離婚のプロは知っている…セックスレス相談にやって来る男性たちに起きている"ある変化"
プレジデントオンライン / 2021年12月14日 12時15分
■「自分はしたくないのに、妻がしたがる」
仕事や育児に追われる日々、気がつけば「しばらくセックスをしていない」という夫婦は少なくない。そうしたセックスレスの状況を、夫婦がお互いに受け入れ、うまくいっている分には夫婦生活においても何ら問題はない。問題なのは、どちらか一方がセックスレスの状態に不満や悩みを抱えている場合だ。
不満を持っているのが妻の場合、その多くは「セックス=愛されている証し」としてとらえているために、「求められなくなったのは、もう愛されていないからでは?」と心に傷を負うことにもなる。セックスレスが続くことで妻として、女性としての自信を失い、離婚を考える人もいる。
ところが興味深いことに、セックスレスに悩みを感じているのが夫の場合、一昔前と今では相談者たちの心境に変化が見られる。以前なら、夫側からのセックスレスの相談の多くは「自分はしたいが、妻がさせてくれない」というケースが大半を占めていたものの、最近では「自分はしたくないのに、妻がしたがる」というケースが増えているのだ。
「自分はしたくないのに、妻がしたがる」という夫たちの本音はどこにあるのか。たとえば、こんな実例もある。
※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
■出産の現場で頭をよぎった「これでよかったのだろうか」
【CASE1】「立ち会い出産」がセックスレスのきっかけになったケース
「どうしても妻に欲情できなくなってしまった」と肩を落とすDさん(32歳)は、セックスレス歴1年になる。夫婦がセックスレスになったきっかけは1年前、Dさんより2歳年下の妻が出産をしたことだった。
Dさん夫婦にとっては、はじめての子どもの誕生。「記念すべき初出産には、ぜひ立ち会って」という妻からの強い要望もあって、そこまで乗り気ではないDさんも「断れる空気じゃなかった」と分娩室に向かった。
その結果、「命がけで子どもを産む妻の姿に感動した。だが、その一方で自分の想像をはるかに上回る壮絶な出産風景に言葉を失った」というDさん。子どもが誕生した瞬間を見守ることができたというよろこびとは別に、「はたして、これでよかったのだろうか?」という漠然とした不安が一瞬、頭をよぎったという。
■妻とセックスすることが怖くなった
Dさんの不安は、妻の出産以降にセックスレスという形で的中した。「これまでセックスをすること以外に考えもしなかった妻の体が、生まれた子どものための“神聖な母体”に変わった」。Dさんは、妻とセックスすることが怖くなってしまったのだ。
今のところ、妻は乳児の世話に忙しく、セックスレスになったことを意識していないとのこと。Dさんの心配事は、そのうち妻から「二人目が欲しい」と言われたらどうするか、だという。「『ごめん、もう抱けなくなった』と告白し、その理由を打ち明けたら最後、夫婦関係が悪化するのは避けられないのではないか」。
![頭を抱えている男性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/670/img_f0d99e4d2b909a3dfbe2df73fb892f6f280690.jpg)
■「身勝手なことを言っているとは思うが…」
【CASE2】「妻の鬼嫁化」でセックスレスが日常になったケース
妻の貫禄や気迫がセックスレスの状況を生む場合もある。Wさん(53歳)は、彼が20代の時に職場で知り合った今の妻と結婚。「もともと面倒見のよかった妻は、職場でも『アネゴ』と後輩たちから慕われていたが、結婚後はますますパワフルになった」と評する妻は現在50代になり、高校生と大学生の二人の息子を抱える、「鬼嫁」へと進化したという。
「身勝手なことを言っているとは思うが」という前置きで、Wさんは現在の妻について語った。「家事はテキパキとこなすし、息子たちの世話もよくやってくれていると思う。ただ、結婚前と比べ20kg以上は太り、精神的にも強くたくましい母親の貫禄が備わったので、女性として見ることができなくなったのも事実」と正直な気持ちを打ち明けた。
じつは、Wさん夫婦はセックスレスになって15年以上もたつ。ときには、Wさんに対して命令口調や乱暴な態度で接する妻に対し、「夜になったからといって、鬼嫁の妻が急に『可愛い奥さん』に変わるはずもないし、もう自分も妻の見方を変えることはできない」と妻とセックスすることをあきらめている。
ちなみに、妻とはセックスレスの関係だからといって、今のWさんに妻以外の女性の存在はない。にもかかわらず、Wさんは「子どもたちの独立後、もしも自分に愛情を寄せてくれる女性が出現したら、今の妻と別れることになっても仕方がない」とチャンスをうかがっているのだった。
■一度は「セックスレスでいい」と合意したのに
【CASE3】「妻のセクシーキャラへの急変」がセックスレスを加速させたケース
Bさん夫婦(ともに49歳)は、数年前からセックスレス生活がスタート。その後一度だけ、セックスレスについて夫婦で話し合ったところ、「お互いにもうそういう年齢でもない。セックスがなくても仲良くやっていかれるのだから、それでいいじゃないか」という結論にいたった。二人が納得して出した答えだったこともあり、セックスレスの状態になってからも夫婦仲は変わらなかった。
ところがここに来て急に、「妻が暴走しはじめた」とBさんは怯える。妻とのセックスを望んでいないBさんに対し、やる気満々の妻が毎晩のようにセックスを求めて迫ってくるのだという。
Bさんの妻は美容関係の会社に勤務している関係もあり、「美」への意識が高い。Bさんいわく、「リモートワーク中の妻の後ろを通った時に見えたPC画面に、『いいセックスをすることがアンチエイジングの秘訣』『いくつになっても美しくいるためにはセックスは必須』といった情報がいくつも並んでいて、なんだかヤバイ予感はしていた」。
![自宅勤務する女性の背後からのショット](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/1/a/670/img_1a6ff5b30cece0d873111855067616b9421165.jpg)
■寝室には、怪しく光る派手な下着をつけた妻の姿
最初にBさんが面食らったのは、その3日後の夜のこと。Bさんがなにげなく夫婦の寝室のドアを開けたところ、先に寝ていたはずの妻が紫色に怪しく光る派手な下着をつけ、薄化粧をした顔でBさんに近づいてきたのだった。妻からの奇襲に驚いたBさんは、とっさに「風呂に入るの、忘れてたわ」と告げ、慌てて部屋から退出。乱れた呼吸を整えながらリビングに移動し、妻があきらめて寝静まるのを待った。
その翌日の晩は、「ネットでこんなの買っちゃった」とラブグッズを手にした妻がBさんの帰宅を待っていた。連日の妻からの猛アピールに戸惑ったBさんは、「そんなにセックスしたいわけ? 大丈夫か?」と冗談めかして言ったところ、妻は憤然として「夫なら妻の要求に応えるのが義務でしょう?」と譲ろうとしない。それどころか、「あなたがその気になるまで私、がんばるから」と息巻くのだった。
「妻が張り切る分だけ、引いてしまう自分がいる。これからの夫婦のありかたとして、妻にはセクシーさではなく、安らぎを求めたい」と妻からの猛攻にげんなりしているBさんだ。
■「セックスレス問題の解」は夫婦によって違う
「セックスレスになったから即、離婚」という夫婦は少ないものの、夫婦関係で苦しむ相談者の悩みを紐解いていくと、その底にセックスレスが横たわっているケースは珍しくはない。
セックスレスの問題がやっかいなのは、ベストな解決策が「セックスレスになる前に、なんらかの手を打つこと」という点だ。つまり、セックスレスの状態にあることをお互いがはっきりと認め合ってしまってからでは、定期的にセックスをする関係に戻すためのハードルは高くなるのだ。
とはいえ、あきらめる前にすべきことはたくさんある。たとえば、夫婦をひとつのチームとしてとらえ、チームワークを改善するための戦略会議のようなつもりで話し合いを持つことも一助になる。
大切なのは、「私はこうしたい」という自分の要求をつきつけるのではなく、「二人が気持ちよく暮らしていくためには何ができるのか?」をミーティングの目的にすることだ。すると、どこかの段階で必ず「もっとコミュニケーションをとること」というキーワードが出てくるはず。それがセックスそのものなのか、ハグやマッサージ、会話を増やすことなのか。夫婦によって満たされる解を、それぞれ見つけていくことになるだろう。
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夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)
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