1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「私なんか、全然ダメです」自己肯定感の低い人の"呪い"を解くシンプルな習慣

プレジデントオンライン / 2021年10月23日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

人から褒められても素直に受け取れず、むしろ自己嫌悪してしまう人がいる。精神科医のバクさんは「相手が嘘をついていようが、おべんちゃらで言ったのであろうが、本心から言ったのであろうが、『ありがとうございます、嬉しいです!』と全部受け入れて感謝することが重要だ」という——。

※本稿は、バク@精神科医『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

■他人の言葉を素直に受け取れない人たちへ

他人から褒められたとき、あなたはどんな反応をしているでしょうか?

自己評価の低い人は、人から褒められたとき、それを否定しがちです。

「お話を聞いていたら、いろんなことに気を配られている、とてもいい人だと思いましたが……」と私が自己評価の低い人に言うと、「そんなことありません! 全然ダメなんです」と、とにかく否定されます。

何を言っても「私は褒められるような人間ではありません」の一点張りでした。

謙虚ではあるかもしれませんが、この反応、褒めた側から見たら、どうでしょうか?

「ステキなお召し物ですね」
「いやいや、全然! 色合いもなんか変ですし、すみません。無理に褒めさせてしまいましたか?」
「え? いや、そんな無理にとかでは……。あー……なんだかすみませんこっちこそ……」

逆に褒めたほうが悪いんじゃないかと思うくらい、褒めた人の意見が否定されていますね。

あなたが誰かに褒められたときは、これほどではないかもしれません。でも、このように否定は、そもそも相手の言ってること自体を全否定していることになるのは、ここまで読んでこられた方ならもう薄々はお気づきですよね?

■相手のことも否定している

私は患者さんに対して必要だと判断した場合はズバッと言うほうで、こういうとき「え、褒めた人の気持ちを否定しちゃってませんか?」と言っています。

大体の人が「え! 褒めてくれた人の気持ち?」と驚かれますが、確実に相手を否定しています。先ほどの例を極論すると、「え? 素敵なお召し物? これがそう見えるなんて変ですよ? こんなのを褒めるんですか?」と言っているようなものです。

これでは相手のセンスを全力で否定しているだけです。

「いや、でも相手は本心からこの服を褒めているわけではないし、本心から褒めていないから……」と心底思ったとしても、あなたはエスパーではないので本当に相手が本心から褒めていないか判断する能力はありません。

「あなたが会話の相手に褒められた」
「あなたは会話の相手の意見を否定した」

という事実だけが、確実に起こったことです。

さて、これはどうしたらよかったんでしょうか?

■自己評価の低い人に実践してほしい“シンプルな習慣”

解決策となる習慣づけは、たった一つ。

相手が嘘をついていようが、おべんちゃらで言ったのであろうが、本心から言ったのであろうが、「ありがとうございます、嬉しいです!」と全部受け入れて感謝するだけです。

真実はどうでもいいのです。起こったことだけが現実なのです。とにかく、相手の褒め言葉は無条件に一旦受け入れましょう。

心から納得した上で受け取らなくてもいいですし、陰で皆が「褒められて本気にしてるよ」と笑っていても全く関係ありません。陰口や噂話は直接言われなければ、あなたの現実の問題にはなりません。褒めて調子に乗らせて笑い物にしようという人は、人間として大分下劣です。

そんな下劣な人間がニヤニヤ笑っていようが何をしようが、あなたの現実には「褒められた」ことしか起こっていませんよね。だから笑顔で「ありがとう! 嬉しい!」とだけ言えばいいのです。

会話をしている人たち
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

こうなると相手は嘘をついていた場合、自分の嘘を認めざるを得ません。「嘘だよバーカ」と言われても、嘘つきが何か言っているだけなので、まともに怒ったり悲しんだりする価値もありません。そもそも人をバカにするために嘘までつく人とのかかわりは、止めたほうがいいんじゃないでしょうか。

あなたはこう言いたくなるかもしれません。「でも、だって、職場の人で、どうしても縁が切れない親戚で、ママ友で、どうせ距離を取っても無駄だから……」

しかし、そんな関係を変えずにズルズルと続け、辛い思いをしながら幸せになるためのハウツー本を読んでいても、多分あなたは一生形を変えて辛いんじゃないでしょうか。

せっかくここまで読んできたわけですし、今まで書いてあること全部をやらなくていいから、ほんのちょっとだけ「いやだな」と思う人に向けている目を閉じることもやってみてください。行動しようとすることはタダですから。

■「褒めるに値するか、そうでないか」は、相手が決めること

そもそも、あなたが褒められたとき、あなたが自分をどう評価しているかは、相手には全く関係がありません。実際に「褒めるに値するか、そうでないか」の判定は、相手がすることなのです。

だから「自分は褒めるに値しない人間だ」と言って相手が褒めたことを否定するのは、本当に相手にとっては大きなお世話でしょう。

大体「褒めるに値しない人間」というのは、どういう存在なのでしょう?

たとえば赤ちゃんというのは、生後何カ月かの人生において、何かの功績を成し遂げたわけではありません。当然ながら、社会の中で何らかの仕事をして役立っているわけでもありません。

とすると、「いい子だね」とか「立派な子だね」と褒めるのは間違いなのでしょうか? その子がいることで、周りの人間は嬉しい気持ちになる。ただそれだけで、赤ちゃんは「褒められるべき存在」と評価するのは間違いでしょうか。

誰でも皆、その人が存在するだけで、誰かが幸せになれている。だったら世の中において、疑いなく「褒められる価値がある存在」であるはずです。

ではどうして、自分だけが褒められる価値のない存在だと、言い切ることができるのか。「私は褒めるに値しない」と言っている人は、知らず知らずに、多くの人を否定することにもなっているのです。

もっと多様な視点を持ち、すべてを受け入れることから始めてはいかがでしょうか。

ポイント
「私は褒めるに値しない」と言っている人は、知らず知らずのうちに、多くの人を否定している。

■他人から感謝されたら、即「あなたのおかげです!」

褒められたり、喜ばれたり、感謝されたりというのは、本当であれば仕事にとって、最も大きなモチベーションになる部分です。それは私も同じで、初診のときに泣いていたような患者さんが、最後には少しでも笑顔になられ、「受診してよかったです」と言われると嬉しいです。

患者さんからちょっとでも喜ばれれば、「もっと喜ばれるようになりたいな」と思いますし、そのために最新の治療方法や薬物治療について勉強しようと思うきっかけにもなります。もちろん、これは他のどんな仕事でも同じで、褒められて喜んでがんばって、また褒められて、で人生の充実度がどんどん上がっていくわけです。

なのに最初の「あなたのおかげです!」という褒め言葉を素直にキャッチできないのでは、全く、その先のよい連鎖が起こらなくなってしまいます。

ポイント
「あなたのおかげです!」と返して、よい連鎖を起こす。
イラスト=『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』より
イラスト=『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』より

■「なんちゃっていいヤツごっこ」をやってみる

では、どうすればよい連鎖を起こしやすくなるかをまず考えて、意図的にその連鎖を起こせないかを課題に動いてみるのも一つの方法です。

たとえば、「褒められること」を一つの目標に仕事を少しやってみましょう。

事務職の方であれば、いつもよりていねいに書類を配ってみる(机に置くときにキレイに並べる、手渡しの場合は必ず「お疲れ様です!」と声かけと共に渡してみる)とか、社内で誰かとすれ違ったら、相手より早く目礼をするとか、その程度でいいです。

むしろ難易度が高すぎると実行できないので、最初は簡単な目標からジワジワやることで徐々に難易度を上げればいいと思います。「なんか、やりすぎたらいいヤツぶってるって言われそう、思われそう」と腰が引けた人は、勘がいい人です。

私は「なんちゃっていいヤツごっこ」を家庭、会社や学校で目立たない程度にさりげなくやることをお勧めしています。

このごっこ遊びは、実は他人にバレないくらいがちょうど良いのです。つまり、仕事を全然楽しいと思えない自分がいても、それを心から楽しんでいる陽キャラのように「演じてみる」とか、「仮面を被ってみる」という発想でやってみよう! というライフハックです。

■「仮面を被ってみる」が生きづらさを和らげる

正直、何があっても何をされても心の底から仕事が楽しい! と断言できる人のほうが数は少ないでしょう。そんな中で、内心を丸出しにしながら嫌々やるよりは、嘘でもいいから表面上は楽しそうに、そして気が利くようにやってみるのです。

バク@精神科医『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)
バク@精神科医『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)

レスポンスが早く、何か相手がミスをしても「気にしてませんよ!」と笑顔でフォローできるキャラの仮面を被って演じてみましょう。

毎日フルタイムでやらなくていいです。私もちょっと病院でやっていますが、結果どうなったかというと「話しやすいいい先生」として評価されているようです。

これをやっている人とやっていない人で、どっちが印象がいいかと言えば、それはやっている人でしょう。それなら、楽しみながら「いいヤツ」ぶるほうが、どう考えても得策ですよね。イヤイヤやっている仕事に一つの楽しみが見出せるなら、毎日の生きやすさはずいぶんと変わってくるでしょう。

今やっていることを「楽しくないこと」と四角四面に考えるのでなく、偽りでもいいから、「楽しめる自分」をつくってみるのです。それで本当に毎日が楽しくなってくるなら、どう考えたっておトクなことです。こんなところで変に生真面目にならなくてもいいのです。

さぁ、あなたはどんなキャラをやってみますか。

ポイント
嘘でもいいから表面上は楽しそうに、気が利くようにやってみる。

----------

バク@精神科医(ばくあっとせいしんかい)
医師
元内科の精神科専門医。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコールなどの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。

----------

(医師 バク@精神科医)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください