30代初めに「声がかかって」ふらっと転職した人に後悔が多い本当の理由
プレジデントオンライン / 2021年12月16日 8時15分
新卒で大手メーカーに入社し、9年目になります。現在のポジションはまだマネジャークラスの手前ですが、仕事の流れは一通り理解できるようになり、意義ややりがいも感じるようになってきました。
職場や給与に特に不満はなく、転職も考えていなかったのですが、最近になってベンチャー企業に勤めている知人から「うちに来ないか」と誘われました。ベンチャーには興味がありますし、自分を評価してくれているのだから転職してもいいかなと思い始めています。こうした転職で注意すべき点などありましたら教えてください。(31歳・メーカー勤務)
■27~32歳は求人の「プラチナゾーン」
中途採用市場は、転職者は年齢帯によって主に3つのゾーンに分けられます。1つ目は23~26歳ぐらいで、第二新卒として扱われる「若手ゾーン」。2つ目は27~32歳ぐらいの、一通り仕事を覚えた年齢帯で、求人が最も多い「プラチナゾーン」。
そして3つ目が32歳以上の「ミドルゾーン」で、この年齢帯に入ると、1歳年を重ねるごとに徐々に求人が減り、採用されにくくなっていくという特徴があります。
今回は31歳の方のケースということで、プラチナゾーンの転職について考えてみましょう。
一般的に、大卒で企業に入った人は、27歳ぐらいから段々と一人前に近づいてきます。
ここから32歳ぐらいまでの人材は、一通り仕事を覚えていて社会人としての振る舞いが身についている、柔軟性や伸びしろもある、加えて給与もまだそれほど高騰していないために、多くの企業が採用に積極的です。
それゆえ求人数も多く、転職市場のメリットをいちばん享受できる時期と言っていいでしょう。ただ、長いキャリアの中で見ると、27~32歳は、いわゆる若手からようやく「プロの仕事人」に変わり始めたところ。いわばキャリアの第1期にいる段階で、まだその先の2期や3期を知りません。
■誘いが多い分、落とし穴も
プラチナゾーンの年代では、転職サイトを見ていなくても、親戚や知人から誘われることもあれば、企業が自社の社員に人材を紹介してもらう「リファラル採用」の一環で声がかかることもあるでしょう。
そうした誘いが来ると、今の職場に特段不満がない人、転職を考えていなかった人でも、つい心が動いてしまいがちです。
選択の幅が広がるのはいいことですが、誘いに乗って安易に転職してしまうのはちょっと問題です。この年齢帯の人には、今の職場に特に不満がなくても、声がかかると興味を持ってすぐ動いてしまう場合も少なくありません。しかし、そうした転職はのちのち後悔する原因になりやすいのです。
■よく調べないで入社するとどうなるか
例えば、誘われたことに喜んで、「友達の紹介だから大丈夫だろう」と、先方のことをよく調べないまま入社してしまったらどうなるか。私の周りで言うと、入ってみたら業界下位の会社で、3年後には事業撤退してしまったというケースがあります。
その後もしばらく頑張ったものの結局倒産してしまい、36歳で新たに職探しを始めることに。すでにミドルゾーンに入っていたため求人数も少なく、選考の上でも「倒産するような会社にいた人」というマイナスポイントを抱えることになってしまいました。
また、同じくプラチナゾーンの年齢でベンチャーに転職したものの、すぐにM&Aで他社に吸収されてしまい、主力から外れてキャリアが止まってしまったというケースもあります。
この場合、「まだミドルゾーンに入っていないのだから、2回目の転職も成功しやすいのでは」と思うかもしれませんが、一度転職すれば履歴上は「転職経験あり」になります。まだキャリアの第1期なのに転職が2回目となると、長持ちしない人ということで、やはりマイナスポイントになることが少なくありません。
![ビジネスマン投資家](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/670/img_fb9b545ae8f4df9efb4820d40b2724a3154477.jpg)
■転職で後悔しないための鉄則
こうした事態を防ぐためにも、転職する際はその企業をよく調査してから動くべきです。特に相手がベンチャーなら、その会社の事業だけでなく、業界自体に持続性があるのかどうか、今の勢いが一過性のものでないかどうか、成長性や将来性はあるか、同業他社の中で上位か下位かなど、事前に調べておくべき点はたくさんあります。
厳しいようですが、たとえばいったん業界下位の会社に入ってしまったら、そこから上位の会社に転職するのは至難の業です。「自分が成長させるんだ」という気概を持って、ベンチャー企業に入る場合は覚悟が決まった挑戦と言えますが、「とりあえず業界に入って経験を積んでから上位の社へ転職すればいい」という考え方で動くとしたら、特に歴史のある業界では非現実的と言わざるを得ません。
他の業界や他社との相対的な比較をしないまま、「せっかく声をかけてくれたから」「面白そうだから」「社長がいい人そうだから」と安易に転職してしまうと、後で後悔することになりかねないのです。
■「声がかかりやすい年齢」を自覚する
まずは、自分が声のかかりやすい年齢帯なのだということをしっかり自覚しましょう。27~32歳はプラチナゾーンであり、求人がピークの時期なのです。そして、まだキャリアの第2期や3期を知らないことから、前述のような落とし穴にハマりがちな年代でもあります。
誘われたときは、自分個人にではなく「自分世代」に声がかかったのだと思うようにしてください。そうした認識を持っていれば、転職先をしっかり調べようという意識も芽生えるのではないでしょうか。
のちにミドルゾーンに入ってから後悔しないためには、声がかかっても「調査不足のまま動かない」が鉄則。特に今の職場に不満がない人は、より慎重に調査・検討してほしいと思います。
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転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役
1988年、リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立、成長企業のための「社長の右腕」次世代リーダー採用支援サービスを開始。35歳からの転職支援サービス「Career Release 40」、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を運営している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』『35歳からの後悔しない転職ノート』『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』など。
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(転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役 黒田 真行 構成=辻村洋子)
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