「自撮りなんて恥ずかしい」そんな自意識のオジサンほど、副業で苦労するワケ
プレジデントオンライン / 2021年12月1日 10時15分
※本稿は、野呂エイシロウ『副業は、自己PRがすべて。』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■「自信満々の人」の意見はよくとおる
「結果を出す」──。
それがビジネスで成功するために必要なのはあたりまえのことです。でも、結果は一生懸命に働くだけでは手に入りません。
例えば放送作家の現場では、出すアイデアがいくらよくても「採用されない人」はたくさんいます。なぜかというと、「いいアイデアを出しそうな人」に見えないからです。
ヨレヨレのTシャツを着て、なおかつ寝不足の表情……。そして自信なさげにアイデアを語る姿は、「アイデアを拾ってもらえたらラッキー」という下手に出た感じに見えます。自分のアイデアの価値をわざわざ自分で下げているのです。
そういう姿を見るたび、「せっかく能力があるのに、もったいないな」と思ったものです。
社会人経験がそれなりにある人ならば、誰でも知っているはずです。「自信満々の人」の意見はよくとおるし、「デキる雰囲気の人」の意見もよくとおるということを。
だから僕は、放送作家の駆け出しの時代から「売れている雰囲気」を大切にしました。フリーランスの放送作家だったので、僕の実績を誰も詳細には把握することができません。
「野呂は最近、仕事が結構入ってるんだな」と思わせれば、「そんな人間がそれだけ自信満々にいうのだから」という説得力が加味されて、アイデアが採用されやすいのです。
■良い印象を意図的につくり一目置かれる
Tシャツ姿の放送作家が並ぶ企画会議に、僕はブランドもののジャケットを着て臨みました。靴や時計にもお金を惜しまないうえ、乗る車は中古のベンツ。本当は最近お手頃価格で買ったのに、「もう長年乗って古くなったんですけど、愛着があって乗り替えられないですね……」なんていっていたわけです。
するとまわりの人のあいだでは、「へえ、野呂はまだ若いのにベンツに乗っているのか。それなりに稼いでいるんだな。きっといい企画をつくれるんだろうな」と噂がひとり歩きしていきます。
そうした、「野呂は売れている」という印象を意図的につくり、一目置かれるための自己PRを展開したのです。
いわば「ハッタリ」なわけですが、そもそもアイデアがおもしろくなかったり、会議に遅刻したりするような人間では、そんなハッタリはききません。自分の「いい仕事」を正しく、「いいもの」として受け取ってもらえる努力をしたのです。
あなたに対する印象は他者が決めることですが、その判断材料を提供しているのはあなた自身です。自らが提供する「印象」の判断材料を、自分にとって有利になるようにコントロールしていくことを忘れないようにしてください。
■人の印象はたった「2秒」で決まる
1枚の写真は、文字換算で1000文字相当もの情報があるとされますが、動画は1分間で180万字相当の情報量があるとされます。瞬時に大量の情報を提供できるからこそ、いま多くの企業が動画マーケティングに力を入れ、ブランディングや販促に活用しています。
では、動画より高精細で画角も圧倒的に広い、「人間のリアルの視覚情報」は、瞬時にどれほどの情報を与えるのでしょうか?
アメリカの心理学者、ティモシー・ウィルソンの研究によれば、人は1秒間に両目で1100万以上の信号を受信し、脳が処理しているといいます。そして、人が視覚で相手に抱く印象は、ほんの1、2秒で決まるのだそうです。
確かにいわれてみれば、「おっ、いいな」とか「嫌だな」といった感情は相手を見た瞬間に感じるものであって、その印象を理屈として言葉にしたり、論理的に裏付けたりするのに僕たちは時間をかけているだけなのかもしれません。
まずは、この瞬間的な見た目の印象をよくすることから考えていきましょう。
顔の造形は持って生まれたものですから、大きく変えるのは困難です。それよりも、肌や歯のケア、ヒゲやうぶ毛の処理、ヘアスタイル、そして表情など、努力次第で整えられることを徹底すべきです。
「わたしは笑うのが苦手だから……」という人もいますが、笑顔は表情筋という筋肉の働きでしかないので、そんなところでつまずくのはもったいないことです。苦手とあきらめる前に、鏡の前で笑う練習をして固まった表情をゆるやかにしましょう。
そのための対策は、インターネットで検索すればいくらでも出てきます。
■「人から見える自分」を正しく認識するためにやるべき習慣
いまの若い世代の人たちは、スマホで写真をしょっちゅう撮るのでそんなことはないと思いますが、40代以上にもなってくると、「自分の写った写真をしばらく見ていない」という人は多いのではないでしょうか。
毎日、鏡で見ている自分と、写真などの「他者の視点」で見える自分はかなり印象が違うことが多いですよね。最近では、オンライン会議をやってみたらパソコンに映っている自分の表情の悪さに愕然としたという声もよく聞かれます。
実際は、自分が思うほど変でもないし、悪くもないはずですが、見慣れないから自分の想定を下回ってしまい、コンプレックスを感じたり自信をなくしたりしてしまうのです。
自分に自信を持つには、まず「他人から見えている自分」と自分の認識のギャップを埋めていくことが大切です。顔が大きいとか、太っているとか、しわが増えてきたとか……なんらかのコンプレックスがあるにせよ、それも含めて「自分の見られている姿」を正しく認識しましょう。
そのためにやってほしいのは「自撮り」の習慣です。WEB上に公開する・しないは自由ですが、自分を毎日、写真に撮って見てみましょう。
自分の姿を日々チェックすることで、コンプレックスになっている部分も見慣れていき、それを受け入れることができるかもしれません。それに、他人からすれば、あなたが持っているコンプレックスよりも、表情や清潔感、ファッション、年相応の振る舞いなどのほうが印象や評価に大きく影響します。
自撮りによって「人から見える自分」をチェックして、コンプレックス以外の要素に目を向けるのです。
■自撮りをすることで得られる3つのポイント
コロナ禍以前にたくさんいた訪日外国人観光客は、実によく自撮りをしていました。これはあくまで僕の印象ですが、彼ら彼女らは、体型も顔も肌の色もそばかすも、自分の個性として肯定している人が多いように感じます。
一方で、笑顔や身だしなみにはしっかりと気を遣っています。国民性もあって一概にはいえませんが、エチケットを守り、他人に見える自分自身を大切にしているから、堂々と自分を写真に収め、SNSにアップするのです。
ポイントを整理します。自撮りで客観的に自分を見る機会を増やすことで、
○自分の認識と「他人から見える自分」のギャップを埋める
○自分の姿を受け入れ、コンプレックスを小さくする
○身だしなみを整え、自分に自信を持つ
この3つのポイントを解決しておきましょう。
見た目のコンプレックスは自分にとっては大問題ですが、他者からすれば「たいして気にしていない」し、もっといえば「どうでもいいこと」です。つまり、あなたのビジネスにたいして影響はありません。
それよりも、前向きに見た目の印象をよくする努力をして、自分に自信を持ち、気持ちのいい笑顔で人に接するようにしましょう。それが、相手の好感につながり、あなたのビジネスをさらに成功へと導きます。
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放送作家・戦略的PRコンサルタント
1967年、愛知県に生まれる。愛知工業大学在籍中に、学生起業家として活躍後、雑誌編集者に。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家としての活動を開始し、数々の人気番組を手掛ける。30歳のとき、戦略的PRコンサルタントの仕事をスタート。これまでに、大手広告代理店をはじめ、150社以上と契約。著書に、『「話のおもしろい人」の法則』『心をつかむ話し方 無敵の法則』『先延ばしと挫折をなくす計画術 無敵の法則』(すべてアスコム)、『プレスリリースはラブレター テレビを完全攻略する戦略的PR術』(万来舎)などがある。
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(放送作家・戦略的PRコンサルタント 野呂 エイシロウ)
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