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「同じ1杯でも飲み方で差がつく」お酒のダメージを残さないために必要な"あるおつまみ"

プレジデントオンライン / 2021年10月22日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

健康的にお酒を楽しみ続けるにはどうすればいいか。医師の溝口徹さんは「同じ1杯でも飲み方によってはお酒のダメージを減らすことができる。そのためには、飲み始める前に3つの栄養素を摂ることが重要だ」という——。

※本稿は、溝口徹『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

■同じ1杯でもこの飲み方で差がつく!

「病気にならずに、いくつになってもお酒を楽しみたい」

そんなわがまま(?)に本稿は少しでもお応えしようとしている。

なかには、「飲んだことを帳消しにすることはできますか?」「飲みすぎをなかったことにしたいのですが……」などと言う人もいる。お酒を飲んで気分よく酔っ払いたいけれども翌日には残したくない、というのが酒飲みに共通する願いだろう。

改めて言っておく。さすがに飲んでしまったアルコールをまったくなかったことにすることはできない。

しかし、いつまでもお酒を楽しみたいのであれば、飲み方や日頃の工夫、さらには積極な栄養補給によってその希望に近づけることは可能だ。

そこで本稿では、アルコール代謝によって需要が増える栄養素の積極的な摂取を中心とした、長くお酒を楽しむための一歩進んだ対策を紹介する。それが、栄養素で体の不調を改善するオーソモレキュラー療法(栄養療法)の強みである。

同時に、どのくらいの頻度で、どんなふうに飲んだらいいのか、具体的なお酒とのつきあい方についても紹介していこう。

もちろんアルコールの代謝には、酵素活性の遺伝子的素因などもあり、個人差が大きい。また飲酒習慣も、その長さや摂取量などによっても大きな差があるため、人によって効果のあらわれ方に違いがある。

それでも、これから紹介する飲み方を実践すれば、同じ1杯でも体への影響は確実に変わってくるはずだ。

■お酒を飲んでいる人はほぼナイアシン不足

なんといっても、まずはアルコールの代謝を助ける栄養素である。

それが「ナイアシン」と「ビタミンB群」「亜鉛」の3つだ。これら3つの栄養素(サプリメント)のおすすめの摂り方は、「飲む前に飲む」である。アルコールが入ってくる前に、準備を万全にして待つというわけだ。それぞれ説明していこう。

・ナイアシン

お酒を飲んでいる人は、ほぼナイアシン不足と思ったほうがいい。ADH(アルコール脱水素酵素)もALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)も、ナイアシンを基質とする補酵素NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を大量に消費するからだ。

つまり、ナイアシンをしっかり入れておかないと、アルコールをスムーズに代謝することができないのである。

ナイアシンは、アルコール依存傾向がある人は特におすすめだ。ナイアシンのアルコール依存症に対する有効性を報告したのが、先にも触れたオーソモレキュラー療法の生みの親エイブラハム・ホッファー博士と、ハンフリー・オズモンド博士である。

ナイアシンを統合失調症の治療に用いたホッファー博士が、統合失調症でなおかつアルコール依存症の患者にナイアシンを用いたところ、統合失調症の症状はもちろん、アルコール依存症の症状まで改善してしまったのだ。

■「飲みたい」という欲求を抑えるナイアシン

ナイアシンを摂ると、「飲みたい」という欲求が抑えられるのである。

あくまでも私の経験上の話だが、ナイアシンを摂ると調子よく飲めるようになるタイプと、適量で気持ちよく酔い、結果的にあまり飲まなくて済むようになるタイプに分かれるようである。

後者であればいいが、前者の場合、調子がよくなってつい飲みすぎてしまった、などということにならないように注意をしてもらいたい。

私の場合、先輩医師がアルコール依存症の離脱にナイアシンを使っていたのを知り、アルコール依存の患者さんに積極的に使うようになった。アルコール依存のほかに、発達障害でこだわりが強いお子さんに使うこともある。ただしその場合、食べ物から摂取するよりもサプリメントを使ったほうが効果的である。

ちなみに、ナイアシンには血管拡張作用がある。そのため、ナイアシンをたくさん摂ると、人によっては、一時的に顔が赤くなったり、上半身にほてりやかゆみが出たりする場合がある。いわゆるホットフラッシュ(ナイアシンフラッシュともいう)である。

サプリメントでナイアシンを摂取する場合は、フラッシュフリー(ノンフラッシュタイプ)のものを摂るといいだろう。あるいはナイアシンアミドといわれているものはホットフラッシュが出にくい。

ナイアシンは別名ビタミンB3といわれ、「ビタミンB群」に含まれる。ならばビタミンB群を摂ればいいのではないかと思われるかもしれないが、アルコール代謝という意味では非常に重要な栄養素なので、ナイアシンとして別に摂取するのが望ましい。

ビタミンB群は連携して働く栄養素なので、ナイアシンとビタミンB群はセットで摂るようにしよう。

ナイアシンを比較的多く含む食材
・カツオの刺身
・豚レバー
・エリンギ
・ピーナッツ など
カツオの刺身
写真=iStock.com/motosuke_moku
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/motosuke_moku

■疲労感やイライラの原因はビタミンB群不足

・ビタミンB群

アルコールの代謝をはじめ、あらゆるものの代謝に必要な栄養素である。

改めて「ビタミンB群」とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸のことをいう。それぞれが連携して働いているためにまとめて「ビタミンB群」といわれている。

ビタミンB群はストレスで大量に消費されてしまうのだが、日々の生活のなかで圧倒的に不足しているため、お酒を飲む、飲まないにかかわらず、積極的に摂ってほしい。

もちろんお酒を飲む人には必須だ。

疲れやすい、集中力が続かない、イライラする、肩こりが治らない、口内炎や口角炎ができやすい、風邪をひきやすい、などの症状がある人は、ビタミンB群不足の可能性があるため、さらに意識して摂るようにしよう。

「ビタミン」というと野菜に多いイメージがあるかもしれないが、ビタミンB群は動物性たんぱく質に多く含まれている。ビタミンB1が多い豚肉は、ショウガ焼きや豚丼など、メニューも豊富だ。ランチでもつまみでもいいので、積極的に取り入れてみてはどうだろうか。

ビタミンB群を比較的多く含む食材
・ビタミンB1……豚肉、ウナギ、玄米
・ビタミンB2……豚レバー、ウナギ、納豆
・ビタミンB6……マグロ、牛レバー、カツオ
・ビタミンB12……牛レバー、アサリ
・葉酸……鶏レバー、菜の花、枝豆 など
納豆
写真=iStock.com/yankane
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yankane

■現代人は圧倒的な亜鉛不足

・亜鉛

亜鉛については、体に必要なミネラルであることはなんとなく知っているが、具体的にどんな栄養素なのか知らない人も多いのではないだろうか。

亜鉛は、粘膜の再生を促したり、アレルギーを抑制したり、味覚や嗅覚を正常にしたりする栄養素である。また、男性の場合、精力の増強や前立腺障害を防ぐ栄養素としても知られている。

そして、飲酒にもっとも関連しているのが、体の酸化を防いでくれる働きであり、ADH(アルコール脱水素酵素)に不可欠な栄養素が亜鉛なのだ。つまりナイアシンやビタミンB群同様、アルコールを飲むと亜鉛が消費されてしまうのである。

それにもかかわらず、現代人は圧倒的に亜鉛が不足している。その理由は加工食品や精製食品の過剰摂取だ。

■亜鉛が多い食材は牡蠣だけではない

レトルト食品やインスタントラーメン、冷凍食品、スナック菓子などの加工食品には、ほとんど亜鉛は含まれていない。どんなに食事に気をつけている人でも、加工食品をまったく食べないという人はまずいないだろう。これらの加工食品を週に何度も食べていたら亜鉛の摂取量は当然、足りなくなる。

溝口徹『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』(青春新書インテリジェンス)
溝口徹『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』(青春新書インテリジェンス)

また、ビタミンB群と同様に、ストレスや糖質の多い食生活でも亜鉛は消費されてしまう。ストレスが高い人、パンやご飯、麺類やパスタなどの糖質摂取が多い食生活の人では、亜鉛の尿中排泄量が増えることがわかっている。

あまりうるさいことは言いたくないが、「家飲み派」の人は特に、お酒を飲みながら、柿の種やポテトチップスなどのジャンクフードを食べていないだろうか。そんなことをしていたら、亜鉛は減る一方なのである。

亜鉛不足の場合は、風邪をひきやすい、肌が乾燥しやすい、爪に白い斑点がある、シャンプーのときなどによく髪が抜ける、味覚や嗅覚が鈍くなった、傷や虫刺されなどの治りが悪く、痕が残りやすくなった、などの症状がある。

亜鉛が多い食材は牡蠣がもっとも有名だが、日常的に牡蠣ばかり食べるわけにはいかないだろう。赤身肉やレバーなど、鉄分を含む食材に多く含まれることがわかっているから、普段から意識して摂るようにしよう。

亜鉛が多く含まれる食材
・牡蠣
・カタクチイワシ
・赤身の肉やレバー など

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溝口 徹(みぞぐち・とおる)
医師
1964年生まれ。神奈川県出身。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学病院、国立循環器病センターを経て、1996年、痛みや内科系疾患を扱う辻堂クリニックを開設。2003年には日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニック(現・みぞぐちクリニック)を開設。著書に『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』『発達障害は食事でよくなる』『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』(いずれも青春出版社)、『花粉症は1週間で治る!』(さくら舎)などがある。

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(医師 溝口 徹)

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