1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「早死にするから大丈夫!」と豪語する年金未納者を待つ残酷な末路

プレジデントオンライン / 2021年12月3日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide

年金制度の将来に不安を持っている人は多いでしょう。しかしファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「年金なしで、どうやって老後を暮らすのですか。厚生労働省の調査によると、約半数以上の方が、年金の収入だけで生活をしています」と警鐘を鳴らします――。

※本稿は、長尾義弘『運用はいっさい無し! 60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

■年金は本当に「あてにならない」のか

「年金なんてあてにならない」「どうせ自分が老後になったときに年金はもらえなくなる」ということを口にする人がいますが、本気でそう思っていますか?

では、あなたは「年金をあてにしないで老後生活をおくることは可能ですか?」「本当に年金なしで生活できますか?」

年金をあてにしない場合は、どのくらいの老後資金を準備すればよいのかわかりますか? 自分の老後生活を豊かにするためには、年金の受給額を増やすのが一番の近道なのです。

■国民全員が加入している国民年金のしくみとは

ところで、あなたは年金についてどのくらい理解していますか。年金制度は非常に複雑ですが、老後生活に欠かせないものです。

「65歳になったらもらえるんでしょ。それさえわかっていれば、あとはどうでもいいじゃないか」などとなおざりにしていると、損をすることもあります。年金は老後の大切な生活費です。まずは、基本的なしくみをおさえておきましょう。

日本は世界でも珍しい皆年金制度の国です。原則、国民全員が国民年金に加入しています。

国民年金は、20歳から60歳までの40年間加入します。60歳未満の人が払う保険料で、65歳以上の高齢者を支えるしくみです。ただし、保険料の支払いが困難なときは、免除制度などが設けられています。

保険料は、月額1万6610円(2021年)です。ちなみに、まとめて支払うと割引があります。

65歳になり国民年金から受け取る年金を、老齢基礎年金(以下、基礎年金)と呼びます。40年間保険料を納めると、月額6万5075円です。基礎年金を受給するためには、10年以上の加入が条件になります。

■国民年金保険料の未納は約3割

会社員や公務員は、さらに厚生年金にも加入しています。こちらからは老齢厚生年金が出ます。国民年金というベースの上に厚生年金が乗っている、2階建てのイメージです。

年金の加入者は、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3つに分類されます。第1号被保険者は、自営業やフリーランスです。学生やフリーターもここに含まれます。第2号被保険者は、会社員や公務員を指します。第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者です。

じつは、国民年金保険料を支払っていない人が約3割います。といっても、この未納者は国民年金だけの話です。会社員や公務員は給料から天引きされますから、未納者はほぼいません。一方、第1号被保険者は自分で保険料を納めます。彼らのうちの約3割が未納になっているのです。全体で見ると、未納者は2%くらいになります。

もし、あなたが国民年金の未納者だとしたら、すぐに納付手続きをするよう強く勧めます。でないと、老後の生活に大きく響きます。

電卓片手に家計簿をつける女性の手元
写真=iStock.com/Olga Shumitskaya
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Olga Shumitskaya

■年金なしで、長期の老後をどう過ごす?

「年金に頼って、本当に大丈夫なの?」と不安を感じる人は多いようです。私が年金の繰下げ受給をお勧めする記事をニュースサイトで書くと、「年金制度なんてあてにならない。ダマされるな」などというコメントが返ってきたりもします。

では、お尋ねします。「年金なしで、どうやって老後を暮らすのですか」

65歳まで働いたとして、その後の生活費はどう工面します? さらに働き続けるのでしょうか。70歳、80歳、それとも90歳まで働きますか。冗談みたいに聞こえますが、けっして大げさな話ではないのです。

■老後は年金がなければ生きていけない

現在、老後の生活は、ほぼ年金に頼っている方が一般的です。厚生労働省の調査によると、約半数以上の方が、年金の収入だけで生活をしています。もし、年金がなければ、生活を維持することもできなくなってしまいます。

もちろん、潤沢に資産を持っていれば年金に頼らずとも生活できますが、そういう人はごく少数です。大半の人にとって、年金が大きな収入源になることは間違いありません。年金なしでは生活が成り立たないと言ってもいいでしょう。

しかし、「年金が大事ですよ」とお話しすると、こんな意見を言う方がいます。

「大丈夫! 私はそんなに長生きしないつもりだから」

残念ながら、その読みははかない希望に過ぎません。

■希望よりも長すぎる寿命が待っている

「いつまで生きたいか?」というアンケート調査がありました。それによると、希望の寿命は77.1歳です。

男性の平均寿命は81歳。つまり半分の人は81歳まで生きるわけです。女性はさらに長く、87歳です。しかも、平均寿命は延び続けています。いま50歳の人が80歳になるころには、平均寿命は90歳近くまで延びているかもしれません。そう考えると、早死にする確率はいっそう低くなります。

「早死にするから大丈夫!」が、いかにあてにならないかおわかりいただけるでしょう。

年金の受給額が少ない、おまけに老後資金も心許ない状況であれば、老骨にむち打って仕事を続けざるをえないのです。あなたが50歳なら、あと20年以上働く計算になります。想像するとうんざりしてしまうでしょうが、これが現実です。

■年金制度は崩壊すると本気で信じている人へ

雑誌やネットでは「年金制度は崩壊する」「年金をあてにしてはいけない」といった記事を、しばしば見かけます。年金の問題は政争の具としてよく扱われてきました。国民の不安を煽りやすい話題でもあるため、批判の対象にもなりがちです。

少子高齢化が進むなか、こんな記事を目にすれば、「やはり危ないのでは?」と疑いたくなるでしょう。しかし、これはまったくのウソです。年金制度は崩壊しません。

もしも、年金制度が崩壊したらどうなるでしょう。約5割の家庭で、65歳以降の収入を100%年金に頼っています。年金制度が崩壊すれば、これらの家庭生活まで崩壊する恐れがあります。そうなると、生活保護者が一挙に増加します。

年金の財源は社会保険からですが、生活保護のお金は国が4分の3、自治体が4分の1を負担しています。したがって、税金の負担がもっと重くなります。年金制度をやめたら、逆に国の負担が増えてしまうのです。ですので、年金制度が崩壊することはありえません。

■年金の財政状態は2.7兆円の赤字だが…

「そうはいっても、現役世代が高齢者を支えるしくみなんだよね。年金の財政は安泰なの? 破綻しないの?」

この点は気になると思います。年金の財政状態を見てみましょう。年金の給付額55.7兆円-保険料39.8兆円-国庫負担13.2兆円=マイナス2.7兆円

はい、2.7兆円の赤字です。この赤字分は、年金積立資産残高の166.5兆円から取り崩します。

「赤字だって⁉ マズイじゃないか!」

慌てるのは待ってください。安心材料をご説明しますから。年金の積立金は運用されています。運用を担っているのがGPIF(年金積立金運用管理独立行政法人)です。かつて、運用がうまくいっていないとニュースで流れたことがありました。そのため、安心できないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。マスコミは運用が悪いときだけ取り上げるのです。

実際は、だいたい2〜3%で運用できています。2001年の運用開始から2021年の第4四半期までの運用実績は、年率3.7%のプラス。累積で約100兆円の黒字です。毎年4.8兆円程度は増えていきますから、赤字は十分に補えます。したがって、積立金を取り崩す必要はないわけです。50年くらいは取り崩さなくていいという試算もあります。

この先、少子化と高齢化がさらに進み、保険料収入が減って、支払う保険料が多くなるといった変化はありうるでしょう。ですが、そうした状況にも対応できるよう、5年ごとに年金制度の見直しを行なっています。

ちなみに、少子高齢化は今後も続いていきますが、人口の多い団塊の世代が75歳を越えると高齢者の数が減ってきます。2045年あたりからは、65歳未満と65歳以上の人口比率はほぼ横ばいになり、安定すると考えられます。

年金制度は人口や経済状況などさまざまな観点から、100年くらい先まで持つように設計されています。ですから、年金の財政が10年〜20年で崩壊するとは考えにくいのです。

■「保険料を払っても元が取れない」は間違い

「でも、何十年も真面目に納めたって、支払ったぶんはちゃんと戻ってくるの? 支払った保険料より受け取る年金のほうが少なかったら、払い損だよ」

そんなふうに疑う声もあります。損か得かは一概には言えず、ここは悩ましい問題です。というのも、あなたが何歳まで生きるか、つまり、どのくらいの期間年金を受け取るかによって変わってくるからです。

はたして元は取れるのか。国民年金で考えてみましょう。

月額保険料は1万6610円です。40年間で支払う総額は、792万2800円になります。

65歳から年金を受け取ったとすると、月額は6万5075円、1年間では78万900円です。10年受け取れば、総額は780万9000円ですから、支払った保険料とかなり近い金額になります。

長尾義弘『運用はいっさい無し! 60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)
長尾義弘『運用はいっさい無し! 60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)

損益分岐点はおよそ10年。10年以上受け取ると元が取れる計算になります。年金は生きている限りもらえるので、76歳以上まで生きれば得をするわけです。

男性の平均寿命が81歳であることを考えると、得になる確率は高いと言えるでしょう。

いつまで生きられるかは誰にもわからないものの、酒・タバコをやっているからといって早死にするとは限りません。逆に、身体を壊して長生きするともっと悲惨ですし、いっそうお金が必要になります。

76歳より前に死んでしまうと、たしかに損をします。でも、そのぶんはほかの年金受給者の役に立ちます。

■年金は長生きで困らないための「保険」

年金はかなりお得なしくみになっています。そもそも、あなたは年金の保険料を半分しか払っていないとご存じですか。国民年金は国が半分負担し、厚生年金は会社が半分負担しているのです。受け取り始めてから10年で元が取れ、しかも一生もらえます。

繰下げ受給を選択すれば、年8.4%で増えていきます。銀行の金利や株式の運用と比べても、はるかにお得です。インフレに強いとまでは言えないものの、ある程度は対応できるようにもなっています。

長生きすればするほど、お金は必要になります。人生100年時代、ゆえに長生きにこそリスクがあるのです。目減りしていく貯蓄には不安を覚えますが、年金は一生受け取れます。年金は長生きしたときに困らないための「保険」と考えてはいかがでしょうか。

----------

長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員
お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『かんたん!書き込み式 保険払いすぎ見直しBOOK』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、などがある。

----------

(ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員 長尾 義弘)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

ミッション中・・・

10秒滞在

記事を最後まで読む

ミッション中・・・

10秒滞在

記事を最後まで読む

10秒滞在

記事を最後まで読む

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください