韓国メディアの「反日報道」は、日本の「嫌韓」と比較にならないほど過激化している
プレジデントオンライン / 2021年11月29日 10時15分
※本稿は、シンシアリー『文在寅政権 最後の暴走』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。
■嫌韓を拡大させた、いくつかの案件
個人的に、韓国の日本に対する感情的スタンスは、明らかに「反日(ほぼ無条件で「反」のスタンスを取る)」だと見ています。でも、日本の韓国に対するそれは、「嫌韓」とは思えません(「嫌」とは意味が違う)。どちらかというと、関わりたくないというか、話が通じないときのイライラさというか、そんな感覚に似ています。
嫌いというのもある程度の積極さが必要なので、どうも嫌韓という単語はしっくりきません。そう、私は嫌韓という単語があまり好きではありませんが、だからといって他に代用できる単語があるわけでもないし、いつのまにか有名になったこともあって、以下、「嫌韓」という単語を借用するとします。
日韓関係において、嫌韓を拡大するいくつかの重大な案件がありました。一部を深く調べることも大事ですが、やはり重要なのは「拡大」です。韓国の反日思想に強い関心を持っていない方々に、「あ、あれ確かにおかしいな」と思わせる、いわば嫌韓を拡大させる、いくつかの案件がありました。
有名なのが二〇〇二年ワールドカップで、インターネットの普及と相まって、韓国社会が日本に対して抱いている論拠なき悪感情が、日本の皆さんに知られるようになりました。それからも、李明博大統領の天皇陛下(現在の上皇陛下)侮辱発言および竹島上陸、拉致被害者問題への非協力的な態度、旧朝鮮半島出身労働者や慰安婦個人賠償問題および日本企業の資産に対する差し押さえなど、いつもは韓国に対して融和的な態度を取るマスコミすらも「これはおかしい」と報道せざるを得ない案件が、いくつかありました。
■東京オリンピックでも反日が露呈した
これも個人的な意見ではありますが、私は、今回の二〇二〇東京オリンピックもまた、そんな「拡大」案件になったのではないかと見ています。日本人は、喧嘩においても、「結果で勝ったとしても、越えてはならない線を越えると、負けになる」と思います。必要以上に相手を傷つけてしまうと、基本的な尊厳までをも踏みにじってしまうと、勝ったとしても、負けた気持ちになると言います。
韓国は違います。結果で負けても、相手を傷つけた分、それこそが勝ちだと思います。越えてはならない線を越えてこそ、相手を完全に支配できると思い込み、徹底的に踏みにじります。
今回、東京オリンピックでの韓国側の反日報道は、明らかに前より強く、一線を越えるものばかりでした。これまでは「国際競技では仕方ない」としていた、日本の国歌「君が代」に関する非難も、その一つです。
■「君が代」シーンを放送したテレビ局に非難が殺到
韓国では、日本の国歌が流れただけで放送局の番組が処罰されたりします。もっとも最近の事例が、二〇一八年平昌冬季オリンピック当時、韓国の地上波放送SBSが、日本の高木菜那選手が金メダルを授与され、「君が代」が流れるシーンを放送しました。韓国選手が銅メダルを獲得していたためです。
同じ表彰式を中継していた他の地上波放送局は、それぞれ「君が代」と日本人選手の受賞シーンをカットしました。MBCは他種目の韓国選手が金メダルを受けるシーンを再放送し、日本でいうとNHKのような立場であるKBSも、広告を送出しました。
SBSには、非難が殺到しました。放送通信審議委員会はSBSを審議しましたが、結局、処罰はありませんでした。バラエティ番組で「君が代」を流した番組は審議の結果、処罰(警告処分)されたことがあるので、この結果は世論に叩かれました。でも、七月二十四日の「イーデイリー」は、二〇一六年リオデジャネイロオリンピック閉会式でも次期開催国である日本を紹介する映像で「君が代」が流れたし、二〇一四年ボクシングの試合でも「君が代」演奏が放送されたものの、当時も「国際競技イベントの生中継だから」という理由で、処罰はされませんでした。
言い換えれば、国際的なスポーツイベント、試合、表彰などの中継なら問題ないけど、それ以外、特に録画番組のように事前に消す(何か別のものに編集する)ことができる場合は、「君が代は法定制裁対象」ということになります。
■MISIAさんが歌った「君が代」に猛攻撃
もうこれだけでも「敵国」扱いなのが分かりますが、それでもこのような審議結果があるせいか、国際大会での「君が代」は、そこまで問題になりませんでした。特に、日本で開かれた国際大会で日本の国歌が流れたことに問題が提起されたという記事は、少なくとも私は見た記憶がありません。
韓国とて、国際大会で日本の応援団が旭日旗を使うと問題提起しますが、日の丸には文句を言いません。日の丸は日本の国旗だから、さすがに日本側が日本の国旗を使うことにまで文句を言うわけにはいきません。
ですが、今回は開会式でMISIAさんが歌った「君が代」に対し、韓国マスコミは猛攻撃を浴びせました。「君が代は、天皇(原文では「日王」)を賛美する内容を盛り込んだ、帝国主義時代の日本の国歌だった。一九九九年に国旗・国歌に関する法律により、国に法制化され、入学式や卒業式などで提唱しなければならなくなった。旭日昇天旗とともに、日本帝国主義の代表的な象徴として挙げられている「君が代」を、東京オリンピックの開会式で歌いながらも、日本政府と大会組織委員会は、平和と調和の象徴となるべきオリンピックを始めたのだ」(七月二十三日/「ニュース1」)などです。
■反日報道を非難する人たちは極めて少数
放送局から大手、ネットメディアまで、複数のメディアがこの件で日本を非難しました。
繰り返しになりますが、日本で開かれる国際大会で日本の国歌が流れたことで、韓国側のマスコミがここまで反応するのは、これまで見たことがありません。そんなスタンスを非難する人たちもいましたが、本当に極めて少数。しかも、これといった影響力を持たないローカルまたはネットメディアでした。
ここで、七月二十八日『京畿日報』の、韓国側のスタンスを非難する記事を一つ紹介します。これは直接引用とします。「韓国チームの成績不振が、日本を非難する一つの理由である」という内容が出てきますが、「韓国の外交不振が、日本を非難する一つの理由である」と繫がるとも言えるでしょう。
■加熱する反日報道の背景には韓国チームの不振があった
〈……日韓首脳会談が霧散してから、すでにこうなることは決まっていた。韓国選手団は、李舜臣(秀吉の朝鮮出兵のとき、十二隻の船で数百隻の日本軍に大ダメージを与えたとされている朝鮮の武将)将軍が戦時に書いた「私にはまだ十二隻の船が残っています」をパロディにした垂れ幕まで出てきて、日本側と衝突した。結局、抗議で撤去しなければならなかった。北朝鮮まで加勢した。日本の要求を「街の暴力輩のやること」としながら非難した。なぜ急に南北の民族愛が強くなったのか、わけがわからない。
そして開会式である。韓国側の報道は予想通りだった。批判記事で責めた。「葬儀みたいで閲覧が苦しかった」「歴代オリンピック最悪の開幕式であった」「専門家酷評『感動ない』」などなど。突然、ある日本人が有名になった。映画監督でありコメディアンでもある北野武だ。開幕式が恥ずかしいと酷評した。「税金を返してほしい」とした。私たちのメディアは良い根拠としてこの発言を使いまくった。「日本映画の巨匠さえ酷評」という結論であった。
反日報道は続いた。韓国選手団の不振が、また一つの理由であった。テコンドーと柔道がそうだ。複数の金メダルを期待していた。静かだった。テコンドーは二十年ぶりにノーゴールドだ。柔道は決勝にも行けなかった。メディアには「記事を書くためのネタ」が必要だった。その欲求を、反日で満たしたのだ。反日記事を書きまくった。日本を非難しまくった。非難しなくてもいいところまで非難した。一度非難したからってそれで終わるわけでもない。何日も繰り返して同じことを書く。韓国チームの金メダルの話、感動の話が見つからないから、そうでもしないといけないのだ。
■歪曲した「トンムル報道」
その頂点が「トンムル(クソ水)」報道だ。表現からして不適切だ。普通、記事なら、「X水」などと表記する。ところが、遠慮なく「トンムル」と書く。記者生活三十年なのに、こういうのは初めて見た。このような表現を書きまくっている。試合後に脱力したトライアスロン選手たちの写真を載せる。その横に「トンムルの中のトライアスロン」と書いてある。誰が見てもトンムルを飲んで倒れた選手に見える。最初から「トンムルオリンピック」と書かれた記事もある。YouTubeの話ではない。マスコミがこの有り様なのだ。
そもそも話が無茶だ。競技場はお台場海浜公園である。普段、汚水が流れ込むのは事実だ。基準値を超える水質の問題が前からあった。しかし、試合当日は違う。水質と水温の両方の基準値に適合した。選手たちが飲んだのはトンムルではない。韓国側の記事が論拠として引用する外国の記事は、主にブルームバーグ通信とフォックススポーツ報道だった。競技場の水質を憂慮した報道なのは事実だ。しかし、それは開幕式より十日も前の十四日と十九日の記事だ。当日の話ではない。誤報だ。ここまでくると、歪曲したと言えるだろう。記事一つ一つが、本当に不愉快だ。つい、顔が熱くなってしまった……〉
■韓国側の反日キャンペーンが日本に伝わった
このような「普通の」指摘をする記事もあるにはありますが、多勢に無勢、「お前は親日派か」と叩かれ、潰されるだけでした。これはほんの一部です。本当に、東京オリンピック期間中の「日本叩き」は、想像を絶するものでした。不幸中の幸いなのは、そんな韓国側のスタンスが、日本の地上波など大手メディアを介して、日本の皆さんにちゃんと届けられたことです。これは、とても肯定的なことだと、私は思っています。
オリンピックのことで、こんな話を肯定的だと書くのは、ある意味、オリンピック精神に違反することかもしれません。ただ、それでもその罪を背負ってでも、私は迷わず、こう書きます。「今回の東京オリンピックが、日本の皆さんにとって『日韓関係が目指すべきものは何か』を客観的に示してくれた」、と。それは、韓国側が頻繁に主張する「未来志向」という色あせた単語とは違い、長期的には、日韓関係において「真の」肯定的な役割を果たしてくれることでしょう。
いつもは韓国に対してかなり寛大なスタンスを示してきた日本の地上波番組ですら、今回はさすがに呆れたのか、それとも怒ったのか、韓国側の反日キャンペーンをありのままに報道してくれました。これらの報道は、東京オリンピックが始まる直前から、福島の食材に関連した韓国側の発言、戦時メッセージのような応援横断幕、開会式での「君が代」に対する問題提起、旭日旗問題、ビクトリーブーケ問題、言いがかりとしか思えない韓国マスコミの非難報道などなど、幅広く、そして客観的に日本中に広がりました。
■韓国を批判する日本の態度さえ「恥知らずなもの」とした
この流れは閉会式にも続き、世界各国が帰国した選手たちを歓迎して喜んでいるという報道と、韓国が帰国記者会見で「日本での成果」として「旭日旗もオリンピックで使用禁止になった」と発表した件を報道しました。また、ほとんどの報道で、「その発言は嘘で、日本側もIOCも否定した」という内容まで入っていました。
知るべきことをちゃんと知っておかないと、未来も何もありません。すでに韓国側の日本に対する、なんというか、「異常」な反日スタンスは有名になっていますが、まだまだ日本の皆さんにちゃんと知れ渡っているとは言えません。今回、一部とは言え、韓国側の「いつもの」姿が大手メディアを介して報じられたのは、日韓関係の未来にとってきっと良い薬になってくれることでしょう。
しかし、韓国側はそんな自分たちの過ちを認めませんでした。例えば「ニュース1」は八月十四日の記事で、「韓国選手団は、今回のオリンピックでスポーツ精神、オリンピック精神を発揮し、世界の人々に大きな感動をもたらした。しかし、日本の考えはそうではない。日本のメディアは、韓国が五輪を政治的に利用した『迷惑なお客様』だったと評価下げしている。恥知らずな態度、わけがわからない難癖である」としながら、韓国を批判する日本の態度を、「恥知らずなもの」としました。結論に至る過程と趣旨はまったく逆ですが、私と同じく、「これから日本の嫌韓は一段とレベルアップするだろう」と主張する人もいます。
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著作家
1970年代、韓国生まれ、韓国育ち。歯科医院を休業し、2017年春より日本へ移住。アメリカの行政学者アレイン・アイルランドが1926年に発表した「The New Korea」に書かれた、韓国が声高に叫ぶ「人類史上最悪の植民地支配」とはおよそかけ離れた日韓併合の真実を世に知らしめるために始めた、韓国の反日思想への皮肉を綴った日記「シンシアリーのブログ」は1日10万PVを超え、日本人に愛読されている。著書に『韓国人による恥韓論』、『なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか』、『人を楽にしてくれる国・日本』(以上、扶桑社新書)、『朴槿恵と亡国の民』、『今、韓国で起こっていること』(以上、扶桑社)など。
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(著作家 シンシアリー)
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