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「出たくない会議、飲み会」から逃れて人生を豊かに生きる"とっておきの方法"

プレジデントオンライン / 2021年11月15日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ArthurHidden

充実した人生を過ごすには、どうすればいいのか。教育改革実践家の藤原和博さんは「時間は人生の舞台装置のようなものだ。どのように使うかが良し悪しに影響する。時間の質を変えたければ、断捨離をするといい」という——。

※本稿は、藤原和博『60歳からの教科書』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

■時間の使い方は「図」を使って考える

どのように過ごすと、充実した人生を送れるのか。

考えるための武器は、次の図解です。複雑な問題ほど、図にして構造的にアプローチすると本質が見えてきます。

ここでは、「2×2マトリクス」を用います。コンサルティング会社がよく使う図です。

この図のポイントは、それぞれがトレードオフの関係になるように軸を設定すること。トレードオフとは、「一方を選べば、他方を選べない」関係のこと。どんなに複雑なものごとでも、初めの一歩は「トレードオフの2軸に分けること」です。

縦軸と横軸を、紙の中央に書いてください。

どうしたら、人生60万時間を充実させられるか。この2軸は、何にすればいいでしょうか。もちろん、正解はありません。ただし、考えるテーマは「時間」ですから、それぞれの軸も時間に関する事柄を選びます。

私の場合は、縦軸の上部を「個人的な時間」、下部を「組織的な時間」としてみました。さらに、横軸の左側を「処理的な時間」、右側を「編集的な時間」としてみます。

こうして目に見える図にすると、自分の望みが次第に輪郭を帯びてくるでしょう。

「人生60万時間をどう過ごせば充実するか?」のマトリクス
画像=『60歳からの教科書』

■時間とは、いわば人生の舞台装置

「右上のスペースが魅力的だな。〈個人的〉で、〈編集的〉な時間を充実させると良さそうだな」

そう思えてきたりもします。ただ、会社や組織で一所懸命働いてきた人であればあるほど、組織的で処理的な時間に多くを費やしてきたのではないでしょうか。左下の領域ですね。

「よし。これからは、左下から右上に、時間の使い方を変えていこう」

そんな決意ができたなら、心から祝福したいと思います。2×2マトリクスで目指す境地が見えた時点で、あなたの「人生の時間割」はすでに変わり始めているのです。

時間とは、いわば人生の舞台装置です。どのように使うか。それが、演目自体の良し悪しに影響します。「時間は過去を忘れさせる三途の川の水だ」という大作家の箴言もあるほど、人の感情さえ左右できる力を持っている。60歳からは「時間の使い方のプロになるための人生だ」と言ってもいいくらいです。真剣に「時間」について考える意義が大いにあるのです。

■“優秀な人”ほど苦労する「時間の断捨離」

2×2マトリクスを使って、左下から右上への移行を決めましたね。

次に考えるべきは、その「人生の時間割」の移行を実現させるための具体的な方策です。

時間の質を変える最も有効な方法は、断捨離です。

個人的で編集的な自分の時間を新しくつくるためには、これまでの習慣をいったん断ち切ること。

「減らす、やめる、断る」。要するに「時間の断捨離」を決行するのです。まずは組織的で処理的な他人の時間の断捨離から。

これは長年、組織で働いてきた人には、想像以上に難しいことです。組織内で順調に昇進してきた“優秀な人”であればあるほど、苦手でしょう。

時計とカレンダー
写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk

組織の慣習について、ここでちょっと考えてみましょう。

企業の中で偉くなればなるほど、仕事の老化現象が進みます。現場は部下に任せ、その成果を管理するのが上位職の仕事だからです。30代で課長職となってチームを率いる頃から、「したい仕事」と「するべき仕事」が乖離(かいり)していくのが組織の常です。

そうしていつの間にか「個人的な時間」の6〜7割が「組織的な時間」に侵食されていきます。たとえば次の3つの時間について、あなたはどのように扱っていますか。

1 部下との同行営業や顧客接待。これには社内接待も含まれる。
2 部下の査定や人事問題。これには元気のない部下を盛り上げる飲み会も含まれる。
3 会議と根回し。これには関連部署との社内調整も含まれる。

■結婚式は出ない、葬式もあまり行かない

社内接待とは、いわゆる「社内飲み」です。これら3つを称して、「SSK比率」と私は呼んでいます(「接待」「査定」「会議」の頭文字で「SSK」)。たとえば、会社の取締役のスケジュールを見ると、SSK比率が9割に達する人もいます。

要するに、組織で働くとは、「個人的な時間」を果てしなく提供していくこと。善し悪しを言いたいのではなく、自覚しているか否かがポイントです。自覚できていればしめたもの。この機に捨てればいいのですから。つまり、左下から右上へと移行する断捨離とは、SSK比率を下げていくことなのです。

次に、公私の「私」の面で考えてみましょう。

あなたの日常生活において、「減らす、やめる、避ける、断る、逃げる」ことができる場面はどれくらいあるでしょうか。思いめぐらしてください。けっこう、あるはずです。

たとえば、私は結婚式に出ないことにしています。その代わり、親しい人から結婚の報せを受けた場合は、2人を個人的にお招きしてワインでも飲みながら、ゆっくりと話を聴くスタイルにしました。葬式には、本人と親しかった場合や、亡くなられた親御さんの顔をよく知っている場合以外は出席しません。これが自分のルールです。

■免罪符は「自分の病気」か「身内の不幸」

次にご紹介するのが、「免罪符」。

「減らす、やめる、断る」を徹底的にやるためには、「免罪符」が必要です。

「自分の病気」か「身内の不幸」……日本ではこれが、免罪符になります。

驚きましたか。ちょっと抵抗感のある人もいるかもしれません。ですが、世間的な付き合いというのは、ルールがありそうでないものです。人生、「高く登ろう」と思うなら、自分の足を使うこと。そう、主体的になることです。ですから、余計な関係を整理していくのは、とても大事なことなのです。

とはいえ、整理されてしまう側からすれば、手放しで受け入れるわけにもいかない。そのとき、「まあ、しょうがないな」と世間様に言ってもらうためにこうした免罪符を使うのは、決してルール違反ではありません。お互い、それなりに納得できるからです。

社会経験が豊富なあなたは、きっと「あぁ……」と苦笑いしたことでしょう。

「個人的な時間を増やすための『時間の断捨離』」の図表
画像=『60歳からの教科書』

■病気になったから、自分の人生を取り戻せた

ただ、ここで強調したいのは「免罪符を使え」ではなく、「免罪符を使ってでも断捨離せよ」というポイントです。そうすることで得られるもの、気づけること、行き着く境地はかけがえのないものだからです。

私の場合を話します。

モーレツサラリーマン時代に突然襲われたメニエール病。めまい、耳鳴り、難聴の症状が繰り返します。当時は朝起きるのが、怖いほどでした。

藤原和博『60歳からの教科書』(朝日新書)
藤原和博『60歳からの教科書』(朝日新書)

同時にそれは、自分の人生を取り戻す「聖戦」の幕開きでもありました。私は、病気を逆手に取って自らの武器にしたのです。

「実はちょっと、メニエールを患っておりまして……」

そう告げると、世間のしがらみが、潮が引くように消えていく。

病が癒えた後も、私はこの免罪符を使っていました。飲み会で2軒目に誘われたときや、出たくない会議があるとき。「メニエール」という符丁は私にとって「個人的な時間」を守る武器になってくれたのです。

「あのとき、もし、発病していなかったら……」

振り返るとゾッとします。会社員として、私はやみくもに踊り続けていたかもしれません。

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藤原 和博(ふじはら・かずひろ)
「朝礼だけの学校」校長
1955年、東京都生まれ。教育改革実践家。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。96年同社フェローとなる。2003~08年杉並区和田中学校校長、16~18年奈良市立一条高等学校校長を務める。21年オンライン寺子屋「朝礼だけの学校」開校。主著に『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』『10年後、君に仕事はあるのか?』など。

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(「朝礼だけの学校」校長 藤原 和博)

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