あいづちの語彙量が多い人は知っている「相手に同意できないとき」の絶妙な"切り返しフレーズ"
プレジデントオンライン / 2021年11月29日 13時15分
※本稿は、西任暁子『話すより10倍ラク!新 聞く会話術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです
■あいづちのバリエーションを増やす
今回のテーマは、話を盛り上げる聞き方です。
まずはちゃんと話を聞くこと。そして、ちゃんと聞いていることを相手にわかるように伝えることです。聞いているあなたの心を、外から見ることはできません。だから「ちゃんと聞いているよ」ということを、まわりの人にわかる形で表現したいのです。
ラジオDJになって2年が過ぎた頃、先輩がこんなアドバイスをくれました。
「リスナーさんからもらったメッセージを紹介するときのトーンが、ちょっと暗いね。真剣なんだと思うけど、聞いている人にはわからないから、もっと明るく読むといいよ」
真剣になると暗く聞こえるなんて、想像もしていないことでした。自分としては○○のつもりでも、相手にそう伝わるとは限らないのです。
相手にどう聞こえるかを意識することの大切さを教わってからは、自分の言動を客観的に見るよう心がけました。表情や声、言葉に姿勢といった自分の言動が、相手の目にどう映るかを想像しながら話すようにしたのです。
まずはあいづちのバリエーションを増やしました。
「ええ」「はい」「そうですか」など自分でもワンパターンだなと思っていたので、まわりを観察して真似をすることから始めました。シチュエーション別に見てみましょう。
■相手の話を肯定したいときのあいづち
「そうですね」「そのとおりですね」「なるほど」「本当ですね」「私もそう思います」「もっともです」「やっぱり」「まったくです」
「もっともです」「まったくです」なんて言ったことがなかったので、初めて真似をしたときは少し照れくさいものの、大人になったように感じたものです。言い慣れないあいづちも、使ううちに自然に出るようになります。
■興味があることを表したいときのあいづち
「驚きですね」「信じられません」「本当ですか?」「そうなんですか?」「それでどうなったのですか?」「すごい!」「それから?」「それで?」「面白いですね」「もっと教えてください」「ほぉ」「まぁ!」「なんと!」「へぇ」「えぇ」
「ほ、ま、へ、え」などは一文字だけでもあいづちになりますね。もちろんカジュアルな表現になりますから、TPOに応じて使ってください。最後は、相手の話に同意できないときのあいづちです。
■同意できないときのあいづち
「そうなのですね」「興味深い考え方ですね」「新しい視点ですね」「独自の視点をお持ちなんですね」「○○さんならではですね」「そうかもしれませんね」「その考えに賛同される方は、多いでしょうね」
このようなあいづちからは、相手の話を受け入れたことが伝わります。
また相手の発言を繰り返しても、受け入れたことを表せます。
「○○さんは、今回のプロジェクトには反対だとお考えなのですね」
「この予算では無駄が多いという考えを、○○さんはお持ちでいらっしゃるんですね」
自分は同意できないと思ったとき、まずは「相手がそう考えているという事実」を受け入れます。ここでいう「受け入れる」とは同意することではありません。自分には自分の考えがあるように、相手にも相手の考えがあることを尊重するということです。
自分とは違う考えが聞こえてくると、感情的になって反論したくなるかもしれません。反論していいのですが、その前に相手の考えを受け入れられるといいですね。そのほうが建設的な会話ができるからです。
考えは「自分が持つもの」であって、「自分そのもの」ではありません。でも自分の考えを否定されると、自分そのものを否定されたように受け止めがちです。考えと自分をひとつに捉えているからです。
考えは、変わるものです。10年前にいいと思っていたことも、今は変化しているのではないでしょうか? 考えと自分を別だと捉えると、感情的にならずに受け入れられやすいと思います。
【POINT】
・いろいろなあいづちで、ちゃんと聞いていることを伝える
・言い慣れないあいづちは、口に出して身体で覚える
・同意できないときも、相手はそう考えているという事実を受け入れる
・考えと自分を別々に捉える
■全身であいづちを打つ
あいづちは、言葉だけではありません。うなずきや首を傾げるといった身体のあいづちもいろいろあります。たとえば図版のような動きです。
これらの身体表現の中には、自然にやっていることもあるでしょう。たとえば驚いたときに目を見開くのは、情報をたくさん取り入れて不測の事態を切り抜けようという無意識の反応だといわれています。
話している途中に立ち上がるというのは、ちょっとした遊びです。トークショーや動画などでやってみると、みんなを楽しませることができますよ。
ちなみにラジオやポッドキャストなど、音声メディアで話すときに立ち上がると、マイクから離れて声が遠くなります。聞いている人に空間を感じてもらえる表現のひとつです。
こういった身体のあいづちは、普段から身体で表現をするダンサーや俳優さんにとってはあまり抵抗がないでしょうが、そうでない場合、大げさで恥ずかしく感じるかもしれません。でも、伝えるためには多少大げさなくらいがちょうどいいと思います。
ボディランゲージを学んだスピーチの生徒さんに自分が話す映像を見返してもらうと、ほとんどの人が「こんなに動いてないなんて……」と言われます。少しでも普段していないことをすると、大きな違和感を感じるもの。自分では少し大げさに感じるくらい、身体であいづちを表現してみましょう。
【POINT】
・身体を使って、意識的にあいづちを打つ
・あいづちは大げさなくらいがちょうどいい
【コラム1】目上の人に「なるほど」はNG!?
「なるほど」という言葉は立場に関係なく使われますが、もとは同じ立場か目下の人に使う言葉です。そのニュアンスをなんとなく感じるからでしょうか。「なるほどですね」と言いたくなることがあります。最近は気にされる方も少ないと思いますが、「ご指摘ありがとうございます」「おっしゃるとおりです」「承知いたしました」「そのとおりです」などと言いかえてもいいでしょう。
【コラム2】伝わるのは、言葉よりも身体?
俳優のことは、アクターといいますね。アクターとはアクションする人、つまり「身体を動かして表現する人」という意味です。日本を代表する映画スターのひとり、千葉真一さんは、「肉体は俳優の言葉である」が信念だったそうです。セリフ以上に身体のほうが、人間の心の機微を伝えられるのかもしれません。
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U.B.U.speech consulting代表、スピーチ トレーナー
大阪生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。在学中にラジオDJデビュー。現在は、スピーチコンサルタントとして独立し、「話し方の学校」学長も務める。U.B.U.代表取締役。近著に『「ひらがな」で話す技術』(サンマーク出版)がある。
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(U.B.U.speech consulting代表、スピーチ トレーナー 西任 暁子)
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