「昇進に興味がない女性を昇進させても幸せになれない」という考えは、なぜ間違いなのか
プレジデントオンライン / 2021年12月18日 8時15分
■管理職になりたくなかった人も就任後、幸福度UP
働く女性約1000人の回答者のうち、現役女性管理職は7割にものぼった。女性管理職からのコメントが多く集まるのはプレジデント ウーマン誌ならではの特徴。ここでは、女性管理職のアンケート結果を中心に、幸せなリーダーの姿を探ってみたい。
![Q1あなたは管理職になりたかったですか?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/670/img_6ffb84b98e98c6fcfb192a1922b6c1a4311240.jpg)
![Q2なりたかった理由、Q3なりたくなかった理由](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/b/6/670/img_b6ff6c35a4dc15fe2ffc9732065ea1df308887.jpg)
![Q4自分にとってプラスだった?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/550/img_0551b32cd713d3fe11819b0d71e0f915225231.jpg)
まず、現役女性管理職で「管理職になりたくなかった」人たちが挙げた理由(Q3)に「管理職に向いていない」「責任が重くなる」という意見が多いが、いざ管理職になってみると、約8割が「管理職になったのはプラスだった(Q4)」と回答。実際に管理職として仕事を進めていくと、想像以上にやりがいや働きやすさを実感するのだろう。働く女性を取り巻く環境に詳しいジャーナリスト、白河桃子さんにそれらのコメントの背景を聞いた。
「管理職は裁量できることが増えるので、働きやすい環境を自分で整えられるというメリットがあります。政府主導による働き方改革によって、働き方のスリム化が進み、コロナ禍以前から多様化。ますますワーク・ライフ・バランス(WLB)をコントロールしやすくなっているのです。女性が管理職になりやすい環境が整いはじめているとも言えますね」
■上をめざしたいかどうかは、意欲の限界ではなく企業風土
「もっと上のポジションに上がりたいか(Q7)」への回答は、「はい」と「いいえ」が約半々と拮抗(きっこう)している。「いいえ」の理由でいちばん多かったのが、「今の職場では限界がある」というもの。言い換えれば、もっと上のポジションをめざしたいが、現状、何かしらの障害があり、難しいと感じているよう。昇進する意欲はあるが、企業側の受け入れ体制に限界があるのだろう。企業文化はまだまだ男性中心。その中で、少しずつ女性管理職を増やすことが大切だと白河さんは説く。
![Q5よかったと思うことは?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/670/img_26cb1f1f90364d1554dcee9ff354daf0221065.jpg)
![Q6よかったと思うことはどういうこと?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/e/670/img_fe6b7ff93a2c7da49fd2e08dc04c7dd1241738.jpg)
![Q7もっと上のポジションに上がりたい?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/4/670/img_c465615ba1b07c4ab355cb33dfa23e69281525.jpg)
「大抵の企業の女性比率は3割ほど。社員の7割が男性なので、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)が働いても仕方のない状況。それが女性の働きにくさや昇進の難しさになっていることもありますね。でも、女性の意識を変えるのではなく、周囲が変わり、女性管理職が活躍できる風土になれば、管理職になりたいと思う女性も、もっと女性管理職を増やしたいと思う企業も増えるはず。本人の意思だけでなく、女性に管理職として働いてもらうために、会社が何をするべきかを考えなければ、優秀な人材を確保することはできないでしょう」
「プレジデント ウーマン」では、過去、同様のアンケートを何度か行ってきた。その際、ときどき見られたのが「女性活躍推進の名目で選任された」という意見。2015年に女性活躍推進法が制定されて以来、こういった意見がよく見られたが、今回のアンケートではとても少なくなっていた。企業側も女性管理職登用に向け、人材育成を進め、ムリに人材をあてがう必要がなくなってきたことも要因としてあるのだろう。時間はかかっているが、女性が活躍できる環境整備が少しずつ進んでいることも今回のアンケートでわかった。
■管理職に就くことで幸福度が上がる
「管理職になりたかった」人の「管理職になった時点での幸福度(Q9)」が高いのはもちろん、「現在の幸福度(Q8)」はさらに高く、管理職になり充実した人生を送っている姿が垣間見える。逆に、「なりたくなかった」人は、就任時に「幸福度が低い(1~4)」と感じている人がいるが、「現在の幸福度(Q8)」を見ると、「幸福度が高い(7~10)」と答える人が増加。管理職になったから不幸になったと思う人は少なく、幸福度は高まり、管理職になってよかったと思うよう。白河さんは、女性はもっと先を見据えてキャリア形成すべきだと助言する。
![Q8現在の人生の幸福度は?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/670/img_f6382a1694a7376cc6f76dbf0d5aa30d162093.jpg)
![Q9管理職になった時点での幸福度は?](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/0/670/img_20e1b4c3c875c5b40992b5d4099d32a5119520.jpg)
「なりたくない理由で、『実質給料が下がる』と言う人もいますが、課長くらいのポジションでは、その可能性もあるでしょう。でも、長い目で見て、もっと上のポジションを狙っていけば、確実に給料は上がります。また、今の会社で長く働き続けたいのなら、会社が求めることはクリアしておくほうがいい。転職を考えているなら、管理職になってさらなるキャリアアップを狙うべき。どちらにしても管理職に就くメリットはとても大きいのです」
管理職に就くことで幸福度が上がることは、アンケートの結果からも明白。その中で、幸福度の高い管理職と幸福度の低い管理職が生まれる原因は何なのか、それぞれのライフスタイルから考えてみることも必要だろう。
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![相模女子大学特任教授、女性活躍ジャーナリスト 白河 桃子さん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/9/80/img_2949eb3eff457429dc6384f280aa5de810742.jpg)
相模女子大学特任教授、女性活躍ジャーナリスト
1961年生まれ。「働き方改革実現会議」など政府の政策策定に参画。婚活、妊活の提唱者。著書に『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP研究所)など多数。
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(ライター 江藤 誌惠)
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