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「自分はダメだけど、あの人よりはマシ」そう考える人はいつまでも幸せになれない

プレジデントオンライン / 2021年10月31日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

すぐやる人と先延ばしする人はどこが違うのか。メンタルコーチの大平信孝さんは「他人と自分を比べるのが癖になっていると、嫉妬、焦り、劣等感などが湧いてきて、先延ばしの原因になりやすい。すぐやる人は、他人ではなく、過去の自分と比べている」という――。

※本稿は、大平信孝『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ 科学的に先延ばしをなくす技術』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■能力や性格ではなく、考え方や姿勢に違いがある

すぐやる人と、先延ばしをする人の間に能力や性格の差はない。あるのは、物事の捉え方の違いだけ。

実は、「すぐやる人」と、つい先延ばししてしまう人との間に、能力や性格についての差はそれほどありません。

しかし、物事に対する考え方や姿勢、受け止め方、自分とのつき合い方には、大きな差があります。

「全てのものは二度つくられる」

これは、『7つの習慣』(キングベアー出版)の著者として有名な、スティーブン・R・コヴィー博士の言葉です。

わかりやすく言えば、全ての物事は、まず頭の中でつくられた後に、実際に形のあるものになる、つまり、どんなことでも「知的創造」と「物質的創造」の2つのプロセスを経るという意味です。

たとえば、建物を建てるときに、いきなり柱を立てる人はいません。まず、どんな建物を建てたいかをイメージして設計図を書き、それにもとづいて建物を建築します。

これは、建築にかぎったことではありません。旅行であれば、計画を立ててから、現地に行くはずです。

仕事も勉強も、ある程度の計画を立ててから実行します。スポーツ選手もイメージトレーニングとして、うまくいく状態を頭の中で想像してから取り組むと、体を動かしやすくなります。

つまり、全ての行動は、事前に頭の中でイメージしてから行われているのです。

「すぐやる人」と、つい先延ばしにしてしまう人は、ここに大きな違いがあります。

■なかなか行動に移せない人に共通すること

「すぐやる人」は、「私にはできる・できた!」というポジティブなゴールイメージを自然と描いていることが多く、結果的にイメージの力をうまく使っています。

一方、つい先延ばしにしてしまう人は、「できない」「難しい」「失敗したらどうしよう」というネガティブなイメージを描いていることが多いのです。

「あと10歳若ければ」「時間さえあればできるのに」「お金に余裕があればなぁ」「あのとき、もっと勉強しておけばよかった」という考えも同じです。

できないイメージを描いたとたん、私たちの脳は、やらない理由、すぐ動かないことを正当化する理由を無意識に探し始めます。こうなると、よほどの目的があったり、鋼のメンタルの持ち主でなければ、動くことはできません。

このように、ネガティブイメージは、行動を阻害する大きな要因になるのです。

こう考えると、「すぐやる人」になるためには、「できる」、さらに言えば、より具体的な「できた!」というポジティブイメージを持つことが重要だとわかります。

その結果、「できるか・できないか」ではなく、「どうしたらできるか」「どうしたらよりよくなるか」といった点に意識が向くようになるので、物事が前に進むようになるのです。

ここまで読んで、「それは、その人の性格によるのでは?」「私はネガティブ思考だから無理」と思った人もいることでしょう。

しかし、冒頭で書いた通り、これは性格や能力の問題ではありません。物事の見方を少し変えるだけでも、自分の持つイメージをネガティブからポジティブに変換していくことは可能です。

本稿では、その方法についてお伝えしていきます。

■1.結果に振り回されそうなときは、「打率」で考える

結果や成果に一喜一憂しすぎていませんか。好調なときはいいのですが、不調のときは結果や成果にこだわりすぎると、あきらめたり、落ち込んだりして行動が止まってしまいます。そんなときは、「打率」で考える癖をつけましょう。

プロ野球の平均的な打率は2割5分程度で、3割を超えると一流と言われています。結果が出ないとすぐ落ち込んでしまう人は、8割打とうとしていませんか?

仕事でもプライベートでも、5回に1回ヒットを打てれば、残りは三振やゴロでもいいと考えてみる。つまり、自分が行動したことについて5回に1回思い通りになっていれば十分だし、3回に1回思い通りにいくのであればプロ並みにすごいと考えてみるのです。

コツは、1週間、1カ月、半年といった期間で物事を考えることです。一定期間の結果、成果の打率をチェックすることで、冷静に次の一手を考えられるようになります。

このように、自分のことを広い視野で、全体を見ることを「俯瞰」と言います。この俯瞰の視点を身につけることで、目の前の結果、成果に一喜一憂することなく、行動を積み重ねていくことができるのです。

ここがポイント
5回に1回ヒットを打てればOKと捉えて、毎日バッターボックスに立つ。

■2.「できていないこと」ではなく、「できていること」に注目する

ダイエットで間食を制限していたのに、我慢できずにスイーツを食べてしまった。

寝る前の1時間は勉強すると決めていたのに、疲れて寝てしまった。

こんなことがあると、つい「どうして自分はできないんだろう」と、自分にダメ出しや批判をしてしまいがちです。こうして自分を追い込めば追い込むほど、徐々に自信や希望、エネルギーが失われていきます。こうなると、全てがイヤになって投げ出したくなってしまいます。

この負のスパイラルから抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか?

誰でもすぐに実践できて、効果抜群な方法があります。それは、「できていること」を書き出すこと。どんなに些細なことでもいいので、「できている」ことを紙に書き出してみてください。

物事を「できないメガネ」で見るのではなく、「できるメガネ」で見るようにするのです。そこで気づいた「できた!」が、「次もできそう!」につながっていくのです。

たとえば、毎朝5時に起きると決めていたのに、二度寝して6時に起きたとします。「できないメガネ」で見ている人は、「早起きに失敗した」「自分は意志が弱い」と捉えます。

一方で、「できるメガネ」で見ている人は、「これまでよりは30分早く起きられた」「ちょっとずつ早起きできるようになっている」と捉えます。

どちらの捉え方をしたほうが、明日の早起きにつながりやすいでしょうか? もちろん後者です。

このように、少しでもできたことを紙に書くことで、小さな成長をより具体的に意識することができます。

成功のコンセプト
写真=iStock.com/maxsattana
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maxsattana

■最悪の状態と比べれば、必ずいい部分が見つかる

ポイントは、たとえ完璧にできていなくても部分点をあげていくこと。

禁煙に挑戦している人が、我慢できずに1本吸ってしまったとします。完璧主義の人は、このつまずきをきっかけに、「私は意志が弱いから、禁煙は無理なんだ」と、禁煙への挑戦そのものをやめてしまうことがあります。

逆に、「これまで1日1箱吸っていたんだから、1本くらいならまあいいか」と捉えることができる人は、失敗を繰り返しながらも、着実に1日の本数を減らし、禁煙達成へと近づいていきます。

私はこれまで、多くのクライアントさんをサポートしてきました。その経験からわかったのは、自己肯定感が低いときというのは、「自分が当たり前にできることを低く見積もる」傾向があるということです。

つまり、自信を失っていると、できていることに気づきづらくなるのです。

どんなにダメダメに思えるときでも、本当はできていることがあります。あなたが自分自身にダメ出ししてしまうのは、理想の完璧な状態と現状を比べてしまっているからかもしれません。そういうときは、想定できる最悪の状態と現状を比べてみてください。必ず、できている部分が見つかるはずです。

これを意識しておくだけでも、物事を「できるメガネ」で捉えやすくなります。

ここがポイント
頭で考えるだけではなく、書き出すことで「できた!」が見つけやすくなる。

■3.他人ではなく、過去の自分と今の自分を比較するクセをつける

「いいなあ、あの人は。それに比べて自分はなんてダメなんだ」
「他の人が、どうしているか気になる」
「あの人よりはマシだからまあいいか」

など、つい自分と人とを比べて一喜一憂していませんか。人と比べることで奮起して、新しいことに挑戦するなど、行動量が増えるのであれば問題はありません。でも、多くの場合、人と比べることで、嫉妬、焦り、劣等感、自信喪失、慢心、優越感などが湧いてきて、結果的に行動につながらないことが多いのです。

私たちが普通の生活をしているかぎり、仕事でもプライベートでも人との交流は不可欠ですし、現在はSNSを通じて他人の活躍が目につきやすくなっています。そんな環境ですから、つい人と比べてしまうのは、ある意味仕方のないことだとも言えます。

問題なのは「人と比べること」ではなく、それによって感情がネガティブになり、「行動が止まってしまう」ことです。

■半年前、1年前、3年前の自分と今の自分を比べる

では、どうしたら他人と比べて一喜一憂せずにすむようになるのでしょうか。方法は簡単。他人と比べるのではなく、過去の自分と比べるようにすればいいのです。

過去の自分と比較することで、自分の成長にフォーカスすることができます。

具体的には、半年前、1年前、3年前の自分と今の自分を比べるのです。

大平信孝『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ 科学的に先延ばしをなくす技術』(かんき出版)
大平信孝『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ 科学的に先延ばしをなくす技術』(かんき出版)

「半年前、1年前、3年前の自分と今の自分を比べてみて、できるようになったことは?」などと、考えるクセをつけてみてください。そうすると、

・半年前の自分と比べたら、毎朝30分は早起きできるようになった。
・1年前の自分と比べれば、定型業務にかかる時間が半分に減った。
・3年前の自分と比べれば、やりたいことに時間を使えるようになり、毎日が充実している。

など、成長していることが実感できるでしょう。そうすると、「自分もまんざらでもないな」と思えて、行動に着手しやすくなります。

とはいえ、過去の自分と比べて、残念なことに劣化しているという場合もあるでしょう。そんなときは、落ち込むのではなく先のことを考えましょう。

具体的には、「半年後、1年後、3年後、今の自分と比べてどうなっていたいか?」と考えるのです。たとえば、

・半年後には、1日中仕事をしても疲れないくらいの体力がほしい。
・1年後には、英語での業務をスムーズにできるようになっていたい。
・3年後には、結婚して幸せな家庭を築きたい。

たとえ今、うまくいっていなかったとしても今の自分と未来の自分とを比較することで、自分を卑下することなく、未来への希望や展望を描くことができます。

人は、実現したい未来がはっきりすれば、それに向かって動きたくなるものです。人と比べずに、自分と比べることで劣等感や優越感にひたることなく、自分の成長にフォーカスして行動できるようになります。

ここがポイント
過去の自分と比べてどれくらい成長しているかを把握すると「未来の伸びシロ」も見つけやすくなる。

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大平 信孝(おおひら・のぶたか)
メンタルコーチ
アンカリング・イノベーション代表。目標実現の専門家。長野県生まれ。中央大学卒業。脳科学とアドラー心理学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。現在は、法人向けに、チームマネジメント・セルフマネジメントに関する研修、講演、エグゼクティブコーチングを提供している。個人向けには「行動イノベーション年間プログラム」とオンラインサロンを主宰。近著に『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ  科学的に先延ばしをなくす技術』(かんき出版)、『先が見えなくても、やる気が出なくても 「すぐ動ける人」の週1ノート術』。公式サイト。

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(メンタルコーチ 大平 信孝)

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