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「これでランチ後の眠気と無縁に」午後の集中力を高めるため昼休みにやるべき"あること"

プレジデントオンライン / 2021年11月12日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Deagreez

ランチ後の眠気を取り除くにはどうすればいいのか。作業療法士の菅原洋平さんは「座ったまま30分以内の仮眠をすると眠気を抑えることができる。眠くなる昼休み後ではなく、昼休みに計画仮眠をとってみてほしい」という――。

※本稿は、菅原洋平『「できない自分」を脳から変える行動大全』(扶桑社BOOKS)の一部を再編集したものです。

■こんな自分がイヤだ!①午後は眠すぎて仕事にならない

【こうすれば脳変】
昼休みに座ったまま30分以内の仮眠をする

【具体例】
○午後の眠気が訪れる前に仮眠する
○椅子の背もたれに寄りかかり、頭を起こして仮眠する
○「○分後に起きる」と3回唱えてから仮眠する
○昼休みは「計画仮眠」をした後に食事や会話をする

【脳が変わる理由】
・脳は起床から8時間後に眠気が訪れるようにできている
・眠気のピークが来る前に「計画仮眠」をするとよし
・座ったままで30分以内の仮眠をすると、午後の集中力が高まる

昼休みに「計画仮眠」を取れば午後もスッキリ!

午前中の作業に集中して交感神経だけを高めていると、口が渇いたり目が乾いたりしてきて、脳を休憩させないと午後に眠気が一気に襲ってきます。脳には起床時から「睡眠物質」が徐々にたまっていき、8時間後と22時間後(6時起床なら14時ごろと明け方4時ごろ)に眠くなる「睡眠圧」という仕組みがあります。

そのため、眠気のピーク時に居眠りをすると深い眠りに入り、起きても脳が働かない「睡眠慣性」という現象が起こってしまいます。ですから、脳が眠くなる前の昼休みに、「計画仮眠」を取り入れてみましょう。

仮眠は椅子に座ったまま目を閉じて、30分以内に収めるようにします。視界を遮断させることで脳が休憩状態になり、たまった睡眠物質が分解されて、仮眠後の作業効率が上がります。

それ以上寝ると深い睡眠に入ってしまうので要注意です。自律神経を味方につけるには常に先手を打つのが大事。正しい仮眠で午後の集中力を上げ、ついでに夜の睡眠の質も高めましょう。

【Keyword】
睡眠物質
睡眠圧
睡眠慣性
計画仮眠

※睡眠圧とは?
人間の睡眠には、「睡眠圧」という仕組みがあります。目覚めている間、常に脳脊髄液には睡眠物質がたまっていきます。この睡眠物質がたまった状態が「睡眠圧が高まった」状態で、その日の睡眠圧が高いほど、その後の睡眠は深くなります。この仕組みはゴムの力で石を飛ばすパチンコに似ていて、ゴムを引っ張るほど飛ばす力が強くなるように、睡眠圧が高いほどよく眠れるのです。前日の就寝時間が遅かったにもかかわらず普段と同じ時間に起きると、睡眠時間が短い分、睡眠物質が分解されずに睡眠負債として残ってしまいます。睡眠圧がとても高くなって猛烈に眠い夜にしっかり眠れば、睡眠負債は解消されるのです。

■こんな自分がイヤだ!②帰りの電車では眠いのに夜は眠れない

【こうすれば脳変】
帰りの電車では寝ない
列車
写真=iStock.com/tylim
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tylim

【応用例】
○夕方に一度席を立ち、体を動かす
○夕方にいったん散歩や買い物に出かける
○ジムや筋トレは朝よりも夕方をメインにする

【脳が変わる理由】
・深部体温は起床の11時間後、つまり夕方にもっとも高くなる
・夕方に深部体温を上げておくと、就寝前に深部体温が下がりよく眠れる
・筋トレや運動などは夕方にするといい

夕方に体を動かして体温を上げると夜の寝つきがよくなる

内臓の温度である「深部体温」が最高になるのは起床の11時間後、つまり夕方です。ここで寝てしまうと、就寝前に深部体温が十分に下がらず、よく眠れなくなってしまいます。帰宅の電車内では決して寝ないこと。また、駅ではあえて階段を使う、残業するならいったん席を立ちコンビニに行くなど、体を動かして深部体温を上げておくと、夜の寝つきがよくなるでしょう。

また、筋肉量が多いほど深部体温が上がり、放熱時に体温が下がって寝つきがよくなるので、筋トレをしている人は、朝よりも夕方をメインにすると夜によく眠れるようになります。

筋トレといっても、必要な運動強度はスクワット10回程度。これなら仕事を終えた後やリモートワークの合間にも取り入れやすいでしょう。ただし、深部体温リズムを整えるには、最低週4日以上の運動頻度が必要です。週末にプラスして、平日のうち2日は夕方に筋トレするスケジュールを組んでみてください。

【Keyword】
深部体温

※深部体温とは?
人間の体には体温計で測る表面温度だけでなく、内臓の温度を表す「深部体温」があります。一日のなかでも深部体温リズムによって体温は上下し、同じ作業でも時間帯により作業効率に差が出ます。深部体温が最高になるのは起床11時間後で、もっとも低いのは起床22時間後です。温度が高くなる夕方ごろがいちばんパフォーマンスが高く、作業効率もアップします。日常で冷たい飲み物を摂取しすぎると深部体温が下がってしまい、体の不調につながります。睡眠のためには、就寝1時間前までに体を温めておくことが重要。夕方に筋トレをして深部体温を上げておくと、就寝前には放熱が促されて深部体温が下がり、よく眠れます。

■こんな自分がイヤだ!③ベッドに入っても眠くならない

【こうすれば脳変】
眠くならないうちはベッドに入らない

【応用例】
○ベッドの中では読書やスマホを見るなど寝る以外のことをしない
○就寝前に読書習慣のある人は、ベッドの横に椅子を置き、眠くなるまで座って読む

【脳が変わる理由】
・脳は「場所と行動」をセットにして記憶する
・ベッドでは寝る以外の行為をやめて、「ベッド=睡眠」と記憶させる
・15分経っても寝つけなかったら一度ベッドから出る

眠くなるまでベッドで待つと余計に寝つきが悪くなる!

睡眠がうまくコントロールできていない人は、誤った記憶が脳に刷り込まれている可能性があります。私たちは前日に寝つけない経験をすると、次の日の晩はつい眠くならないうちからベッドに入ろうとしがち。しかし、眠気が訪れるまでスマホを見る行為などが、かえって寝つきを悪くする原因になってしまいます。

脳は「場所と行動」をセットにする性質があるので、「ベッド=スマホ」と記憶してしまうのです。そうなると、脳内ではベッドに入るたびにスマホを見るための高代謝状態がつくられ、「視覚野」や「言語野」が働きやすくなります。ですから、ベッド上で寝る以外の行為を一切やめて、「ベッド=睡眠」という望ましい習慣を覚えさせましょう。

また、人間の大脳は眠るまでに時間がかかる構造になっています。15分たっても寝つけないようなら、いったんベッドを出て、脳に誤った記憶を覚えさせないようにしましょう。

【Keyword】
視覚野
言語野

※視覚野/言語野とは?
脳は「場所と行動」を関連づけて覚える仕組みがあり、映像に関する「視覚野」と言葉の理解や表現をつかさどる「言語野」などを働かせて、次回の行動に準備して臨みます。視覚野を効果的に働かせるにはデスクまわりをシンプルにして、こなすべき作業だけを見せます。やる気がなくてもデスクに座り、少しだけ作業をして既成事実をつくることも有効です。また、行動を言語化することで、言語野が活性化して行動に移しやすくなります。口に出す言葉は「外言語」といい、頭の中でつぶやく言葉は「内言語」といいます。外言語のほうが音声になって耳から入り、聴覚でフィードバックされるので記憶が定着しやすくなります。

■こんな自分がイヤだ!④休日に寝だめしても平日は眠い

【こうすれば脳変】
寝だめをやめて15分早寝する

【応用例】
○休日の寝だめはしない
○平日と休日で就寝時間・起床時間を変えない

【脳が変わる理由】
・毎日必ず寝ている時間帯=睡眠コアタイムが短いと、日中も眠いまま
・毎日の就寝時間・起床時間を一定にして睡眠コアタイムを増やす
・一日の睡眠時間より、1カ月の累積睡眠量が大事

睡眠コアタイムと累積睡眠量を増やそう

睡眠を見直すときは睡眠時間だけでなく、毎日必ず寝ている時間帯=「睡眠コアタイム」を意識しましょう。例えば、平日は朝6時に起きて24時に就寝、週末は夜中3時に眠って朝10時起床という人の睡眠コアタイムは、3時から6時のたった3時間です。睡眠コアタイムが少ないと睡眠と覚醒の差があいまいになり、週末に寝だめしても平日の眠気は解消できません。毎日の就寝・起床時間をなるべく一定にして、睡眠コアタイムを30分でも増やすほうが昼間の眠気解消には役立ちます。

また、あまりに寝つきがよすぎて意識を失うように眠る人は、実は慢性的な睡眠不足のサイン。そんなときは、いつもより10分でも15分でも早寝する習慣をつけましょう。医学的に大事なのは、一日の睡眠時間よりも、1週間や1カ月の「累積睡眠量」。忙しくて睡眠時間を確保できない人も、一日15分早寝すれば1カ月で7.5時間の累積睡眠量を稼げます。

【Keyword】
睡眠コアタイム
累積睡眠量

■こんな自分がイヤだ!⑤頭や体がほてって寝つけない

【こうすれば脳変】
耳から上を冷やして寝る

【応用例】
○入浴後にレッグウォーマーをつけて保温
○就寝30分前に首や仙骨を温める
○1週間カフェインレスをしてみる
○入浴後、ひざ下に冷水と温水を交互に3回かける

【脳が変わる理由】
・就寝前に体を温めると、放熱によって深部体温が下がりよく眠れる
・耳から上の頭部を冷やしながら寝ると寝つきがよくなる
・カフェインの過剰摂取は成長ホルモンを減少させる

足首を温め、頭を冷やして深部体温を調節しよう

寝つきをよくするには入眠時の「深部体温」を下げる必要があります。そのためにはまず就寝前に体を温め、汗によって放熱させる方法が有効です。とくに、入浴時や入浴後に足首を温めると、足の裏から汗をかいて深部体温が下がります。ホットタオルで首や仙骨(腰とお尻の間にある三角形の骨)を温めるのもいいでしょう。

また、寝る前にテレビやスマホを見る習慣があると、脳の温度が上がってしまい寝つきが悪くなります。冷やしたタオルや保冷剤を枕に敷き、耳から上を冷やしながら寝るのがおすすめです。ただし、首が冷えると副交感神経の活動が抑制され、目が冴えてしまうので要注意。

ほかにも、仕事中にカフェインを摂りすぎると深い睡眠が奪われ、「成長ホルモン」が減少することがあります。昼間に眠気に襲われたり歯ぎしりするのはそのサイン。1週間程度コーヒーなどのカフェインを抜いてみるのもいいでしょう。

【Keyword】
深部体温
成長ホルモン

※深部体温とは?
人間の体には体温計で測る表面温度だけでなく、内臓の温度を表す「深部体温」があります。一日のなかでも深部体温リズムによって体温は上下し、同じ作業でも時間帯により作業効率に差が出ます。深部体温が最高になるのは起床11時間後で、もっとも低いのは起床22時間後です。温度が高くなる夕方ごろがいちばんパフォーマンスが高く、作業効率もアップします。日常で冷たい飲み物を摂取しすぎると深部体温が下がってしまい、体の不調につながります。睡眠のためには、就寝1時間前までに体を温めておくことが重要。夕方に筋トレをして深部体温を上げておくと、就寝前には放熱が促されて深部体温が下がり、よく眠れます。

■こんな自分がイヤだ!⑥深夜にいっぱい食べて眠れない

【こうすれば脳変】
いつもは夜食べるお菓子を朝に食べる
菅原洋平『「できない自分」を脳から変える行動大全』(扶桑社BOOKS)
菅原洋平『「できない自分」を脳から変える行動大全』(扶桑社BOOKS)
深夜のお菓子は翌日の作業効率に悪影響あり

夜中にお菓子を食べたり、深夜に帰宅してから夕食を摂る習慣がある人は、睡眠の質だけでなく、翌日の作業効率にも悪影響があります。昼食から夕食の間の「絶食時間」(何も食べていない時間)があいたり、逆に夕食から翌日の朝食までの絶食時間が短くなると、食事によってつくられるリズムが崩れ、日中にボーッとしたり、寝る前に頭が冴えてしまいます。これを避けるには、食後2時間の血糖値の上昇を示す「GI値」を基準に食事を選びましょう。GI値の高いお菓子類は、夜中ではなく朝イチに食べたほうが、リズムを修正できます。

 
【Keyword】
絶食時間
GI値

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菅原 洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士
ユークロニア代表。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。その後、脳の機能を活かした人材開発を行うビジネスプランをもとに、ユークロニア株式会社を設立。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で行い、その活動はテレビや雑誌などでも注目を集める。ベストセラーとなった『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)や『すぐやる! 「行動力」を高める“科学的”な方法』(文響社)など、多くの著書がある。

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(作業療法士 菅原 洋平)

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