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本当に仕事のデキる人ほど「立て板に水」ではなく「朴訥」な話し方をする理由

プレジデントオンライン / 2021年11月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/portishead1

相手に好印象を与える人はどのような話し方をしているか。コンサルタントの赤羽雄二さんは「うまく話すというのは、『立て板に水』のように流暢に話すことではない。相手に好印象を与える人ほど淡々と伝えている」という――。

※本稿は、赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■ほどよい気温の晴れの日に、気持ちよく林の中を散歩するイメージで

話すことに自信がない人ほど、うまく話そうと意識してしまいがちです。「うまく話す」とは、「よどみなく話す」「つかえずに話す」「こちらの要望をうまく伝える」「こちらの主張に合意してもらう」などでしょうか。

本当に「うまく話したい」と思うなら、むしろ「何もしない」「気にしない」ほうがいいでしょう。「うまく話そうとする」ことで固くなったり、あがったり、頭が真っ白になったりして、いいことは何もないからです。相手を尊敬し、決してばかにしたりせず、自然体で話すことが大切です。

上から目線などは、相手にすぐに察知されます。そうなると、本気で話を聞こうとはしてもらえません。むしろいっさい耳を傾けてくれないかもしれません。自分の気持ちを隠すことはほぼ不可能です。

赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)
赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)

五感は大変鋭く、不自然さを見抜いてしまうからです。隠そう、演じようとか、操作しようとしても、相手に伝わってしまい、警戒心を抱かれることになります。

また、あまりに堅苦しいと相手を緊張させます。緊張すると不必要に警戒させてしまい、ろくなことはありません。こちらも自然に話せなくなってしまいます。

暑くも寒くもない、ほどよい気温の晴れの日に、気持ちよく林の中を散歩していることをイメージするといいでしょう。

足元に若干の注意を払います。いちおう前を見て今自分がどこにいるかを確認します。それ以外は、わくわくする気持ちで歩く、くらいの感じです。

■肩の力を抜いて話すための4つの方法

テニス、野球、ゴルフなどのスポーツでボールをうまく打とうと意識しすぎたら、力が入ってまともに当たらないか、当たってもボールが遠くに飛びません。

うまくやろうと意識せず、自然体でやるのが一番です。肩の力を抜き、リラックスして話す必要があります。

肩の力を抜いて話すには、

① 余裕を持って自然体でいること
② 準備を十分して、安心して臨むこと
③ 相手の反応にも注意を向けられること
④ 深い呼吸でゆったりと話すこと

などを意識するといいでしょう。

幸い、私は肩に力が入ったことがあまりなく、むずかしい局面でも比較的リラックスして話すことができます。マッキンゼーに入った当初からそうなので、もともと楽観的なのかも知れません。

ただ、もちろんその後、A4メモを数万ページ書き、毎日数十以上の記事を読み、多くの方とディスカッションする中で、より難易度の高い状況にも対応できるようになったとは思います。

相手次第なので、事前に想定した通り進むことは期待できませんが、うまく話すことを意識せず、肩の力を抜いて話せば、こちらのシナリオを意識しつつ、ある程度は柔軟に対応できます。

■「立て板に水」はむしろ悪い印象を与える

大事なのは、こちらの主張とその根拠を淡々と、しかし思いを込めて伝えることです。相手の話を聞き、質問があれば聞き、相手からの質問にも誠意を持って答えると、必ず前に進みます。

話すのが苦手な人は「立て板に水」的なスムーズな説明に憧れているかもしれませんが、これは誤解です。そのような説明は相手を圧倒しようという魂胆がみえみえで、反論しづらく、抜け目もなく、むしろ悪い印象を与えます。

「うまく話そうとしない」という点は、英語でのミーティングで特に重要です。英語があふれるように出てこなくても、全く問題ありません。

「こういう理由で私はこう思います」「このように進めたいと考えます。理由は3つあります。1つ目には〜〜、2つ目には〜〜、3つ目には〜〜」と、時間をかけてゆっくり話せば、皆真剣に耳を傾け、理解しようとしてくれます。これは、結構慣れている私でもいつも感心するほどです。

日本語でも英語でも、「立て板に水は不要」(どころか、むしろ有害)と覚えておいてください。

■物事をうまく進める人は全体観がある

誰かに何かを話して合意してもらったり、何かをやってもらったりするためには、相手にその気になってもらう必要があります。

そのためには、相手が置かれている状況や、利害関係、制約なども理解しておかなければいけません。

全体観を持つとは、今自分が関心を持っていることに関して、全体が見えていて、前提条件、参加者、彼らの間での利害関係を把握していて、どこをどう押せば望む結果になるのかがわかるということです。

ホワイトボードを使ってプレゼンするビジネスパーソン
写真=iStock.com/iryouchin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/iryouchin

相手が社長であっても、先代社長の番頭的な存在であった常務取締役が実権を握っている場合があります。ワンマン社長で誰からも恐れられているにもかかわらず、社員の退職が相次いでいるため、彼らの反応に気が気でない場合もあります。

したがって、役職や表面的な位置づけなどにとらわれるのではなく、全体観を持って組織の中の相手の立ち位置を把握する必要があります。

さきほどの例でいうと、

① 社長と常務取締役の人間関係、力関係
② 他の取締役の位置づけ、力関係
③ 先代社長の意向と存在感
④ メイン事業の貢献度合いと将来性
⑤ 社長が新たにもたらそうとしている新事業の可能性
⑥ 社長のビジョンへの社員の共感度の高さ

を把握し、どうなれば社長が合意してもよいと判断してくれるのか、社長は何に合意でき、何には合意しづらいのか、などの全体を見通す必要があります。

こういった全体観がないと、相手が置かれた立場の一部しか見えていないので、どうすれば合意して動いてくれるのか、合意しても動かせる立場にあるのか、そもそも相手は合意できる立場にあるのか、イメージが湧かず、間違った方向に押してしまいます。

そうすると、何も動かなかったり、動き始めても思わぬ障害が起きたり、想定しない遅れが生じたり、参加メンバーの誰かが突然怒り出したりして、頓挫してしまいがちです。

■アドリブのようでいて、用意周到に準備する

物事を進める際には、アドリブも必要です。台本に沿って無理やり進めようとするのは「百害あって一利なし」なので、相手の気分や出方を見て、柔軟に対応します。

アドリブのようでいて、話の流れなどは事前にしっかり準備し、細心の注意を払っておきます。読み切れないときは、シナリオを何種類か相手の反応ごとに分けて書いておきます。

例えば、さきほどの社長の例でいうと、

① 社長自身は賛成でも、常務取締役が反対する場合
② 社長自身は賛成で、常務取締役は条件つき賛成の場合
③ 社長自身は中立で、常務取締役は条件つき賛成の場合
④ 社長自身はやや乗り気がせず、常務取締役は賛成の場合

など、合意に持ち込めそうなシナリオを検討しておきます。

それぞれ何を言うべきか、どこまで譲歩すべきか、どこまで押し込むべきか、どういう代替案を出すか、どういう条件を追加するかなどですね。

そうすれば、アドリブのようでいて、用意周到であり、細心の注意で進めていくことができます。

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赤羽 雄二(あかば・ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズを共同創業。著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』(ダイヤモンド社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)、『成長思考』(日本経済新聞出版社)、『アクションリーディング』(SBクリエイティブ)などがある。

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(ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター 赤羽 雄二)

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