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「不安な気持ちがスッと消える」人生の"幸せスイッチ"を入れるためのアタマの使い方

プレジデントオンライン / 2021年12月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

人生に不安を感じたときは、どうすればいいのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「いま悩んだり不安を感じたりしていることの逆の方向へと、意識的に思考を振り切る“逆説志向”が有効だ」という——。

※本稿は、中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■生きづらいコロナ禍は大戦後に似ている

いま、ふだんの生活を送るなかでふと生きづらさを感じたり、自分に自信を持てなくなったりする人が増えています。

これまで自分が描いてきた夢や目標を見失いがちになり、コロナ禍を経て人生の歯車が狂ってしまった人もいると思います。

「これからどのように新しい人生を歩んでいけばいいのだろう?」

そう考えてはみるものの、この先どんな選択をするのが正解なのかもわからない。

そんな漠然とした不安のなかで、「自分にはたいした才能も価値もないんじゃないか」と、ネガティブな感情にとらわれてしまう人もいるかもしれません。

しかし、生きる困難と将来への不安が増しているいまのような時代は、人類がはじめて経験するものではありません。歴史を振り返れば、それこそ疫病をはじめ戦争や飢餓など、人類は数多くの苦しみを経験してきました。

わたしはこれまで、「自己肯定感」について独自の視点から研究と臨床経験を積み重ね、多くの人にカウンセリングを行ったり、講師としての活動を行ったりしてきました。

そんなわたしが大きな影響を受けたのが、オーストリアの精神科医であるヴィクトール・フランクルが提唱した「フランクル心理学」です。

そしてわたしは、いまという時代は、フランクルが自らの心理学を打ち立てた時期、つまり第二次世界大戦という衝撃的な出来事を経たあとの状況ととても似ているのではないかと考えています。

フランクルは大戦中に強制収容所に送られた経験を持ちますが、この時期は同じように過酷な運命にもてあそばれた人たちが世界中にたくさんいました。

いま、コロナ禍で多くの人が打撃を受け、振り回されているこの状況は、ある意味では第二次世界大戦後の状況と似ている面があると感じているのです。

実際に、生活の基盤である雇用や就業に大きな影響があり、若者や女性を中心に自殺者も増加しています。

人が生きていくための、まさに“土台”が脅かされているのです。

生活のなかで感じる不安が増しているためか、わたし個人の感覚でも、カウンセリングを依頼される人たちにはうつ傾向にある人が多く、「ネガティブな感情に覆われている」ような人が急激に増えていると感じています。

■人間はもともと不安になる生き物

不安の正体とは、いったいなんでしょうか?

「不安になる」「心配する」という状態はけっして心地いいものではなく、ネガティブな状態としてとらえる人がほとんどだと思います。

しかし、不安になるという“機能”がわたしたちに備わっている以上、それは本来人間にとって必要な力なのだと考えるべきです。

その力とは、不安が持つ「危機察知能力」です。

もし一切の不安を感じない人がいたとしたら……? 例えば、道路を歩くときに「車なんて来るわけがない」と思っていたら、その人はいずれ事故に遭うはずです。

でも実際は、わたしたちは「車が来たらどうしよう」と、無意識下であっても不安を感じています。

つまり、不安という危機察知能力を働かせるおかげで、事故に遭う可能性を減らし、大切な生命を守っているのです。

驚くべきは、この不安になる回数です。人間は1日に6万回もの思考をしているといわれますが、そのうち75%にあたる4万5000回の思考が、「もしこうなったらどうしよう……」というネガティブな思考だというのです。

人間は本質的に、「不安になる生き物」といっていいのです。

■意識を不安の正反対に振り切る「逆説志向」

ただ、そうはいっても、やはり不安を感じ過ぎることは問題です。

不安を感じ過ぎるあまり、自信をどんどん失って将来に対する希望も見えなくなってしまえば、それこそ心身の疾患を招きかねません。

ましてや、そのときサポートしてくれる人がそばにいなければ、社会生活を営めなくなる可能性があり、うつ病になってしまうこともめずらしくはないのです。

そんな不安が増した状態に向き合うにはどうすればいいでしょうか。

もともとの生育環境などは変えがたいものですが、その事実を認めたうえで、自分で変えていける面を探すことはもちろんできます。

そのひとつとして、わたしはフランクルが編み出した心理療法である「逆説志向」が有効だと考えています。

これは簡単にいえば、いま悩んだり不安を感じたりしていることの逆の方向へと、意識的に思考を振り切る方法です。

■赤面症の人には「顔が真っ赤でもいい」

わたしも、漠然とした不安を感じたときに、たびたびこの思考法を使います。

「講座のお客さんが少なくても1カ月くらいはなんとかなるよ」「失敗しても一文無しからまたはじめればいいじゃないか」と、自分で自分に問いかけてみる。

いったん正反対のことを考えてみると、そこからいまの自分の状態へと、自然と逆算の方向で思考が導かれて、「意外と大丈夫かも」と安心感を得られたり、「こんな方法があるかも」と、見えていなかった可能性に気づけたりできるのです。

不安を感じると、体の症状として現れる人もいます。例えば、顔が真っ赤になって汗が止まらなくなる赤面症という症状は、いったん「真っ赤になると恥ずかしい」と思ってしまうと、「どうしよう、どうしよう……」とますます不安がつのり、とめどなく不安が重なっていく状態です。

そんな少し大変なときでも、「別に顔が真っ赤でもいいや!」「汗をどれだけかけるか挑戦してみよう!」くらいに正反対に思考を振り切っていき、いまの自分の状態をとらえ直してみる。

そうすることで、不安と正面から向き合いながらも、プレッシャーは確実に軽減されていくはずです。

逆説志向は、実際にセラピーとして広く行われており、赤面症や高所・閉所恐怖症、人間関係の恐怖症(特定の人と会うのが怖いなど)を治療するためによく使われている方法です。

セラピストと話す人
写真=iStock.com/SDI Productions
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SDI Productions

■振り切った思考を書き出すのも効果的

逆説志向をするには、かなりの勇気が必要ではないかと思う人もいるかもしれませんね。

確かに、不安から逃げるのではなく、むしろ不安と正面から向き合う方法なので、ハードルが高く感じる人もいると思います。

中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)
中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)

そんなとき、わたしは頭のなかだけでするのではなく、文字に書き出して行うこともあります。最悪なケースを頭で想像するだけでも、漠然と不安を感じているよりはよほどいいのですが、振り切った思考をノートに書き出し、文字のかたちで可視化すると、さらに冷静に自分を見つめることができます。

そうして少しずつステップを踏んでいくと、「意外と平気かもな」と思えるようになり、最終的には、「なるようになるさ」「大丈夫だよ」と思えるところまで意識的に自分を持っていくことができるのです。

すでに重いうつ症状の人には難しいかもしれませんが、そうでないなら、人は不安を感じるのがふつうなので、効果的なアプローチになると思います。

いずれにせよ、あいまいな不安を、あいまいな状態で抱えておかないことが大切です。人は案外、あいまいな不安につぶされてしまっている面があるのです。

たとえ先が見えなくても、逆説志向を活用しながら、「最悪の場合、自分になにが起こるだろう?」「そうならないために、いまなにをしておけばいいかな?」と考えてみる。

それだけで、自分の人生をコントロールしている感覚が芽生えてくるはずです。

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中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。

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(心理カウンセラー 中島 輝)

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