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「そんなに高くしていいんですか?」私が周囲に驚かれるほど高い講演料を設定する理由

プレジデントオンライン / 2021年10月22日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kasto80

もしあなたが講演を頼まれたとき、どれぐらいの金額を設定するだろうか。歯科医師で講演活動も行う井上裕之さんは「遠慮して低くする必要はない。自分の価値を認めてくれているのだから、高い金額を請求するべきだ。それは結果として、仕事の質を上げることにつながる」という——。

※本稿は、井上裕之『人生を自由にしてくれる本当のお金の使い方』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

■仕事の安売りは自分の価値を下げる

「転職者が希望年収を聞かれたとき」「フリーランスがギャランティの交渉をするとき」「取引先から見積書の提出を求められたとき」「新規事業をはじめたとき」などは、安売りしすぎないことが大事だと私は考えます。

先日、ある方(Bさん)から、次のような相談を受けました。

「ある企業の講演会に招かれて、登壇することになりました。先方から『登壇料の見積りをいただきたい』と言われたのですが、見積額を決めかねています。人前で話した経験がないので、相場がわからないんです。井上先生、いくらくらいにすればいいと思いますか?」

私が具体的な金額をお伝えすると、Bさんが、「え! そんなに高くしても、大丈夫なんですか?」と驚いた表情を見せたので、私はこう続けました。

「講演料は、Bさんの仕事に対する正当な評価ですから、低くする必要はないと思います。『交渉するのは面倒だ』『高い金額を請求すると、相手を不快にさせるのでは』といった理由で低く見積らないほうがいいでしょうね。見積金額を下げることは、『自分で自分の価値を下げること』『自分には低い価値しかないと認めること』と同じです」

■適切な価格を受け取ることで覚悟と責任をもって相手の期待に応える

仕事の値段(ギャランティ)を決めることは、「自分自身の価値を決めること」です。安い仕事ばかり受けていると、自分の価値を下げてしまいます。

ひとたび「あの人は、安くても引き受けてくれる」というレッテルを貼られると、「それが当たり前」になってしまいます。

「次の仕事も、安い金額でやらざるを得ない」
「金額を上げるのが難しい」(上げてもらいにくい)
「他の会社を紹介されたときも、安い金額で受けることになる」

そのため、自分の仕事に見合ったギャランティを得ることができません。安いギャランティで受ければ受けるほど、収入の見込みは下がります。

高い金額を請求することは、仕事の質を上げることにもつながります。

金額を高く設定した場合、「それにふさわしい成果を出さなければならない」「先方に納得、満足してもらわなければならない」と考え、仕事の質が上がります。

一方、価格を低く設定するのは、自信のなさ、覚悟のなさのあらわれです。

「金額を高く請求した場合、その金額に見合った仕事をしないと、相手に文句を言われるかもしれない。でも安くしておけば、少しくらいレベルの低い仕事をしても許してもらえるだろう」

こうした甘さ、覚悟のなさが仕事の質を下げるのです。

ここでは個人で依頼された仕事の話をしましたが、これは転職時でも、ビジネスの交渉時でも同じ。覚悟と責任を持って「相手の期待に応える」ためにも、「適正なギャランティ」を受け取るべきなのです。

もし、適性金額を下回る報酬を提示された場合は、相場価格を示して交渉を行うか、自分が希望する価格を提示して「可能かどうか」を検討してもらうといいでしょう。

■失敗を人のせいにすると成長機会と信頼を失う

ただ、適正なギャランティを受け取り、覚悟と責任をもって仕事に臨んでも失敗することはあります。

そんなときに大事なのが「人のせい、環境のせい」にしないということです。これは必ず結果を出す人に共通していることでもあります。

本来、人生のあらゆる結果は、すべて自分の責任です。何が起こっても、環境や他人のせいではなく、「そうする」と決めた自分の責任です。

何かがうまくいかなかったとき、「失敗したのは、自分のせいではなく、◯◯のせいだ」と、誰か/何かに責任を押し付ける人がいます。

誰か/何かに押し付けておけば、自己評価を下げずに済みます。自己保身にもなる。ですが一方で、誰か/何かのせいにばかりしていると、次の「2つ」を失いかねません。それは「成長機会」と「信頼」です。

失敗の原因を「外」に求めると、自分の選択、判断、行動の結果を検証する機会を失います。それは、成長機会を失うことと同じです。

結果を出し続ける人は、問題の原因を「自分自身」(自分の行動や思考)にあると考えます。

そして、「このやり方はうまくいかないことがわかった。別のやり方を試そう」「このやり方が失敗した原因を分析しよう」と、PDCAサイクルを回す。だから同じ失敗を繰り返しません。

結果の原因が「誰か/何か」にあると捉えるか、それとも「自分」にあると捉えるかによって、成長速度は大きく変わります。

「自分にある」と捉える人は、改善のアクションを図るため、成長サイクルを早く回すことができます。

握手をする人
写真=iStock.com/AzmanL
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AzmanL

■「人のせいにしない人」にこそ信頼は集まる

誰か/何かのせいにしておけば、ミスに対する一時的な損失を避けることができます。ですがそれが発覚したとき、周囲の反感を買います。

仮に、ミスの原因が「自分」にはなかったとしても、「自分にできることは本当になかったのか」を問い直せる人に、信頼は集まります。

周囲の信頼を得られるのは、「失敗しない人」ではなく、「失敗を人のせいにしない人」です。

自分自身を冤罪(えんざい)化しないこと。

自分以外の何かに責任を転嫁すると、一時的に気持ちがラクになります。その間だけは、不平不満が解消されます。憂さ晴らしにもなる。

ですが、それでは問題は解決しません。うまくいかなかった原因の多くは、「外」ではなく、自分自身にあるからです。

そこに手をつけないかぎり、成長は望めない。私はそう思います。

■待っているだけではピンチの後にチャンスは来ない

成功と失敗、どちらが多いかと言えば、失敗のほうでしょう。

成功と失敗、どちらが先に存在するのかと言えば、こちらも失敗です。

成功は、常に、失敗の先に存在します。

失敗は成功の母です。

しかし、「失敗の数が多いほど成功しやすい」「失敗すればするほど成長する」とはかぎりません。ただ失敗するだけでは、成功をつかむことなんてできません。失敗の数が積み重なるだけです。

井上裕之『人生を自由にしてくれる本当のお金の使い方』(あさ出版)
井上裕之『人生を自由にしてくれる本当のお金の使い方』(あさ出版)

失敗の先に成功をつかみ取るには、「自分がした失敗の原因を分析し、次に向けた改善を行う」ことをやらねばなりません。「失敗→改善」のサイクルを愚直に繰り返した人だけが、成功を手にできる。私はそう考えています。

よく言われる「ピンチはチャンス」という言葉も、「ピンチを切り抜けると、次にチャンスが待っている」という単純な意味ではありません。

ピンチに陥りながらも、先々の手を打っている人だけが、チャンスを「呼び込む」ことができます。

チャンスは、待つものではなく、呼び込むものなのです。

■失敗しても学びに変えればいい

多くの人は、「負けたくない、失敗したくない、恥をかきたくない」とリスクに怯え、一歩を踏み出そうとしません。良くない結果が出ることを恐れすぎています。

ですが、やる前から「結果」がわかっていること、やる前から「成功」が約束されていることなどひとつもありません。

「勝つか、負けるか」「結果が出るか、出ないか」「成功するか、しないか」はやってみないとわからないのです。

結果を出したいのなら、「やる」しかない。実際に行動しなかったら、前に進むことなく、ずっと同じ場所にとどまるだけです。

行動した結果、仮に失敗したのなら、それを学びに変えればいい。

ピンチに陥っても、失敗をしても、そこで何かを学び、新たな一歩を踏み出せばいいのです。

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井上 裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長
歯学博士、経営学博士、東京医科歯科大学非常勤、インディアナ大学客員講師など国内外7大学の役職を勤める。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト公認グランドマスター。ベストセラー『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『本物の気づかい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書多数。

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(いのうえ歯科医院理事長 井上 裕之)

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