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「業界用語を使いたがる人は仕事ができない」営業コンサルがそう断言するワケ

プレジデントオンライン / 2021年12月22日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shapecharge

ビジネスの現場では、言葉遣いで実力を図られてしまうことがある。営業コンサルタントの大塚寿さんは「専門用語や略称を使いがちな人ほど、仕事ができない傾向がある」という——。

※本稿は、大塚寿『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■究極の目的は「相手から言葉を盗む」こと

「提案の前にヒアリングをさせてください」
「まずはチームメンバー全員にヒアリングをしたいと思います」

ビジネスの世界でよく聞く「ヒアリング」という言葉。その重要性は言うまでもありませんが、一方でこのヒアリングという言葉ほど、あいまいな言葉もありません。本来的な意味では単に「聞く」というだけですから、「一体何を聞けばいいのか」という話です。

ヒアリングにもいろいろな技法があり、ケースによって聞くべきことも多岐にわたってきます。それだけで一冊の本ができてしまうくらいですが、本稿ではあえてひと言で言いきってしまいたいと思います。

ヒアリングの究極の目的とは「相手から言葉を盗む」ことです。

少々不穏な言い方になってしまいましたが、要するに、相手が一番重視している言葉を会話の中から探し出し、それを拝借し、次回の面会時に自分たちも使わせてもらう、ということです。

相手が一番重視している言葉は、会話の中で何度も何度も繰り返し使われる言葉や、最も力を入れて語られる言葉の中にあるはずです。それはまさに、相手にとっての最大の関心事。それをメモしておき、次に会うときに自分もその言葉を使うことで、相手の心をがっちりとつかむことができるのです。

■相手の言葉を使うと「for you感」が出る

たとえば、ヒアリングの際に「EV化への対応」という言葉を相手が何度も繰り返していたとします。それならば次回、提案書を持っていくにあたり、

「先日のヒアリングでうかがったさまざまな課題を解決すべく、ご提案をお持ちしました」

と切り出すよりも、

「『EV化への対応』を実現すべく、ご提案をお持ちしました」

としたほうが、より言葉が強くなるのがおわかりいただけるでしょう。相手の言葉をそのまま使うことでより「for you感」が出るのです。

プレゼン資料の1枚目にバーンと相手の言葉を出す、というのも使えるテクニックです。

膝の上に手を組んで座っている人
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

■新任マネジャーは部下の言葉を拝借せよ

もし、あなたが新しい部門に配属され、まったく見知らぬチームを率いる立場になったらどうするでしょうか。

おそらく多くの人はまず「メンバー全員にヒアリング」をすることで、チームの現状把握に努めることでしょう。

その際にもやはり「言葉を盗む」ことを心がけてみてください。すると、そのチームの癖というか、傾向のようなものが見えてくるはずです。

たとえば「顧客視点」という言葉がよく出てくるようなら、その言葉を拝借します。そして方針発表の場で「徹底的に顧客視点にこだわろう」と言えば、「この上司、自分たちのことをわかっているな」と感じてもらうこともできるでしょう。

ヒアリングが重要なのはもちろんですが、ただ漠然と話を聞くだけでは何も残らないことも多々あるものです。ぜひ、相手が「よく使う言葉」を意識してみてほしいと思います。

■「業界用語」がトラブルを引き起こす

逆に注意してほしいことがあります。それは「自分たちだけにしか通じない言葉を使うな」ということです。

先日、こんなことがありました。自宅の給湯器が壊れたので、妻がメーカー数社に相談の電話をしたのですが、その際、ある会社が「まずは現調をさせてもらって見積もりを」という言葉を使ったそうなのです。

大塚寿『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)
大塚寿『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)

現調とは「現地調査」の略ですが、わからない人にはわからない言葉です。妻はこの言葉自体は知っていたそうなのですが、「そういう略語を使う時点で、顧客視点がなっていない」と、その会社を候補から外してしまいました。

これは極端な話かもしれませんが、やはり自分たちの業界の専門用語を外部の人に対して意識せずに使ってしまうような会社は、顧客視点が足りないというか、視野が内向きだと判断されても仕方のないところがあります。

そもそも、その専門用語すら、業界によって微妙に使い方が違ったりします。先ほどの「現調」も、電気設備会社では「現地調整」という意味になり、器具を持っていって調整することを意味します。

つまり、給湯器メーカーの現調は「単に現場を見て見積もりを立てる」ことですが、電気設備では「現場で調整してくれる」ということで、まったく違う意味になってしまうわけです。さらに、現地調達のことを「現調」という業界もあります。これでは、トラブルになりかねません。

業界人ぶりたい人ほど、専門用語や略称を使いがちです。しかし、それは諸刃の剣であるということを忘れないでほしいと思います。

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大塚 寿(おおつか・ひさし)
営業コンサルタント
1962年群馬県生まれ。リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修、営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表。著書に、『リクルート流 「最強の営業力」のすべて』『法人営業バイブル 明日から使える実践的ノウハウ』『50歳からは、「これ」しかやらない 1万人に聞いてわかった「会社人生」の正しい終わらせ方』(以上、PHP研究所)や、『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)など多数。

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(営業コンサルタント 大塚 寿)

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