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仕事のできる人が「メモを取るならスマホよりノートに手書き」と断言する当然の理由

プレジデントオンライン / 2021年11月9日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/andrei_r

あなたは仕事のメモをなにで取っているだろうか。「思考の整理家」を名乗るコンサルタントの鈴木進介さんは「考えをまとめたいときは、ノートに手書きするのがお勧めだ。スピーディーに情報が整理でき、思考も深まりやすい」という――。

※本稿は、鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■思考を整理するときはスマホ入力より手書きノート

「ノートに書くといいのはわかるけど、面倒なんだよね。スマホでメモするのはダメなの?」

この質問はこれまでごまんと受けてきました。「スマホがいいか、ノートがいいか」という神学論争です。

私の答えはハッキリしています。「思考するにはノートがいい」です。

厳密に言うと、目的に応じて使い分ければいいのです。

私は商談の記録など情報の「ストック目的(蓄積や共有)」の場合、スマホやPCを中心に使います。デジタル情報の場合、あとでコピペなどをしながら資料作成や検索性にも優れているからです。

一方、思考を整理するときや、整理して正解を考え出す「フロー目的(その時々でベストなアウトプットをするだけ)」の場合、ノートへの手書きを重視します。

スピーディーに図解で整理がつき、手で書くことで脳が刺激されて発想が豊かになるからです。

■パソコンや携帯では前頭前野が全く働かない

ノルウェー科学技術大学(NTNU)の研究チームの実験によると、20代の若者を対象に脳の電気的活動を追跡したところ、「キーボードのタイピング」より「手書き」のほうが脳活動が活発であったそうです。(『Frontiers in Psychology』2020年7月)。

また、東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏によると、手書き作業は思考や創造性を担う脳の前頭前野を活性化させてくれるそうです。文章を書くときの脳活動計測では、手書きで手紙を書くと前頭前野はたくさん働くのに、パソコンや携帯電話で手紙を書かせても前頭前野はまったく働かないという実験結果が出たとのことです(東洋経済オンライン『スマホが脳の発達に与える無視できない影響』2018年5月)。

【図表1】ノートとスマホ・PCのメリット、デメリット

では、スマホの使用はダメなのかといえば、そんなことはありません。頭の中を見える化するという目的は少なくとも果たせますので、電車内など手書きがやりづらい場合は、スマホへの入力でも効果はあります。ノートとスマホは、いずれもメリットやデメリットがありますので、目的に応じて使い分けましょう。

■IT企業のできる人は会議でノートをとっている

私のクライアントにはIT系企業も多く存在します。

IT系企業とお付き合いしだした当初は、面食らうことがたびたびありました。なぜなら、会議になるとしきりにノートをとる人が多かったからです。特に社内でも指折りに成果を出している方や頭がいいと前評判を聞いていた方は、例外なくノートをとっていました。IT企業だから、作業は完全にペーパーレスで進めると思ったのに驚くべきことです。

ノートをよくとる方々に話を聞いてわかったことがあります。

それは、PCやスマホなどデジタルツールより、ノートを取る方が「スピーディーに情報の整理ができ、思考も深めやすい」ということです。

彼らが言っていたことを要約すると次のようなことです。

単純に文字を整理するだけであれば、デジタルツールに勝るものはありません。しかし、仕事で大切なことは文字の整理ではなく、「情報を整理し、次の行動につなげるための思考を深めること」です。

また、情報の整理で大切なことは、どこが重点ポイントなのかメリハリをつけることです。ノートに手書きをしておけば、平坦なデジタル文字を見るときよりも、感覚のまま書き込まれた線引きや図解、はたまた筆跡、筆圧ひとつで重点ポイントが一目瞭然であり、全体像から一気に整理しやすくなるのです。

■プレゼン資料を作るときはまずノートを開く

私自身このことを痛感するできごとがありました。

20代半ばのある日のこと、重要な商談前に気合を入れてパワーポイントで資料を作成して顧客向けのプレゼンに挑みました。ところが、自分でつくった資料なのに、口からスムーズに内容がでてきません。「あれだけ時間をかけたのに……」。プレゼン中は額から冷たい汗が流れてきた感覚を昨日のことのように覚えています。

会議で話す人
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

PCでつくった平坦なデジタル文字が頭に入っていなかったのです。それ以来、いきなりPCに向かわず、ノートに重点ポイントを手書きで整理してからまとめ、最後に清書としてPCを使う方式に変えました。そこからは、顧客にも内容の重要ポイントが伝わりやすくなり、商談では連戦連勝が始まったのです。

書籍を作る際も同じです。いきなりワードを開いて原稿を書き始めるなんてことはしません。まずは、ノートに自分が書きたい内容のポイントを書き出します。次に優先順位をつけるために、赤ペンで図示したり◎や★印でマーキングして、整理して構成を考えていきました。

また、本稿で図が登場しますが、必ず先に手書きでノートにイメージを書いています。そこにメモ書きを加えながら、図に加え文章そのものにも深みをつくっていく方法をとっているのです。PCで清書するのはあくまでも最後です。

■見た目がキレイな資料を作って思考停止していないか

はじめからPCで書いてしまうと、図形ツールを使っての作業はやや面倒で逆に時間がかかったことでしょう。パワーポイントであれば、「挿入」メニューをクリック→「図形」メニューをクリック→「図形の種類」を選択してクリック→ドラッグによって描くという作業が発生します。

しかし、手書きであればいきなり書き始めることが可能です。また、PCの場合、操作しているうちにキレイに書くことが目的化してしまって思考が停滞します。キレイに図や文章ができると、脳内が完成したという錯覚に陥り、思考が止まってしまいます。

「スピーディーに情報の整理ができ、思考も深めやすい」というノートを使うことの効用は、冒頭に挙げた成果をあげる社員の会議での様子も、私の商談や執筆でも同じことなのです。

■数千冊以上のノートを残した天才型の偉人たち

ここまでノートをとる意義やメリットについてお話ししてきました。「理屈はわかるけど本当に成果は出るの?」と思っている方もいるかもしれません。

私自身、ノートを使いこなしていない時代は、ノートの効用に半信半疑でした。

そこで、ここではノートをとることがどのように偉大な成果を生み出してきたのか、先人に学びたいと思います。偉人はノートをどのように使用したかで、「①発想系」「②目標達成系」「③癒し系」の3タイプに大きく分けました。

ノートを活かした「①発想系」の先人たちといえば、レオナルドダヴィンチ、エジソン、アインシュタインなど天才型の方々です。

黒板にびっしりと数式を書く天才
写真=iStock.com/francescoch
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/francescoch

彼らに共通することは、メモ魔だったということです。数十年間とノートをとる日々を重ね、生涯のうちに数千冊以上のノートを残されました。また、出かけるとき、寝る前、セイリングをしているときにでさえ、ノートやメモを肌身離さず持ち歩いたと言います。

ノートに書かれた内容は仕事につながるひらめきだけでなく、お金のことやジョークのネタまで多岐にわたったようです。

自ら手書きで書いたノートの情報は一見雑多なように見えて、実は頭の中で熟成されたからこそ、世界を前進させる発想につながっていったのでしょう。

偉業を成し遂げた天才たちも、ただ才能があったというのではなく、発想源を尋常ではないほどノートに書きとめていくといった執念のような努力によって、支えられていたのです。

■野村克也氏はメモ帳と鉛筆でID野球を確立した

次に「②目標達成系」ですが、これは目標とその達成手段をノートに整理しながら、自分の夢や目標を実現していくタイプです。目標達成の過程で問題が起きれば、原因と解決策まで掘り下げノート内で問題解決をはかる人もいます。

目標達成系で私自身が参考にしているのは、アスリートの方が多いですが、野球界からヤクルト・阪神などで監督をつとめた野村克也監督に注目します。後にデータを駆使した戦い方は「ID野球」と呼ばれるようになりましたが、その原点は若い頃より学びを整理していたノートにありました。人の話を聞き、読書をし、その内容をすべてメモしていったそうです。

野村監督のノートの特徴は、単に情報を書くだけではなく、自分なりの解釈も書き加えていったところです。それにより理解と思考を深め、独自の戦い方を体系化していったのです。

また、寝ているときも、テレビを観ているときも、気がついたことをすぐに書き留められるよう、必ず近くにメモ帳と鉛筆を用意していたとも言われています。

このノートの習慣を選手にも行うように指導したそうで、愛弟子達は野村監督のアドバイスを書き留めていきました。これらは“野村ノート”として、現在も人材育成につながっています。

■悩みを書き出すことで自殺を踏みとどまった鉄鋼王

最後に、「③癒し系」で驚きのエピソードをご紹介したいと思います。癒し系とは書く行為を通じて自分自身を癒し、救うことに成功したタイプです。

1800年代に活躍した世界の鉄鋼王アンドリュー・カーネギー氏のお話です。同氏は世界史上2位の億万長者(1位はロックフェラー)。それほどの億万長者になっても悩みは尽きないようで、仕事や家庭で何重にも問題が重なり、同時並行で対処するカーネギーは心を病んでしまいました。そして、ついにもう耐えられない、自殺だ! と自室にピストルを持って引きこもったそうです。

ところが、死ぬ前に遺書くらいは書いておこうとなり、便箋とペンを取り出し、悩みを書き出していったところ……。1000個以上あると思いこんでいた悩みは、70個だけだったそうです(凡人には70個でも既に多すぎですが)。

鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)
鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)

そこで、あれ? たった70個? 俺はこんなことで悩んでいたのか……そう考えたカーネギーは、明日対処できること、来週対処してもいいこと、すでに解決できないことなど、カードのように便箋をちぎって仕分けしていきました。最後に、「解決できないこと」の問題は頭の中から捨てて、直近で出来そうなことに的を絞ったと言います。

その後、完全に自意識を取り戻したカーネギーは、なんと書き殴っていた遺書のようなメモと用意していたピストルを机の引き出しにしまい、奥さんと夕食にでかけていったそうです。

このように、偉人たちの背景にはノートがあり、ノートによって人生を切り拓き、ノートによって救われた人がいたからこそ、人類が前進してきたことに気づきます。

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鈴木 進介(すずき・しんすけ)
コンサルタント
1974年生まれ。株式会社コンパス代表取締役。現在は「思考の整理術」を使った独自の手法で人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活動中。大学卒業後、IT系企業や商社を経て25歳で起業。著書に『1分で仕事を片づける技術』(あさ出版)など多数。 HP:http://www.suzukishinsuke.com/

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(コンサルタント 鈴木 進介)

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