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「死刑になって死にたいから、殺す」拡大自殺の実行者と車を暴走させる高齢者…その背景にある恐るべき真実

プレジデントオンライン / 2021年11月22日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Elena Medvedeva

薬には副作用・副反応がある。精神科医の和田秀樹氏は、「薬の副作用が一因となって自分や人を傷つけようとしたり、体は起きているが寝とぼけた状態になって車を暴走させたりすることがある。警察やメディアは容疑者などが日頃飲んでいる薬を調べるべき。また、コロナワクチン接種後の死亡者を巡ってもワクチンの副作用・副反応との関係などをもっと開示するべきだ」という――。

■“京王線ジョーカー”事件の25歳容疑者の「薬の履歴」を調べよ

10月末、東京都内を走る京王線の電車内でナイフを用いて乗客17人に重軽傷を負わせ、油をまいて火を放った25歳の男が殺人未遂容疑で逮捕された。精神科医である私に対して、この件に関して週刊誌やテレビ局などから取材申請があったが、なるべくコメントを差し控えてきた。

書籍『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)で日本でも有名になった精神科医・心理学者のアルフレッド・アドラーは目的論で知られる。同じく精神科医のフロイトなどの精神分析では、非行少年の非行行為について、子供時代の育て方とか生まれつきの攻撃性など原因に注目する。

それに対してアドラーは、原因に注目することでは、相手は変わらないので、むしろなんでその行為をやるのかという目的に注目する。

その目的が「目立ちたい」「注目されたい」というものであれば、周囲が騒いだり、叱ったりするのは、むしろ相手の望みをかなえてしまうので逆効果と考える。

要するにアドラーの考え方では、目立ちたいから事件を起こす人を大報道するのは、その目的をかなえることになるし、その犯人が逮捕されることによって、同じように目立ちたいから事件を起こす人の事件を誘発することになる。

現実に、今回の事件は次々と模倣犯を生んだ。

11月8日に九州新幹線車内で液体をまく、ライターで火をつけた69歳の男は(京王線の事件の)「まねをしようと思った」と供述しており、翌日には宮城県で保育施設に刃物をもって現れ逮捕された31歳の男は、「小さな子供を殺し、捕まって死刑になるためにやった。邪魔してきた職員も殺すつもりだった」などと供述している。

これを社会病理と見るか、容疑者たちのパーソナリティの問題とみるかは、精神科医である私にとっても判断が難しいところだが、一点、確実に言えることがある。

騒ぎを起こして多数の人間を殺し、死刑になることで自殺する「拡大自殺」をした者に対しては、警察などが服用していた薬を調べるべきである。

■「死刑になりたい」と人を殺そうとする人々が飲んでいた共通の薬とは

いわゆる拡大自殺はアメリカでは1990年代以降、日本では2000年代以降、問題になっている。アメリカでは、銃を乱射して、警官に射殺されて死のうとする。別名「スーサイドバイコップ(suicide by cop)=警察による自殺」と呼ばれるもので、大事件を起こして警察に射殺してもらって自殺を果たすというものだ。

日本でも死刑になりたいと大事件を起こすケースが少なくない。

2001年の附属池田小事件(※1)、2008年の秋葉原通り魔事件(※2)などがそれにあたる。世の中を騒がせて死刑になろうとするという点では、1999年の全日空61便ハイジャック事件(※3)もこれに当たるかもしれない。

※1:2001年6月8日、大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校で発生した無差別殺傷事件(児童8人死亡、児童13人および教職員2人の15人負傷)。
※2:2008年6月8日に東京都千代田区外神田(秋葉原)で発生した通り魔殺傷事件(7人死亡、10人重軽傷)。
※3:1999年7月23日に発生した羽田発札幌行きの飛行機がハイジャックされた事件(機長が死亡)。

問題は、これらの事件の加害者の共通点は、すべてSSRIというカテゴリーの抗うつ剤を服用していると言われている人たちということだ。参考文献『治す! うつ病、最新治療 ──薬づけからの脱却』(リーダーズノート編著)

SSRIはシナプス内のセロトニンだけを選択的に増やすという種類のうつ病の薬で、余計な伝達物質を増やさず、作用がシナプスの中でだけ起こる。これまでの抗うつ剤のような副作用も起こさないドリーム・ドラッグと言われていたものだ。

しかし、シナプスの中である伝達物質が急に増えるというのは、覚せい剤と似た作用ともいえる。

こうした薬は、確かにこれまでより有効性が高く副作用も少ないが、たとえば自殺念慮のある患者が、生きる意欲を取り戻すのではなく、自殺を決行させる頻度が高まることが問題視されている。

人の心にある陰と陽と重なっている部分のイラスト
写真=iStock.com/Eva Almqvist
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Eva Almqvist

欧米では、イギリスのバンガー大学の精神医学教授デイビッド・ヒーリーのように、製薬会社などからかなりの圧力を受けながらそれに闘う医師がいるが、残念ながら、日本ではヒーリーの著作訳者の田島治先生などごく少数の医師しかSSRIの危険性を訴える人はいない。

コラムニストの神足裕司氏もこの問題に取り組んでいて、私も取材を受けたことがあるが、そのリポートが世に出る前にくも膜下出血で倒れてしまった。

いずれにせよ、この薬の認可以来、前述のようにこの薬を服用した人の異常な犯罪が続いているが、メディアは積極的に取り上げようとしない。

前述の全日空ハイジャック事件だけが裁判で薬の影響が認定されて無期懲役になったが、それさえもろくに報じられていないように感じる。今回の電車内で起きた事件でも「飲んでいた薬」に関してはメディアで特に問題にされず、容疑者の心理分析とか模倣犯のようなものばかりに着目している。

もちろん、すべてが薬のせいとは言えないだろうが、ある種の意識変容が起こる可能性は否定できず、こうした事件が起こった際に、飲んでいた薬の確認は必要だろう。

それがわかれば多少なりとも再発予防になる(医師の側も、投与に慎重になる)だろうし、加害者への怒りも少しは和らぐだろうし、それ以上に被害者への補償の芽も出てくる。

こんなに過去事例があるのに、それが検討されないのはメディア側の不勉強ともいえるが、ひょっとしたら、このような抗うつ剤を作っている製薬会社はメディアにとって大スポンサーで忖度(そんたく)しているのかもしれない。そんな疑いを持つほど、薬に関して触れないのだ。

■池袋で暴走して11人死傷させた「上級国民」は薬の意識障害だった?

私は高齢者を専門にする医師だが、最近、頻発する高齢者の自動車による暴走や逆走についても、薬の影響を疑っている。

高齢者の運転のリスクのひとつに、動体視力や反応性の低下によりブレーキ操作などが遅れるということがある。要するに飛び出してくる子供などをよけられなくなることだ。

多くの高齢者はそれを自覚しているためか、以前よりゆっくり走るようになったと思う。前を走る車に高齢者のマークがついていると、ゆっくり走られてイライラする経験はドライバーならだれにもあるだろう。

今はスマホで動画をいくらでも撮れるから、それが投稿されて、高齢者の暴走や逆走ばかりが注目されるが、車に乗るたびに“常習的”にやっているわけではない。2019年に池袋で車を暴走させ11人の死傷者を出した旧通産省工業技術院の元院長(90)もそうだったと推測している(9月2日、元院長の禁錮5年の実刑が確定)。

11月17日にも、大阪府大阪狭山市で89歳の男性が自動車を暴走させ、スーパーマーケットにつっこみ3人を死傷させたが、ふだんは絵にかいたような安全運転のドライバーだったという。

ふだんしないことを突然するとすれば、原因として最も考えられるのが意識障害だ。

要するに、体は起きているが寝とぼけた状態になることだ。これの症状が重いものはせん妄と言われるが、高齢者の場合、精神安定剤(前日の夜に飲んだものが翌朝に残りやすい)のほか風邪薬やH2ブロッカーと言われる胃薬でも起こることが知られている。

あるいは、血圧の薬や血糖値を下げる薬が効きすぎて、一定以上血圧が下がりすぎたり低血糖状態を起こしたりした場合にも意識障害は起こる。ふだんはむしろ高血圧や高血糖なのだが、ある時間帯に効きすぎが起こることは珍しくない。たまたまそういう時間帯に運転している際にもうろうとして逆走したり、あるいはものに衝突しかけたりしてあわててアクセルとブレーキを踏み間違えることは十分あり得る。

さまざまな薬
写真=iStock.com/SB
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SB

高齢者の場合、服薬している薬など事故原因の究明は再発予防のために重要なことだ。

事故当時のことを覚えていないという供述に「ウソをつくな」「ふざけるな」という声が強いようだが、意識障害の場合、むしろ覚えているほうが珍しい。

交通事故に限らず、高齢者が増えている中、薬の副作用で意識障害が起こるという認識をもう少し社会に共有することが必要だと私は感じる。高齢者に一律に免許を取り上げるより、服用している薬についての注意喚起を行ったほうが、再発予防につながるかもしれないのだ。

■なぜ、メディアはコロナワクチン接種後の死亡者を深追いしないのか

コロナウイルスのワクチン接種についても、副作用報道があまりに少ない。

ファイザーのワクチンだけで接種後の死亡例が1300件以上報告され、厚生労働省もHPで公開しているのに、それが詳しく報じられることはまずない。

この中で注目すべきは、ついに13歳の死者が出たということだ。気管支喘息の持病をもち、ワクチン接種後の約4時間後に入浴して、出てこなかったため確認したところ浴槽内で水没しているところを発見され、救急要請の後に死亡したとのことだ。

新型コロナワクチンと注射器を持つ医療従事者の手元
写真=iStock.com/turk_stock_photographer
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/turk_stock_photographer

コロナ感染による15歳未満の子供の死亡はまだ一人も出ていないにもかかわらず、ワクチン接種後の死者が出た。この年代のワクチン接種が強力に推し進められているだけに、これは重大な事実だ。

また、コロナ感染が落ち着き、ほとんど死者が出ていないのに、10月25日から11月3日だけでワクチン接種後の死亡は28件報告されている。コロナで亡くなるより、ワクチン接種後の死亡のほうが多いのだ。

こういう事態をきちんと報道しないで、3回目のワクチン接種が進められることに疑念を禁じ得ない。

これらの死亡例の中で、予防接種・ワクチン分科会が因果関係を認めたものはまだ1例もないが、一方で因果関係が否定されたものも7例しかなく、残りは「情報不足のために評価できない」とされている。

再び感染が広まった後ならともかく、現時点では、ワクチンを打つ必要があるかどうか判断するのに、重要な情報源なのは間違いないだろう。

大スポンサーである製薬会社への忖度かどうかは軽々に判断することはできない。しかし、いろいろな場面で、薬の副作用のリスクをもう少し情報として広めないと、薬の服用にせよ、ワクチン接種にせよ、その可否の判断が困難になる。

いくら賢い人でも、情報不足の中では、まともな判断ができないことは確かなのだから。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
国際医療福祉大学大学院教授
アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹 こころと体のクリニック」院長。1960年6月7日生まれ。東京大学医学部卒業。『受験は要領』(現在はPHPで文庫化)や『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房)ほか著書多数。

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(国際医療福祉大学大学院教授 和田 秀樹)

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