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「どんな質問でも即答したほうがいい」マッキンゼー出身のコンサルがそう断言する理由

プレジデントオンライン / 2021年11月19日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taa22

ビジネスで人との会話を盛り上げて、成果につなげるにはどうすればいいか。マッキンゼー出身のコンサルタント、赤羽雄二さんは「どんな質問でも即答したほうがいい。信頼感も高まり、仕事の生産性も確実に上がる」という――。

※本稿は、赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■ゆっくり考えても回答の質は上がらない

世の中には素早く考えることができる人と、時間が必要な人がいます。

ただ、できるのであれば、質問には即答したほうがいいです。そのほうが、信頼感が高まるからです。ミーティングの生産性も確実に上がります。

ゆっくり考える人を観察すると、より多く、より深く、より網羅的に考えているというよりは、多くの場合、考えるプロセス、ステップがゆっくり進んでいるだけに見えます。

別に質が上がるわけではなく、単に「考えるスピードが遅い」状況です。

「時間をかけて考えないとよい考えにならない」と思い込んでおられる方にもよくお会いしますが、言うほど深まっているようには見えません。

時間をかけることに関して、例外はあります。囲碁、将棋、チェスなどの達人は、必要に応じ長考します。ただ、その時間中、すさまじいスピードで頭を回転させながら、手を読み続けています。こういう人の話は別です。

仕事の速い人は考えが浅くなるのか、というと決してそうではありません。考えが速く、仕事が速く、どんどん結果を出していくことができます。

クロック周波数の速いCPUが雑な計算をするのではないのと同じで、素早く、的確に、特にミスなく考えることは、訓練により誰でもできるようになります。

私はコマツのエンジニアだったときはごく普通でしたが、マッキンゼーに入って徹底的に鍛えられました。マッキンゼーは社外の3倍速いとか言われて、過酷な要求もありました。

赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)
赤羽雄二『マッキンゼー式 人を動かす話し方』(クロスメディア・パブリッシング)

ただ、やってみるとできないことはなく、それ以降も加速し続けました。スピードアップに味をしめたとも言えます。

マッキンゼーの中で部下が45名に増えたとき、マッキンゼーをやめて部下がゼロになったとき、支援先が10数社になったとき、インドとベトナムに毎月出張しなくてはいけなくなったとき、さらにスピードアップしてしのぎました。

この経験から言えることは、スピードアップには限りがないということです。その後も加速しています。多くの方にコーチングして、実際にスピードアップを経験していただいています。

誰でも、訓練次第では、考える速さが数倍に上がります。考えの質が落ちるわけではありません。

■質問には即答するほうが効果的

私は、質問にはいつも即答します。できる人にはなるべくそれをおすすめします。そのほうが自信が伝わり、会話のテンポが速まって盛り上がりやすいからです。打てば響くようなやりとりになって、意気投合もしやすくなります。

今そこまで即答できない人でも、意識して取り組んでいると、どんどん速くなります。

最初は言い間違えることが心配だとは思いますが、あまり気にせず、チャレンジし続けてください。多分、意外なほど言い間違えないと思います。

これまでゆっくり考え、噛みしめながら、あるいは躊躇しながら話をしていただけで、頭の回転の速さとは関係ありません。ですから、それを速めることは大してむずかしくないです。

『ゼロ秒思考』のA4メモ書きを毎日10〜20ページ、各4〜6行、それぞれ15〜20字を各1分で書いていると、即答力はさらに増します。

相手のペースがゆっくりな場合は合わせますが、こちらの発言まで遅くする必要はありません。相手のゆっくりした発言を丁寧に聞き、最後まで聞き出して、それから煽らないように気をつけながら、ずばっと言うべきことを言えばいいです。

あせらせるような雰囲気を出さないかぎり、いい感じのキャッチボールになりやすいと思います。その場のエネルギーレベルが上がります。

■真剣に話を聞いて、相手の言葉を繰り返す

相手の発言内容をその場で確認すると、きちんと聞いてくれていると相手も安心します。いつもやる必要はありませんが、大事な部分に対しては効果的です。

例えば、

【相手】私はこの件は、早めに会議を開いて問題点を共有したほうがいいと思うんですよね。

【自分】なるほど、早めに会議を開いて問題点を共有するということですね。

【相手】そうなんです。そうすれば、問題が深刻になる前にくい止められると思います。

【自分】そうですね。問題の深刻化を抑えられればいいですね。

【相手】そうですよね。そういう方向で検討してみましょうか。

【自分】はい、それがいいと思います。いい案を考えていただけてよかったです。

といった感じで、同意を得るときにはこのくらいでちょうどよいと思います。少し言い換えるだけで、話がより前に進んでいきます。

慣れるまでは、若干わざとらしいと感じられるかもしれませんが、そんなことは決してありません。

真剣に話を聞いて、確認しているだけですので、相手はむしろ調子が出てきます。相手の言葉を繰り返すと、丁寧に、本気で聞いている、という姿勢がしっかり伝わります。

人と話すときは、どちらかというと漫才のかけ合いのようにするほうが、テンポが上がります。意気投合しやすくなります。

そのためにも、間を空けずに相手の言葉を繰り返し、どんどんテンポを上げていくほうがよいと考えています。うまく進むミーティングは、いつもこういう形になりますね。

もちろん、テンポが全く上がらない人もいますが、それはそれでしようがありません。こちらが前向きであれば、相手もそのうちに乗ってきてくれると思います。

■人と話すのは、勝ち負けを決めるためではない

話をするとき、相手を決して言い負かさないことが大切です。言い負かすと、相手は大変に嫌な気持ちになりますし、こちらも心が乱れて、しばらくは平常心を失ってしまいます。

比較的自然体が身についている私でも、後々まで影響します。話をする目的は、こちらの主張に同意してもらうことであり、言い負かすためではありません。論破などもってのほかです。

相手が合意し、結果としてこちらの望む方向に動いてもらえれば、それで十分です。ときどき、相手を言い負かすことに喜びを見いだしている人がいますが、意味がありません。

人と話すのは、勝ち負けを決めるためではありません。楽しみだけの会話ではなく、ある目的をもった会話の場合、こちらの気持ちと事情を伝え、合意してもらい、何かの行動を起こしてもらうために話しています。

友達とネットサーフィン
写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/filadendron

IoTとAIの時代になれば、言葉の暴力、言葉による威圧を自動的に見つけ出して警告するなどは、容易です。そういうログを取る会社が急速に増えていきます。

そこまでいかなくても、何もいいことがないので、言い負かすのはやめたほうがいいです。思うように物事が進まないだけではなく、しこりとなって邪魔をされるなど、あとになってトラブルが起こりやすいのです。

お互いに言い合ってようやく勝負がついたとき、どうしても最後のひと言を言いたくなりますが、これもやめておきましょう。どう考えても不必要ですし、将来の紛争のネタになりかねません。私も余計なひと言を言わなかったか、いつも注意しています。

■論破ではなく、共感

相手の発言をわけがわからないと感じると、どうしても論破してしまいたくなります。

そのときは、相手がなぜそういうことを言うのか、わけがわからないことを言うのか、その心情を理解し、共感しようとしてみてください。論破したい気持ちがかなりおさまるはずです。

特に話の通じない人でないかぎり、わけがわからないことを言うのには理由があります。

① 話の前提が違う

それぞれの役割に対して誤解があったり説明不足があったりするときは、話の前提が違うので、わけがわからないことを言うように見えます。結論は違ってきます。

当然、こちらが悪いこともよくあります。お互い熱くなっていると、おかしいなと思いながらも、話の前提を途中で確認できず、衝突が激しくなることがあります。

② 根本的な価値観が噛み合わない

主義主張があまりにも違う組織間では、よほど相手の立場に立たないと、わけがわからなくなります。大前提が違うので、「活動のねらい」「活動内容」「協力」「広報」などの言葉の意味する内容に大きくギャップが生まれやすいのです。

例えば、「協力」という言葉であれば、一方は「一緒にやること、対等な関係でお互いフェアに貢献しあうこと」であり、もう一方は「依頼した側がほとんどやり、依頼された側は頼まれた範囲で最低限お付き合いすること」と考えていたりするのです。

■相手の立場になりきって“体”で感じる

③ 相手の社内で話が通っていない

組織内の風通しが悪いとよく起きます。経営トップと快く合意した場合でも、前向きに話が進んでいる、少なくとも伝わっているという前提で話を進めないほうがいいでしょう。

むしろ話が全く通っていない、ということがよくあるので、かみ合わないことをお互い話すはめになってしまうからです。

④ こちらの社内で話がずれている

実は自分の聞いていた話が間違っていることもよくあります。相手の話を一度聞いてみないと、本当のところはわかりません。

社内できちんと話が伝わっておらず、断片的に伝わっているとか、もっとも大事な前提条件のところだけ抜けているといったことがよくあります。社内の不満分子が話をなし崩しにしようと画策することもしばしば起きます。

これらの状況では、相手の立場になりきって“体”で感じるほうがいいです。百歩譲って、いったん相手の考えのベースを探ります。何かの問題があったかも知れませんし、こちらに落ち度がある場合もあるからです。

そうやって考え方を組み立て直し、どうであれば一致点を見いだせるのか、共感できるのかを考えてみて、そこから再出発します。

「こうだからこうだよね」「こうだったら、ああだよね」と推論する力自体はすべての人に備わっていて、それなりに正しいと思います。

ただそこに主義主張、価値観、利害関係、過去の確執などが絡むと相手とずれてしまいがちです。共感した上で考えられると、意見が一致しない理由を考えようとしますし、結果として、理解、共感しやすくなります。

大切なのは、「話すことは勝ち負けではない」「しっかり話せば、一致点を見いだせる」という考え方です。

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赤羽 雄二(あかば・ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズを共同創業。著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』(ダイヤモンド社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)、『成長思考』(日本経済新聞出版社)、『アクションリーディング』(SBクリエイティブ)などがある。

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(ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター 赤羽 雄二)

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