんかを避けるには「自分の気持ち」を伝える

オンラインゲームやSNSに熱中する子どもに「どうしてやめられないの?」と説明を求めるよりも、「やめられない様子を見ていると不安になる」、「最近は口もきいてくれないから寂しい」、「もしも困っていることがあるなら、ちょっとでも話してもらえるとうれしい」、そんなふうに親の気持ちを伝えると、おそらく一方的に責めたり、互いに罵り合ったりするようなことにはならない。

石川結貴『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)
石川結貴『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)

多くの親が「子どもの気持ちを知りたい」、「子どもが何を考えてるのかわからない」などと言うのだが、そもそも子どもの気持ち以前に親としての「自分の気持ち」を忘れてはいないか。

ひっきりなしにスマホを使う、注意しても通じない、いつも不機嫌、やたらと反抗的、そんな子どもに対する自分の寂しさや悲しさに気づいてみると、オンラインゲームやSNSを「やめさせたい」のは自分が不安だからだ、そう別の視点が現れる。

子どもに向けて「バカだ」、「人生終わるよ」と責めるだけでなく、「お母さんは悲しくなる」、「お父さんにできることがあるなら教えてもらえるとうれしい」と素直に伝えることで、次につながる関係性が生まれていくように思う。

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石川 結貴(いしかわ・ゆうき)
ジャーナリスト
家族・教育問題、児童虐待、青少年のインターネット利用などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに書籍の刊行、雑誌連載、テレビ出演、講演会など幅広く活動する。著書に『スマホ廃人』(文春新書)、『毒親介護』(文春新書)、『ジャーナリストルポ 居所不明児童:消えた子どもたち』(ちくま新書)など多数。

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(ジャーナリスト 石川 結貴)

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